永い休日
土曜日。
私は鈍い頭痛に悩まされ、ベッドから上半身を起こせず、ウンウン唸って狭いスペースを行ったり来たりを繰り返し転がっていた。
瀬楽との約束が刻一刻と迫っており、ドタキャンしたいくらいだった。
智香が自室に侵入してくるだろうし、悪戯で現状よりも気分が落ち込みそうだ。
コンコン、と自室の扉がノックされ、懸念していることが的中した。
「お義姉ちゃん、入るけど良い〜?おはよー、私とお出かけしない?」
私が返事を返す前に扉が開かれ、智香が笑顔を讃え、挨拶をしながら外出へと誘ってきた。
「い……行かない。一人で行って来なよ」
「溶けるような暑さなのに、お義姉ちゃんが凍えるように冷たくあしらってきた〜ぁ。酷ぉ〜そんなこと言わずに、付き合ってよ!お義姉ちゃんとプールか海で楽しみたいからビキニを一緒にって……」
「尚更、行かない。愛宕さんと行きたくない……」
私は拒絶してみせた。
「お義姉ちゃん……これは最終手段として、とっときたかったんだけど良いの?」
「な、何なの……勿体ぶった風にして?」
「瀬楽さんと……接触したいの」
「それが何?」
「瀬楽さんって、誰を狙ってるか……知らないってことはないよね、お義姉ちゃんが?」
「……っ!智香ぁーっっ!?なんで……いや……愛宕さんが……?」
「昨日のお義姉ちゃんと瀬楽さんがぎこちなくしてて……さては何かあったかなって。気付かないのは余程の鈍感な人くらいだよぅ。私にサれて、あんな反応してたお義姉ちゃんが同じことされたら、いつも通りでいれない。私のとどうだったの?瀬楽さんのが気持ち良かった?」
「……お、お願いだからぁっ、瀬楽とは……接触しないで。これだけはっ……どうかお願いぃっ!」
血の気が引いた私はベッドの上で正座して、懇願した。
「どぉ〜しよっかーなあぁ〜あ……瀬楽さんの絶頂かせ方の感想を聞いてないし、私との夏休みの予定をどうするか教えてくれるかなぁ?」
「愛宕さんのビキニ選びに付き合うからっ……海でもプールでも行きたいとこに行くからぁっ!きぃっ……気持ち良かったです、芽依ちゃんのは。何度も絶頂かせられました……やぁっ……めて、くれますかぁ?」
「あは〜はっ!羞恥心に耐えながら、言ってくれたから関わるのはやめるよぅ。私と瀬楽さんが関わったらどうなる妄想を思い浮かべたの、変態なお義姉ちゃん?」
「な、なんでも……」
「ふぅ〜ん……これ以上はやめとくよ、お義姉ちゃん。あっ、そうそう。今から、私を絶頂かせてよ、お義姉ちゃん……」
彼女が思い出したような声を漏らして、ベッドにのってきて私の顔の前で脚を開いて敏感なアソコに片手で触れ、絶頂かせるように命令した。
「愛宕さ」
「智香って呼びながら。シてくれる?」
「シますぅっ!させてください!ち……ちぃ、智香ぁ」
「お義姉ちゃんのそういう表情もそそられるよ」
彼女は恍惚な表情を浮かべ、私を見下ろしていた。
私は智香を絶頂かせ、彼女に私が絶頂かせられ——二人で浴室に行き、シャワーで汚れを洗い落とした。
階下のリビングに下りると、ダイニングテーブルに二人分の朝食が用意されていた。
私は瀬楽との外出のために自宅を出るまで、義妹の悪戯の餌食になったのは言うまでもない。
これから瀬楽に好きなように弄ばれるのを思い浮かべるだけで笑顔も作れやしない。