青い女b
いや、よく考えれば外国の隠密部隊なんて、その国から見たらエリートな一番真面目な連中なのか……だからって早朝に待ち合わせと言ってた奴を深夜に来るか? しかも3人組を起こさない様に静かに待機してる?? 実は優しい奴らなのか~?
「しかも人数多い! 総勢100人以上くらいいそうだ」
こりゃだめだ、この出口では到底出られない。俺は静かにお姫様の部屋に戻り掛けた。
そ~~
「止まれ」
ビクッ
暗闇の先から突然の声に俺の心臓は止まり掛ける。けど、あの3人の誰とも違う声な気がする。俺は刺激しない様、灯り魔法で相手を見た。
「動くなと言った」
え? 光りの加減か?
仮面に長い髪に女性的な鎧姿……けどとにかく青い。髪も鎧も隙間に見える肌も頬も全部青い。そういう種族、ゴブリンとかオークなのか?でも耳は丸いし人間の様だが。全身青く塗ってる青色好き過ぎる子? でも……絶対強いというオーラをびんびん感じるよ。
「何を見ている? 言葉が分からんのか」
「いや、身がすくんで言葉が出ねえ」
事実だ。
「貴様、どっちの者だ?」
意味が分からんが、この国の者か敵外国部隊かって意味か?
「どっちでも無いよ。遠い外国の冒険者バイトでここに来てみたら、悪人に捕まって偽金運びをさせられて、怖くなって深夜に乗じて逃げようと」
出来る限り真実を言った。なんか読心術とか持ってたらヤバイから。
「ふん、嘘は言ってなさそうだ。確かに凄く弱そう……嘘を言う理由も無いな」
「アンタ、もしかしてこの国の騎士とか?」
ワンテンポ間が開く
「………………そうだ。この国の姫を救出に来た。何か知らぬか?」
確実に嘘っぽい。なんか怪しい気が。
「えっあの報奨金1億エピのお姫様ですか? いや、それはちょっと知らないよ~」
俺の迫真の演技、通じるか!? 彼女は俺をじろりと見る。緊張の瞬間、しかし唾は飲めない。
「お前からは何のオーラも迫力も感じない、本当に三流冒険者で何も知らぬ雑魚が逃げる途中……だな。では行け」
ちっ偉そうに……まあ八割当たってるけどさ、でも顔には出さない。
「良かったその通りなんだ。だけどさ、こっちの出口には外国の部隊がいっぱいいるよ」
「そんな事は知っている。今から倒しに行く所だ、お前はもう行け!」
なんだよウザそうに言って。一人であれだけの部隊を倒せるのかよ?
「へ、へい……では」
よー分からんが、助かった~~~。
「もうアイツ居ないよな?」
グリッ
小岩を回す。
ガガガガ
扉が開く音にビク付きながら、俺は寝かされる姫さんの元に走った。
ペシペシ
寝ている姫さんの頬を叩く。カッと驚いた様に開く瞳。
「さぁ、助けに来てやったよ」
シュルシュルパサッ
サルグツワと縄を解く。
「そ、ソナタ、なにもの……」
俺は口に手を押し当てる。
「シッ、無事に逃げたきゃ、静かについて来なよ」
俺は背中を向け、秘密部屋の入口に向かい周囲を確認した。
「よし、出れそうだっ」
バキャッ!!
突然後頭部に激しい衝撃を受けた……遠のく意識……