悪のスカウトb
カタッ
「?」
突然見知らぬお姉さんが俺の横に座ったと思ったら、続けてやばそうな男が二人座り4人席は満席になった。
「ご主人、4人分何か美味しい物と飲み物を!」
ジャラ
お姉さんはお金をテーブルに置き、主人が笑顔で注文を承った。お金の力は凄い!
「へいへいお待ちを!」
「なんだよアンタ達、知らない人に恵んでもらういわれは無いね!」
どビシッ
と言ったが、正直めちゃめちゃ有難い。なんとか渋々食える展開に持って行きたい。
「まあまあお兄さん怒らないでおくれよ、仲良くしないかい? あたしはクヌアーだよよろしくね」
なんだよなれなれしいなあ、このお姉さんは師匠の外見年齢よりはまだ年上かな? でもオバサンでは無いな。俺は落ち着く為に、主人が笑顔で持って来た水を含んだ。
ズズ
「ねぇお兄さん、昼間のギンカ見せておくれよ」
突然お姉さんが耳元でささやく。
ブシューーッ!!
俺は思い切り水を吹き、手下ぽいニーチャンの顔を直撃する。
「わわっゴメ。てか何の事だよ」
そか、ユニークスキル【銀化】じゃ無くて500エピ銀貨の方だよな? それはそれでヤバイけど。
「しらばっくれても駄目だぜ兄さんよぉ」
うっ怖い手下出動。不動心だ……ドキドキドキ。
「お、俺を凄腕冒険者と知って言ってるのかい?」
師匠にもらった高そうな名剣を見せびらかす。だがFランク回復師です。
「二人とも止めないかい。勘違いしないでおくれよ、あたし達は城に通報しようとか脅そうとかじゃ決して無いんだよ。蛇の道はヘビ、あたしらもちょっと偽金をかじっているのさ。だから見せて欲しくてね?」
さっきマリに銀化は決して見せちゃダメって言われたばかりだけどさ、スキルじゃ無くて銀貨ならいいよな?ちょっと自慢したくて……でも規模が違うし噂の偽金団じゃないよね?
チャキッ
俺は純銀製500エピ銅貨を見せてしまう。
「おおー」 「ひゃー」
「すごっなんだいコレは、わざわざ500エピ銅貨を銀で? 酔狂だねえ、コレは偽金の習作かい? たいしたモンだよ、これは名品だよ」
すっごく褒めてくれる、何故か気持ち良い。
「ま、まあそんな物かな? これだけの技術なかなか無いと思うよフフ」
「お、料理が届き始めたよ、さぁそれはもう隠して食べなよ?」
なんと好都合な展開。
「そうかよ、俺はそんな腹は減ってないがな……まあ頂くか?」
早く食わせろーー! 結局俺は狂った様に食べまくってしまう。
カチャカチャカチャ
「良い食べっぷりだねえ、可愛いねえお兄さん」
お?
「ちょ、姐さん」
「黙ってな! どうだい今晩あたしらのアジトに来ないかい? 同族のよしみで泊まる場所くらい貸してやるよ……」
え、マジデッ!?
ていうか、こんな見るからに小悪党の連中に係わって良いのだろうか……