表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/580

悪のスカウトa 宿


「わ、分かったよー」


 でも何となく適当に返事しとけ。


「ふぅう、じゃあこの椅子はペンキで茶色に塗って……いや土に埋めちゃおうか? このハンカチは溶鉱炉に廃棄ね……」

「はぁあもったい無いだろ、堅実過ぎだなーっ?」


 ちょっとは得したーっとか思わないのか!?


「そんなのあぶく銭だわ、気持ち悪い」

「じゃあ俺の迷惑料だと思って受け取ってよ、あとぢの兄の魔法治療代ね!」


 俺は意地悪く笑った。


「もう~ぢの兄なんて居ません! それは禁句よ」

「あ、そ、じゃあね」


 純銀の塊を女の子に託し、かっこ良くクルリと背中を向けた。



「ちょっと待ちなさい! 貴方今日の宿はあるの?」


 ドキッ

 ドキッと言ってももちろんアレな意味のドキッでは無くて、ありゃ本当に今日の宿どうしようという切実なドキッだ。まさかこの一人暮らしっぽい女の子の店に泊めてくれそうなんて、淡い期待は一切してない訳で。


「今から考えるさー」

「じゃあ……一部屋貸してあげようか?」


 ドサッ

 俺はコケた。


「ち、ちちちち違うのよ!? かかか勘違いしないでね、へへへ変な意味に取らないでよねっ!」


 すっごい動揺してる。


「じゃあ何?」

「同じ年代の男の子でアクセサリーに興味あるとか珍しいし、弟子として雇ってあげるわ!」


 ごめん、1ミルも興味無い。


「さっきバカにしてた癖に」

「それに、銀のハンカチは迷惑料として有難くもらうけど、あの純銀椅子はやっぱり受け取れ無いわ。管理の為に自分の部屋に置いといてよ」


 意地でも受け取らない気か!


「でもさ……俺もまだ信じたいんだっ自分の冒険者としての可能性にさっ!! Fランク回復師だけど……」


 どビシィッ!

 とカッコよく言ったけど、実はここに切実に泊まりたい。しかし意地になって店を出てしまった。


「あっコラッちょっと!!」


 とか叫ぶ割には追い掛けて来ない訳で。その純銀の椅子は削りながら大切に使ってくれい……



 とか言いつつ、俺はマリが追い掛けて来ないかなーっと向かいの料理屋に入った。すぐに主人が怖い顔でやって来る。


「またアンタか、お兄さんお金あるだろうね?」

「ゴメン、メニュー見て一時間くらい考えるから待って!」

「本当だろうね」


 主人はむくれて去って行くが、もう日が暮れている……どうしよう。今からマリの所に帰るか? いやいやカッコ悪いにも程があるし、今度こそ通報されるかも。

 ブックマーク、☆評価お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ