着替えと忠誠
ー代官館
ガチャッギィ
いつもの様に中を確認する……
「ゴブリィいるーマリいるのー?」
ガラーーン
今度こそ誰もいない感じだった。うっもしかしてマリ本当に帰っちゃった!?
様子が変だったし急に不安になるよ。いやでもまさか俺に相談も無く勝手に帰っちゃう事無いよね。きっとゴブリィやファンヌ達と遊んだりしてるんでしょ?
「タオルとか生活用具が普通にあるよ……じゃあ帰って無いよな」
キッチリした彼女は部屋が散らかったまま帰る事はまず無いはずだ。
ガチャッ
俺は自室に入り、大きなトランクを開ける。
「せっかくだからこの師匠にもらった大切な高級鎧と剣を……」
カシャッガチャッ……
よし一張羅の鎧を着こんだ俺は、再びダルアガートの砦へと急いだ。
シュタリッ
森の中の砦の門前に降り立つ……
「解除!」
シャキッ
全身銀化を解除すると、いたいけな新領主ユリナスの完成だっ!
「あのーすいません俺銀竜村一帯の新領主様で、ダルアガートと親友になったんで彼の場所まで案内してくれませんか~?」
イカツイ門番の男達に笑顔で訴えた。
ガシッ!
即座に捕まった……
「何だぁコイツ!? 頭いかれてんぞ」
「妙に高そうな鎧着てんな?」
「すいませんすいません、団長に話通して下さいお願いします」
俺は泣きながら訴えた。
ドシャッ
団長の前で床に落とされる。
「という訳なんでさ、こいつどうしやすか?」
「スマン、伝達が遅れたがその方は本当にカピパラライン銀竜村の新領主様なんだよ多分」
「エッまじですか!?」
ちゃんと伝達しておいてよって、俺も何も言わずに飛び出ちゃったしな。
「すいやせん」
「許す! という訳でナスビィーから聞いてたと思うけど、俺が銀竜村の新領主のユリナスだっよろしく頼むよ」
シィーーン
うっ何故か部下達が白い目で見て来る。
「いいやあアンタ、ナスビィーさんと同じ髪型で身長も同じ……」
どバシッ!!
団長が何か言い掛けた部下の頭を思い切り叩く。
「ハハハなるほどな無粋な事は言いっこ無しだぜ。こちらこそよろしく頼むゼ」
ガシッ
俺達は固く握手し合った。
「最初に言っておくがナスビィー氏が凄く強いのとは逆に、俺は新領主だが実はFランク回復師で凄く弱い! 必死には戦うが、皆も俺が死なない程度に守って欲しい!」
シィーン
ダメか! こんな事言ったらダメかな。
「はははは、ではゴブリンは俺達のちっこい領主様を全力で守ろうぜっ!」
「おーーーっ」
ーこうしてゴブリュン以下、ゴブリン傭兵約300名はユリナスに忠誠を誓ったので御座います。




