小ネタ⑦ 犯人は貴方よっ!?
「何だとっええい誰かこの無礼な大家さんの首をはねい!」
ビシッ
今度は王様がマリに指を指した。そうなるよな普通。
「父上お許しを、この子は無知な庶民なのです!」
「王様すいません、この子は常識が無くて……どうかお許しを! カピ様は必ず俺が見つけますからっ」
俺とファニーが必死に謝り倒してなんとか事無きを得た。
ー王女の部屋
「意外に可愛い部屋だねぬいぐるみがあったりして」
「わらわを何と心得るか! まだまだ可憐な少女であるぞ」
「まあまあ。でも真面目なマリがあんな突拍子も無い事するなんて、それこそ意外だよ」
それでもまだまだマリは怒ってる感じだよ。
「全部何もかもあの王様がカピちゃんをしっかり捕まえて無いのが原因でしょ!」
「父上を悪く言うで無いわ!」
捕まえるか……ハッッそれだ!!
「マリの言葉で閃いたよ。カピ様は動物だから野山に居るっていうイメージだったけど、彼が王宮育ちなら野外よりも人間と一緒に居るかもしれない。つまり誰か街の人間が囲ってるかも知れないんだ」
「そうね、兵士さん達みたいに野山や街の中を無差別に調べるよりも、カピパラを飼い始めた人が居ないか住人に聞き込みした方が早いかも知れないわ!」
「わらわもそう考えておった!」
そうして俺達は聞き込み中心に調べる方針にした。
ー次の日、カピパラノユイン市街
俺達はあんぱん片手にビラを配ったり聞き込みを始めていた。
「むしゃっなかなか見つからないわね……」
「ぱくぱく、そんな簡単に見つかったら事件警備兵は要らないよ」
「わらわのサングラス似合うかえ? むしゃ」
「似合う似合う凄く似合う」
「あんぱん食べながら捜査してたらふざけてる様に見えないかしら?」
確かに! 俺達はすぐさま牛乳であんぱんを流し込んだ。だがあんぱんを食べ終わっても捜査は進まず、俺達は暗礁に乗り上げていた。
「こんな感じで背中に金色の毛が生えてるカピパラを見たり、飼い始めた人を知りませんか?」
「カピパラさんかい? 知らないねえ」
ふぅ名も無き主婦にいくら聞いても捜査は進展しない。
「もぅ飽きて来たのぅ」
「こらこら全部貴方の為なのよ?」
「そなたが父を挑発してややこしくなったのだ」
確かに疲れて来たなあ……うっここは!?
「あらここはツキーさんの魔法医院じゃない」
「よし無視して通り過ぎよう!」
「ダメでしょ、近くに来たなら上司として挨拶くらいして行きなさいよっ」
え~~? めんどくさいなあ。
んザッザザッザ
結局俺達はツキーの魔法医院に調査がてら見舞いする事にした。
ピラリ
「看魔婦さん、こんな感じのカピ様知りませんか?」
「カピ様? 知りませんわ」
疲れて来た俺の捜査はだんだんと手抜きになって来ていた。
「ちょっとお待ちになって! カピパラなら病室で見た事あるかも」
えーーーっ!? 他の看魔婦さんが声を掛けてくれた。
「ぜ、是非そこへ連れてってくれませんか?」




