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囚われの……


「ナスビィー、もう抜けられないぜ?」

「走って逃げようなんて子供みたいな事思うなよ、ハハハ」

「ナスビィーはそんなガキじゃ無いよ、ねえ?」


 ぺたっとしな垂れ掛かって来ても、めちゃめちゃ怖くなって来たんですけど。


「お、おうよ、ふふ」


 嘘付いても、でもやっぱり怖いって。


「じゃあ今夜は機嫌が良くなったからさ、さらにさらにとって置きのブツを見せてやるよ。明日の取り引きが成立すりゃあ、あたしら外国で騎士様になってなれるんだよ」


 ブツって大量の偽金以外に? ヤバイ、こんな状況なのに興味が出て来た……それ見たらなんとか逃げよう!



 俺達はさらに入り組んだ洞窟の奥に進んだ。

 ガリッ

 クヌアーは突然止まり、とある出っ張った石を回した。

 ガガガッ

 突然それまで壁だった岩が動く。


「便利だろう、ダンジョン時代のトラップを利用してるのさ。さぁ入るよ」


 俺は小部屋に入って息を飲んだ。


「んーっんーっ」


 縄でぐるぐる巻きにされ、口に布でサルグツワをされた金髪の綺麗な子、いや高貴そうな衣装と足元の小袋から転がるティアラから、完全に行方不明の王女としか思えない美少女が寝かされていた。しかも涙を貯めた目が合ってしまう。うっ可哀そうだ。


「これって?」

「そうさね、今話題持ち切りの行方不明の王女さ! 少ないお供とお忍びで街をふらふらほっつき歩いている所を、隙を突いて捕まえたのさ、本当に幸運だったよ」


 いやこの子にとっては不運だろ。ヤベッこれはちょっと男として許せん洒落にならんな。確か1億エピの報奨金のクエストの……


「バカな王女さ、侍女との会話でまるきり正体がバレバレだったぜ」

「隠し持ってたティアラが王女の証さ」


 だが俺は表情に出さない様に努めた。



「この子、どうするのさ?」

「ふふっただの偽金をばら撒くだけだった小悪党のあたしらが、敵対国に王女さんを献上する事で騎士様に成れるのさ、凄いだろう?」


 助ける? いや今は無理だね、この手下二人より俺は確実に弱そうだ。下手すりゃクヌアーより弱いかも知れんトホホ。どうする?? でも一応聞いてみる。


「それに……俺がどんな関係が?」

「その上ナスビィーの技術だよ、外国の隠密部隊にアンタの技術を見てもらうのさ、良かったねえ腕を認められりゃあ、外国の密造工場で雇ってもらえるよ!」


 おいおい、そんな事すりゃあ……もし【銀化】がバレりゃあ一生コキ使われるぞ。何ににしても詰んだんじゃ?


「お、そそりゃ、ワクワクだなハハ。そうだ、もう寝て体力付けないかい?」

「どうしたい声が震えてるぜ?」

「そうだねえ、外国の隠密部隊がお姫さん迎えに来るのは明日早朝、早く寝る方がいいねえ」


 えーーーっ明日早朝?? やべ、今夜中にお姫さん助けて逃げないと……俺は最後にもう一回お姫さんの顔を見た。うっ泣いてる……

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