換金マラソン!
「え?」
「本当の趣味はヒリヒリする様な命を懸けるスリルを味わう事で、好きな食べ物はドクロ酒さ」
凄い!
「ビスマスっぽいや! えでもドクロ酒って飲み物だよね、食べ物じゃ無いよね」
「私っぽいって何だ、私の何を知っているのか? いちいち細かい事を言うな」
等とビスマスとの会話をしていると、大切な事を忘れそうになる。
んっでもなんだか嫌な視線が……金を狙われてる?
「ちょっとアンタ待ちなっ」
「う?」
振り返ると、冒険者ギルドで出会ったモヒカン軍団3人が居た。本当にどうでも良い再会。
「アンタ確かギルド内に居たトーシロー」
「そんな奴が何でここにいるんだ?」
わぁーこの人達、銀化してないとトコトン愛想無いなあ。
「誰だ知り合いか、センスが無い格好の連中だな」
「ゲゲッビスマスさん!?」
「何でこんな奴がビスマスさんと?」
「スゲー羨ましい……いや失礼しやした」
モヒカン軍団は頭を下げてそそくさと離れて行った。うはっ凄い優越感、やっぱビスマスって顔役なんだな。断然興味が湧くよ。
「だから注意力散漫なんだよっ目的を忘れるな!」
「そうだったよ、早速死ぬ気で小石を集めまくるよ!」
ポカリッ
いきなり頭を叩かれる。
「いてーアンタ人間凶器なんだぜ」
「手加減している。それよりもう小石は要らないよ。さっき手に入れた16万エピで2スンディ厚の鋼板を出来るだけ買うぞ」
え、何で鋼板なんだよ!?
「あのー何故でしょうか?」
「鋼板1キュロで1000エピくらいで買える。それを縦11スンディ、横5スンディにカットして銀化すれば、それが約1キュロの銀インゴットになる」
あーー
「それの方が素早く金額も分かりやすく金が手に入るね!」
「ああっさすがに小石状の銀を2000万エピ分まで売りさばき続けるのも疲れるだろうしな」
「どれくらい必要になるの?」
ビスマスが仮面の下でムッとした顔になった気がする。
「何でも聞くのだな子供か? あたしは仲間でも何でも無いのだぞ」
とか言いながら手助けしてくれてるじゃん!
「計算苦手でエヘヘ」
「単純計算で1キュロ銀インゴット181枚で二千万エピになるが、当然各店によって違う手数料を取られるから、200枚は作らなきゃな!」
うはーっ200枚も鋼板を加工するのか!?
「凄い地味な作業だね……」
「こういう事を地味にこつこつすれば成功につながるのさ」
「ヒリヒリするスリルとは無関係だね!」
「ケンカを売っているのか? じゃあ帰るよ」
俺はビスマスの腕を掴んだ。
「ビスマス先生お願いします。一緒に居て下さい!」
俺は情けなく哀願した。こんなトコ、一人じゃやだよーっ。




