対空魔法戦闘
「対空魔法戦闘よーい、ってーーー!!」
司令官の悲鳴にも似た命令で魔道師達が空に向かって両手を上げ、真っ赤な火球を撃ち始めた。
ドヒューードヒューーーーッ
まるで照明魔法の様に火球は辺りを照らしながら夜の空に吸い込まれる。……て無駄だと思うよ!!
キラキラッ!
直後、青い光が瞬き次の瞬間には恐ろしい数の光の矢が降り注ぐ。
シュバババッ……ヒューーードドドォーーーーン!
「ギャーーーッ」
今対空攻撃とやらを始めたばかりの魔導士達に向けて、やり過ぎなお返しの攻撃が炸裂した。やっぱり全く効果が無いでしょ。でもその後もあちこちで対空攻撃と爆撃のお返しの連鎖が繰り返される。
ドドォーン、ドーーーン
「今すぐ対空戦闘を止めるんだ! それよりもなるべく散って密度を下げて静かにしてろっ!」
「はい?」
はい、じゃ無いよっ!
「早くしろ!」
「ナスビィー殿、どうか我らをお救いを!!」 「お救いをっ!」
ズザザッ
俺のお付きや参謀達がひざまずいてお願いして来る……分かってるよ、けど嫌だなあ。
「今から行く! とにかく散会して当たらない様にしとくのだっ」
「ハハッ」
「よし、我らもナスビィー殿のサポートにワイバーン部隊を出せ!」
飛竜の事か? そんなの隊列にいたのか……いやでも要らないって!
ばっさばっさ~~
少し離れた野営地から二匹の飛竜が飛び上がって行く。部隊って二匹なのか!? 急いで付いて行かないとっ
シュバッ!
俺は遂に決心して夜の闇の中、青い光に向けて飛び上がった。
キラキラッ
光の矢を撃ち出す時の、小さい魔法陣がクルクル回りながら出現するのが見える。やっぱりビスマスだっ!
「やめろぉーーーっ!!」
俺は蒼い光の元に飛び込んだ。
シュインッ
途端に止む攻撃……
「何だ、お前いたのか?」
嘘だーっ絶対知ってただろーーっ!?
「何やってんだよビスマスッ?」
「すまん、今忙しい」
シュババッ!!
ドドォーーーーン
あーーっ、彼女は俺の横をスルリとすり抜けると、あっさりと攻撃を再開した。
ぱしっ
思わず彼女の実は細い手首を掴んで止める。
「何て事するんだ? 下は地獄だぞっ」
「……それが目的だから当たり前だろうが」
「君はそんな子じゃ無いと思っていたのに」
「どんな子を想定していた? あたしは大体こんな子だ」
シュゴォーーーッ
突然オレンジ色の明るい炎の渦が俺達の横を飛びぬけて行く。何だ?
「ナスビィー殿、助太刀致すっ!!」
ばっさばっさ~~
ちっこい師匠みたいな翼の生えた飛竜が俺達の周囲をぐるぐる飛び始めた。
「余計だっそれにコイツには効かないぞっ」
ドシュードシューーッ
俺の叫びが聞こえ無いのか俺が味方で強気なのか、やたら炎攻撃を繰り返す。
「邪魔だーーー!」
「あぁちょっコラ!?」




