ゴブリン傭兵達の戦争……
「もちろん帰ってくるさっ!」
「そうだよ、けど今日明日に帰って来る話じゃ無い様だねえ。領主様が必ず取り返して下さるから、今日の所はゴブリン達は解散だよ!」
クヌアーが言い難い事を代わりに言ってくれた。
夫達が帰って来ると期待に膨らんだ笑顔は、急に不安気な表情に変わってしまう。とほほ、全部代官さんが悪いんだからなっ!
「ゴブリィ……」
「ファンヌッ!」
最初に一緒に出会った人間の幼女がゴブリィと抱き合う。父親への不安の為に曇ってた顔が笑顔に戻った。ナイスタイミングだファンヌちゃん!
「ゴブリィまた一緒に遊ぼっ」
「わーい、じゃあ領主さまお願いします」
「おねげえしますだ」
ゴブリィの発言をきっかけに女ゴブリン達は帰って行った……悪いなホント、ちゃんと取り返すから!
「じゃあワシらはこのまま開放ですかな?」
「そんな訳あるかっ! クヌアーとツキー早速で悪いけど、前代官さんとインガリットと女格闘家を、俺の馬車で王都に送って欲しい。嫌だと思うけど役所に願い出てファニーに頼ってみて、俺が手紙を書くよ」
「ああっ分かったよ」
「女ゴブリン達の気持ちを少しでも落ち着かせる為に、代官さんは早く連れ出した方が良い。それと女格闘家は狂暴だから絶対に縄を解いちゃダメだよ」
「分かったよお」
「俺は?」
「ゴロはこの村で留守居役だよ」
「わかったゼ」
ゴロズシャッ
そこへインガリットが転がって来た。
「お願いっ新領主さまっ絶対減刑してねっ絶対よ、お父様はどうでも良いから、貴方の奴隷にでも何でもなるから、お願いだからっわーー」
しつこい! 父はどうでも良いのか!? でも凄い泣いててここまで来ると可哀そうだな。
「ワシからもお願いしますじゃ」
うっ親子愛か……
「分かったよ、インガリットの事は絶対ファニーに言うから」
「ありがとう御座いますううぅ」
顔をぐしゃぐしゃにして泣く彼女。
「甘ーい、女の子には甘いんだ~~」
うっマリはやっぱり厳しい。
「ええいっ早く来るんだよっ」
ズリズリ
「ちょっと待て。領主さま、お礼に耳より情報を教えますじゃ。今ゼブランド王国はさらに隣のアルパカインゼット王国としきりに小競り合いを繰り返しておりますぞ。だから違約金を支払っても返してもらえるかどうか……」
え?
俺はマリと顔を見合わせた。
「アルパカインゼットって角と牙が生えてて生き血をすするっていう?」
俺は恐々聞いてしまう。
「そうですじゃ! さすが領主さま良くご存じで。大規模戦争では無いですが、屈強なゴブリン傭兵がおらなくなればゼブランドの戦線は崩壊するでしょうなぁ」
アルフレッドの国の戦争?? 俺は気が遠くなった。




