彼女もか……
私が友人から辱めを受けた翌日の放課後。
私は並んで歩幅を合わせ歩く瀬楽の楽しげな横顔にはにかみ、瀬楽の自宅へと歩を進めていた。
何故、私は瀬楽と下校し、彼女の自宅へと赴こうとしているのかというと、彼女に自宅で遊ぼうと誘われたからである。
瀬楽の自宅への途中に建つコンビニが見え、彼女が弾んだ声で、コンビニへ寄ろうと提案してきた。
「ねぇねぇ、千尋ちゃん。コンビニ寄って、行こうよっ!」
「えっ、でも……」
「この時間帯にセンセーがいるわけないって!バレたって、問題ないよぅ!でしょ?」
「芽依ちゃん、昨日から様子がっ——」
「いいの、いいのいいの!さっ、千尋ちゃん〜!」
彼女は私の言葉を遮り、手を取ったかと思えば、コンビニへと手を繋ぎ歩きだした。
私と彼女はコンビニで40分も物色し、滞在した。
大きいコンビニ袋がぱんぱんに詰められ、それが二袋で、一人一袋持つ羽目になった。
「たかだか放課後の数時間に消費する量じゃなくない?」
「あーぁ、千尋ちゃん文句言い過ぎぃー!昨日のこと、ひきずってのことぉ〜?謝ったじゃ〜ん、ダメだよぅ〜!」
「そうじゃっ……もうっ、あとどれくらい?」
「なんでキレんの〜?10分は掛かんないよぅ」
「誰のせいでこんな……」
「ん〜なんか言ったぁ?」
「なんもーっ!」
私と彼女は、目的の瀬楽家に到着した。
私は彼女の背後をついて、瀬楽家の敷居を跨ぎ、上がる。
「ようこそ〜!私はさっき買ってきたのを選別して持ってくから、千尋ちゃんは私の部屋で寛いでてぇ〜」
リビングに脚を踏み入れた彼女がそう告げ、廊下とリビングを繋ぐ扉を閉め、リビングの侵入を阻止した。
「リビング見たかったのに……」
廊下に取り残された私は、呟き、彼女の自室へと向かう。
私が彼女の自室に脚を踏み入れ、敷かれたラグの上に脚を崩し、落ち着ける。
ファッション誌が三冊ほどフローリングに乱雑に放置されており、その一冊の上に衝撃的な雑誌が四冊も積まれていた。
薄い雑誌——際どい表紙の同人誌が視界に入って、顔を背けた私。
ムチムチな身体の女性が、全裸で両脚を開いて、濡れたアソコを見せている表紙の雑誌に、不安を抱く私。
兄弟か男友達に借りたアレな雑誌だよね……と乱れた思考を軌道修正しようと試みた。
私が両手で頭を抱えていると、扉の開く物音がして、恐る恐る私は扉に顔を向け、瀬楽の表情を窺う為に顔を上げた。
「ふふぅっ、どうしたの?なんだか、悍ましいものを見たみたいな怯えた表情をしちゃって、千尋ちゃん……」
「えっ、あーぁあ……いや、なんでも……」
瀬楽の顔に小悪魔のような不敵な笑みが張り付いており、本音を告げられずに、ベッドの方に視線を移す私。
「あー、ソレは私のなの。兄弟や男友達からの借り物じゃないの。そもそも兄弟いないし。興味、あるの?あるなら、私が——」
「め、芽依ちゃんそれより早くソレを食べよ。ねっ?そうしよ、そうしよ芽依ちゃん!」
「それもそうね。さぁ、食べよっか!」
彼女がテーブルに運んできたトレーを載せ、ポッキーの箱を開け、包装された袋を開け、一本のポッキーを取り出し、口に咥え、私の口許に咥えたポッキーを近付けてきた。
「食べろっていうの、それ?」
「んー」
彼女がポッキーを咥えたままで、控えめに頷く。
「はぁー……たっ食べればいいんでしょ!」
私のため息に、彼女が急かすようにポッキーで唇を刺してきたので、私はポッキーを咥え、彼女が望むように動いた。
お互いがポッキーを短くしていき、二人の唇が重なり、触れ合う。
彼女がしれっと、私の口内に舌を挿れようとしてきた。
「んん〜っっ!はぁはぁ……舌を挿れるのは許してないって!」
「ふぁ〜!キスを許したなら、舌を挿れるのも同じじゃん!中学生がヤってるのなんて今は普通なんだよ、高校生でそんなウブな反応しちゃってぇ〜!女子同士の舌挿れキスなんて、スキンシップのうちみたいなもんじゃん!可愛すぎでしょ、千尋ちゃん!ははっ!」
「もうっ帰——」
私は動揺して、勢いよく立ち上がり、彼女の自室を出ようとする。
彼女が咄嗟に片手を出し、私の片手の手首を掴むと同時に立ち上がって、私をベッドの方に追い込み、押し倒した瞬間にスカートで覆われた太腿に触られた感触がして、ショーツが彼女の指で擦られた感触が続いた。
「うひゃぁーっっ!ちょっ——」
「レズビアンじゃ、仲良くしてくんないの?誰もが自由に恋していいのに、同性じゃ駄目っておかしくない?ねぇ、私のっ同性のキスは、異性のそれとどう違うわけ?千尋ちゃん、私と気持ちよくなって、堅っ苦しい鎧は脱ぎ捨てて乱れよ!ねぇ?」
捲し立てる彼女は理性を失った獣のように鼻息を荒くさせ、唾を飛ばし、最後に誘惑をしてきた。
「わ、悪いけど私にはそういうのは……」
「無理。断られてもヤる……千尋ちゃん、千尋、私と気持ち良くなろっ!」
瀬楽は私の返答を聞かず、ショーツを擦り始めた。
私が抵抗をやめてから、手首を掴んでいた手を離し、胸を揉み出した瀬楽だった。
義妹に絶頂かされ、瀬楽にも……か。
前世の私……どのような悪事を働けば、このような罰を受けることになるのか?
何も考えられない脳で、嘆いていた私だった。