脱出行
足から力が抜け、目の前が暗くなって行く……
でも0,5秒後
「コラーーッ?」
何故か俺は気絶する事も無く、気力が復活して振り返った。
「うっわーー? 何なんだコヤツーー」
見るとお姫さんは巨大なツボの根本を持っている。恐らく本体は俺の後頭部で粉々に割れた。後頭部ってこんな頑丈だったっけ? だがそんな事はどうでも良い。
「やめろって! 俺はアンタの味方でアンタを救い出そうとしてるんだよ!」
「嘘付け! ソナタあの3人組の手下だったではないかっ」
「手下じゃないって!!」
ゲストだ……そこは強調したい。
「寝る前に目が合ったであろうがっ。うわー分かったぞ……わらわの穢れなき白い柔肌に目がくらみ、我が物にせんとさらうつもりであろう!!」
お姫さんってもしかしてバカの子? 我が物にせんとって違うってば……でも仕方が無い。
「ごめん、もっぺんサルグツワの刑な」
「離せっ何をする!? むぐぐ」
などと言いながらお姫さんを押さえ付けると、縄で縛りうるさい口を布で封じ直した。これじゃまるきり犯罪者だよトホホ……そしてお姫さんを連行する様に足を引きずり小部屋を出る。
道は入り組んでて、どれが出口か正直分からん。当てずっぽうに探るか? それとも最初の出口に戻るか……さっきの青い女が敵軍兵士を全部倒してくれてたりして。
「最初の入口に行くか」
出口を探してさまようよりも、淡い期待を抱いて正規の出口に戻ってみた。
慎重に穴から顔を出す。
ザワザワ……
「うっ敵兵達まだうじゃうじゃ居るだろがっ。しかもあの青い女と話してる? 仲間だったのかそれとも何かの交渉中か? 何にしても戻らなきゃな、おい戻るぞ!」
「むぐーむぐー?」
いつの間にか頭をひょっこり出していた、嫌がるお姫さんを再び引き連れようとした時、青い女と交渉してる兵士とは別な一団がこちらに向かって来た。
「おい話の途中だ!」
振り返り、指を指す青い仮面の女。
「お前に指図されるいわれはない!」
なんてアイツら話しながらも、無視して数名の兵士がこっち来た。気付かれた??
「早くしろっ急ぐぞ、あの連中はアンタを外国に連れてく敵兵だからなっ!」
「むぐ!? (本当かえ)」
危険性が分かったのか、お姫さんも自主的に走り出した。どうする、やはり別な出口を当てずっぽうで探すか? でも元ダンジョンて言ってたしトラップとかあったら……
ザザザッタタタッ
遠くから足音が響く。うわ、走って来た!?
「もう交渉は良い、3人組を見つけ次第殺せ! 姫だけを確保しろ!!」
やばっクヌアー達まで殺害対象になってるよっ。でも助ける訳にも……
「むぐっむぐっ!」
小走りながら突然お姫さんが何かを訴え出した。もう疑って無いよね? 俺はサルグツワだけを取る。
シュルリ
「ほらっ」
「本当にソナタは味方で、助け出してくれて、さっきの出口にいるのは敵兵なのだな?」
「そそそそそ」
お姫さんが少し心を開いてくれて、俺は超高速で頷いた。