横柄な
そうこうしてる内に、しばらくしてようやくゼブランド王国の増援が到着した。
「団長、王国の増援が到着しやしたっ!」
やっと着いたか。物見の報告にうおーと砦内が湧き返ったのが分かった。
「やれやれ来やがったか」
「めんどくさいですな?」
「えっ何で嬉しそうじゃないのさ」
「見てたら分かる」
ん? そんな感じで屋上の下の司令部で増援の将軍達の来訪を待ちわびていると……
バーン!
突然ドアが蹴破られる勢いで乱暴に開けられると、増援の将軍や将兵達がなだれ込んで来た。ヤケにいっぱい居るなあ、ムダに多いでしょ?
ドタドタ……
「うむ、これまでご苦労であったな傭兵ども。我らが来たからにはもう安心であるぞ!」
シィーン
いきなりの横柄な態度にあっけにとられてしまうよ。団長はブチ切れるんじゃ?
「お、おうこれは有難いね。増援が来てくれて感謝してるよ」
ふ、ふーん大人な対応だな。
「うむ、では貴様ら傭兵ふぜいは司令部から退去せよ! 今からココは我らが使用致す」
シィーン
マジか何て奴らだ……今までずっと傭兵に戦わせておいて、ナスビィーが加勢すると思って気分が大きくなってるだろ? 絶対ギリギリまで出てやらんからな~。
「テメー言わせておけば!」
団長の部下がいきり立つが、すぐに本人が肩を握った。
「まーまーいいんだよ、じゃあ俺達ぁ二の曲輪に移動するわ。使わせてもらっていいかい?」
「うむ好きにせい、しっかり守れよ!」
う、うわー守りたくない! こんな奴ら守りたくないよ~。せめて守りたくなる美人の女騎士とかいないんかよと必死に探すが、一人もいなかった。
ゾロゾロ……
ダルアガート団長と部下達、さらにゴブリュンさんやゴブリン代表団もそろって二の曲輪に移動する。みんな気持ちは同じみたいだ。
「行こ―ぜ」 「行こ行こ」
「所でナスビィー殿は何処においでかな?」
「ナスビィー殿、ナスビィー殿!!」
将軍達だけなら軽く無視して通り過ぎるが、命令されてエーリュク君が必死に探してるよ……放置したら怒られるんだろうな。
「エーリュクくん、エーリュクくんちょっと、ちょいちょい」
俺は目立たない様に彼にだけ手を振った。彼は将軍達を気にしつつ話し掛けてくれる。良いヤツだな!
「君は?」
そりゃ年下の良く知らない少年に名前呼ばれたら不審だろうなー。
「コホン、俺はカピパラライン王国銀竜村一帯の新領主のユリナスという者です、以後お見知りおきを」
「は、はぁ? これはヨロシク。東隣のカピパラの?」
真面目な彼は訳の分からない自己紹介にも一応挨拶で返してくれる。




