小ネタ⑨ 光る湯……
言うや否や彼女は一気に脱ぎ始めて、俺は慌てて背中を向けた。
バリッヌギッパサッ
とすとすとす……
足音が遠ざかって行く
ガラッ
仮面だけは付けたまま、裸の彼女はどうやら女湯に入った様だ。
ー温泉内部
カポーーン、バシャッカポーーン
ザバーーッブルブルブルッ
クヌアーはカピ様に手桶で湯を掛け、ようやく汚れを落とし終わった。
「ほーら、きれいきれいだ」
「だからブルブルするなっ!」
等と言いつつ遂に二人は立ち上がってカピ様と共に湯に浸かろうとする。
「さっお湯に入ろうかねぇ」
「キュル~」(遂にこの女と湯に浸かれるぜ)
ぺたぺたぺた
と、二人がお湯に入る寸前であった……
「はい捕まえた~~」
いきなりひょいっとビスマスがいとも簡単にカピ様を捕獲し、カピ様は空で足をパタパタさせる。
「キュルッ?」(わわっいきなり裸なのに仮面の女に捕まったぞ)
しかしゴブルラは気配も無く忍び寄ったビスマスに最大の警戒をする。
「貴様何奴だっ!? 代官を狙う刺客かっ」
「代官を狙う刺客がいるのかい?」
一瞬湯気が立ち込める女湯の中に緊張が走った。
「こら~~カピ様何を浮気しておる! この姫を聖女にするで無かったか!?」
ビクッ
バスタオルを巻いたファニー王女が突入して来て状況は変わった。
「王女さんじゃ無いかい?」
「むっ本当は会いたく無かったが仕方が無い、そのカピ様はわらわのカピじゃ。返してもらうぞ?」
「返すも何も勝手について来たのだが」
「シッ口答えすんじゃないよ」
クヌアーは大人しく引き下がって、無事カピ様は姫の元に戻った。
ー脱衣場のさらに外
ガラッ
ナスビィー状態で待っていると、次々と老女や主婦達が出て来て、俺は素知らぬ顔で口笛を吹いた。
フィー
一体中で何が起こっているのだろうか?
「終わったぞ、中で彼女が待っている」
「ナスビィーさんお先に」
「お前はスケベか」
最後に何故かビスマスとクヌアーとゴブルラが揃って出て来た。中で彼女が待っている? 全く不本意なのだが俺は3人に言われ渋々と遂に女湯に入った……
ガラッ
「入りますよ~」
何故かドキドキが止まらない。しかし一歩入って異様な状態に気付いた。
温泉のお湯が黄金色に光っているのだ。この先に清楚なファニーが全裸となって湯に浸かっているのだろう。
ビガーーーッ!
突然眩い光に包まれた俺は目が眩んだ。くっ何が起こっている!?
「ヒャッハーーッ遂に聖女になったわ~~力がみなぎって来よるわ~~わはははははーーっ!!」
フィンフィンフィン
視線の先にはしっかりバスタオルを巻き、全身から謎のオーラを発散するファニーが仁王立ちしていた。
……なんか思ってたのと違う、聖女ってこんなんだっけ?




