傭兵の行方……
忘れていた、前代官が私腹を肥やす為に戦場に送った男ゴブリン傭兵達を、帰還させないといけないんだった!
「ごめんごめん、男性ゴブリン達を取り返すんだったよね?」
「そうだ、頼む」
「そうだよ、父親や夫が行方不明で皆心配しているよ」
やっぱりゴブルラと区長婆さんに念押しされる。それを聞いて女ゴブリン達もウンウンとうなづいた。
「じゃあワシはそろそろ花屋に帰るのじゃ!」
え?
「帰っちゃうの!?」
彼女の言葉で急激に寂しさが込み上げて来て、抱き締めて離したくない感情が……って相手は師匠なんだっ恋人じゃ無いんだからなっ冷静になれ俺。
「そんなに寂しいのかぇ?」
「寂しいよ、師匠帰っちゃうなんて」
一瞬師匠が妖しく笑った気がした。うっ玩ばれてる!?
「だが花が枯れ切る前に新鮮な内に食べたいのじゃ! ワシも悲しいが帰るしか無いのじゃー」
「うっそんな理由!?」
なんか師匠、花屋さんにてなづけられてない? 花屋さんにも注意しないと師匠を取られちゃうよ。
「姫のわらわもこんな荒野は嫌じゃっ帰るのだぞ?」
「うん、気を付けてー」
ファニーはコケた。
「何でだっ!!」
「マリはどうするの?」
「居るに決まってるでしょ」
えっ決まってるんだ……ホッと一安心。
ばっさばっさ~~
二人はスタタと館の裏に回ると、何故か巨大なドラゴンになって飛んで行った。これじゃ師匠が銀竜だってバレバレだよ。まっここの住民になら良いか。
ズリズリ
ゴロが縄を掴んで前代官を引きずって来る。
「ええい乱暴に扱うなこの裏切り者!」
ピシャッ!
いきなりクヌアーがムチを打つ。
「黙りなっこの犯罪者! ゴブリン男傭兵の行方を言いなっ」
アンタの雇い主だった人ですよーっ現金だなあ。しかし前代官は数多くのゴブリン女達の恨みのこもった視線を受けて恐怖を感じてるみたい。
じとっ
「ゆ、許してくれ、他に産業の無い村の事を思ったんじゃ! 男達は隣のゼブランド王国の傭兵に出ておるのですわ」
ざわっ
女ゴブリン達はざわめく。
「じゃっ俺が行って呼び戻して来るよ!」
「待ちなさいよ、そんな単純な話じゃ無いでしょ」
またマリにたしなめられる。
「さすが奥方、言う通りですじゃ。傭兵を開放するには違約金が必要になりますぞっ」
「偉そうに言うなっ」
どゲシッ!
ツキーが代官さんを蹴ってしまう。
「やめな」
「違約金ってどのくらいなんだよ?」
俺はツキーを離しつつ聞いた。
「5000万エピ程……えへへ」
うわ高っ!!
「で、今館に資金はどのくらいあるんだい?」
クヌアーがムチを見せつつ聞く。
「3000万エピ程は……」
「足りないじゃん!」
「パパ達は帰って来る?」
うっゴブリィが不安気に聞いて来た。