謎の客b
フフフ、そんな顔をするなアルデリーゼ。でもマリの慌てようを見て気付いた。そう言えば確かナル何とか名乗ってたっけ?
つまりマリはアルデリーゼの事なんて知らない、本当にアクセサリーの客として来ているのか。マリだって彼が噂のアルフレッドの兄だなんて全然知らない訳で。
くしゃくしゃ
俺はすぐに頭をかき乱した。
「何故頭をかく? マリさん私の華麗な剣さばきで追い出して差し上げましょうか?」
「大丈夫です、アレだけど無害なのよ。この子は行き倒れてた所を有償で部屋を貸してあげてるのよ」
客の前だからって言い方が酷いな! でも全部事実だけど。
「すいません貴族さん? 俺は館の住人だけど他にも女性の住人も居ますので、マリさんの恋人では御座いませんので!」
「ハハハハだろうね、君では清楚で可憐なマリ殿にはハナハダつり合わないよ」
「そぉーでしょう、お騒がせしましたウフフ。さ、部屋に帰って頂だい」
セールストークだからってマリは調子に乗ってるでしょ!
「じゃ、邪魔者は消えますから!」
俺は多少心配しつつも、奴も客ならば暴れまいと自室に戻ろうとするが。
「待て!」
ドキッ
急に怖い声で彼が俺を呼び止める。マリは驚くだろうが、一気にここでヤるか?
「な、何でございやしょうヘヘ」
「いや、気のせいか……どこかで会った気がしただけだが」
「もう! 貴族のナルディーノさんとFラン回復師が接点ある訳無いじゃないですか!」
言い方がいちいち酷いな。
「ハハハ確かにそうだ。もう帰ってよいぞ!」
ムッカチーーン!
凄く腹が立った。
「いえ、俺実はマリの弟子でもあるんで商売も勉強して行きますよ」
ドカッ
俺は店の椅子に座った。
「ふふふ分かったぞ君、高値の花のマリ殿に横恋慕かい? 私は某国の大貴族のナルディーノだ。君は?」
スッ
自分で大貴族言うな! 握手しようとしてくる手を見て俺は迷った。
待てよナスビィーはもちろん、ユリナス名乗って大丈夫なのか? 銀竜村の新領主だけど、アルパカにまで知れ渡ってる訳無いしな。いやでもいずれ戦にでもなったら……
「どうした、名乗る名さえ無いのかな?」
うっムカツクな~~。俺はマリの立場も気にしてるんだよ!
「きゅうーーーっ」
と、そんな時であった、いつもの様に俺の帰宅を喜んだソラがアザラシ的な声で俺を呼ぶ。
シィーン
「今の声は何だね?」
「あぁあれはね、中庭にワイ……」
「コラァーーーッ! 中庭には何も居ないぞ。しいて言えばニワトリ程度だっ!」
俺はマリの目を見ながら残像が出る程の超高速で首を横に振った。
ブンブンブン




