闇の泥棒市(マーケット)
「誰だっ」
ちょっとやそっとでは傷付かない体の俺は、後ろを振り返った。あっ!!
「よぅ」
「ビスマス」
目の前には長い青い髪を持つ全身青色の女、蒼鉛竜のビスマスが居た。
「レディの部屋で何をしようとしていた?」
「お金の事で悩んでいて相談を……って君はドコにでも出没するな? とうとう館の中にまで」
「アハハ、このあたしはドコでも神出鬼没だぞ」
って何で彼女がマリの事知ってるんだ?
「前に仲間の遺体をカピパラノユインに運んだのを忘れたか? 今回も空から騒ぎを少し見させてもらった」
うわ、心読まれた!? でも趣味悪いな!
「でも……正直、君に再会出来てホッとしているよ!」
「お前、ほうぼうで同じ事言ってるだろ?」
確かに。俺マリにも師匠にも似た様な事言ってる気がする。とんだお調子者か。
「そんな事無いよ」
「で、お前でも金に困る事があるのか?」
俺の目の前でビスマスは小首を傾げた。
「何言ってるんだよ、今2000万エピが必要でてんてこ舞いなんだよっ」
「バカなっ二千万ぽっちで何を悩む? お前なら銀化で純銀を大量生産出来るだろうに」
はぁ~これだから素人さんは。
「知ってるの? 銀なんて王国の刻印が無い物なんて誰も買ってくれない……」
「アーーハッハッハッ誰がそんなバカな事教えた?」
突然彼女は大笑いを始めた。何がおかしいんだ?
「シーッやめろってマリが起きるだろ! マリをバカにするなよ」
「アハハッ安心しろ、彼女は絶対に起きないしグッスリ寝てるさ。まあ良い、部屋に入ろう」
ドキッ
しかし向かったのは応接室だ。俺の部屋な訳無いよな~。
「……という訳であと2000万エピどうしても要るんだ。本当に俺の銀化で解決出来るのかい?」
明るい場所で初めて静止状態で見ると、彼女はスタイルも良く理知的にも見える。仮面の下も絶対に美形に違いない!
「何を見ている? そうだな、言葉で解説するよりも今から飛んで行こうか」
「うっうん分かったよ銀化!」
シャキッ
俺は全身銀化して仮面を着けた。なんだか恥ずかしいペアルック的な状態になる。でも彼女を完全に信じ切って良いのだろうか。
ー謎の村
彼女に従って深夜の空を飛び続け、いまだランプが明々と光る真夜中の謎村に降り立った。
「村に入る前に銀化を解け」
「分かったよ。君は!?」
「あたしは良いのさ」
謎村の入口には分かりやすいイカツイ兄さんが……しかしビスマスを見て顔パスで通してくれる。
「ここは?」
「ゼブランドのマーケットさ」
げっ国境越え……しかもゴブリィの父達が戦ってる国!?
「つまり、傭兵の雇い主をぶち殺すって事!?」
「お前は飛びぬけたバカか? まずはそこらの石を拾い、人目に付かぬ様【銀化】してみろ」
「そんな事してどうするのさ?」
「いいからやれっ!」




