魔法の翼……
「ダメだっこんなん連射されたら!?」
ギューーーンッ
俺は必死に一本に追い付こうと飛ぶが、他の残り二本に間に合いそうに無い! くそっ!!
バシャッッ!!
「え?」
背中に妙な感覚を感じ、気が付くと一本目に追い付いていた。残り二本!!
シュバーーーーーッギューーーン!
何だか俺さっきより凄いスピードアップした気が……
どバシッ、ビシッ!!
ドドーン、ドォーーーン……
「ビスマス、3本とも落としたぞっ」
あれ、返事が無い……彼女は何を黙って見てるんだ?
「それは何だ?」
「俺が君に色々教えてもらってるのに、何だとは?」
チラリ
俺はトラップの危険性もあるが、恐る恐る背中を振り返った。
「何だこりゃあ!?」
俺の背中から6本の魔法陣と魔法文字を組み合わせた様な光の羽が生えていた……多少俺達が腕から伸ばしてる光の剣にも似ているよ。
「え、これ何??」
「あたしが聞いてるんだっ」
彼女にも知らない装備が……
ばっさばっさ~~
やおら飛竜の上からアルデリーゼが叫んだ。
「気を付けろビスマス!」
第二王子、お前まだ居たんか?
「言われるまでも無いっ!!」
シャキッドシュドシュドシュ!!
ビスマス、今度はもう複数の光の剣を地上と俺に同時に乱射しやがった。だが、俺は不思議な事にもう避ける必要性が無い気がして来た……
ドシューーーーッ
俺に向かって飛んで来た光の剣は無視して通り過ぎると、通り際に光の翼が二枚飛んで相殺されて消えた。
ドギューーーーン!
さらに超スピードで落下する光の剣の炸裂弾に追い付くと、俺は両手を広げた。
「何のつもりだ!?」
しゅるるるっ
ビスマスが驚く中、俺の魔法の翼はぴろぴろ笛『吹き戻し』の様にしゅるりんと巻いて俺の身体を守ってくれる。
ドドドッドォーーーーーン!!
痛く無いぞ、無事だ! 光の剣が直撃したにも関わらず、全くダメージは無かった。本当だったらスパッと斬れるはずなんだけど……
「へへっどうだっ!!」
「何故、何故無事なんだ!? それは何だっ」
うっ彼女がこれ程驚くとは、本当に知らない技だったんだな。
ドシュドシュドシュッ!!
うはっダメ押しでまた攻撃して来た!! 用心深いと言うか慎重というか。だが俺は今回も本能的に避ける必要が無いと感じてしまった。
ドシューーッドシューーッ
じっとして腕を組む俺の背中から、弓矢の様に光の翼が飛んで行き、勝手に光の剣の炸裂弾を迎撃してくれて行く、うはっ楽チンだな!!
ドドーーーン、ドーーーン
夜空にいくつもの光が。防御にも自動攻撃にも使える、何て便利な魔法なんだっ!! そして視線の先には彼女の驚愕する顔があった……




