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友人

 私が登校し、教室に脚を踏み入れると教卓を囲んでいた四人の女子達が気付いて駆け寄ってきた。

「千尋、はよ〜!今日も不機嫌じゃん、最近ずっとそうだけど、どうしたぁ?」

「おはよ、茂畑さん。海外ドラマにハマって夜更かしとか?」

「たちるん、はよ〜だよっ!私らにナイショの彼氏とチョメチョメして寝不足とか〜?」

「おはよう。最近引越したって聞いたけど、ソレ関連だったり?」

 西野琴葉が挨拶をすると橘、立原(たちはら)瀬楽(せら)も挨拶をした。

「おはよう、うーん……芽依ちゃんが当たりな感じ」

「セ〜イェイちゃんが空気を読まずに当てたよぅ。ことるん、セ〜イェイちゃんに一喝してやってよ!」

「いい加減にそのあだ名はやめろ、リサ。パリピだと誤解されるだろうが!琴葉を不毛なやり取りに巻き込もうとするな、迷惑だ」

 瀬楽が立原のブラウスの胸ぐらを掴み、引き寄せ遠慮なく頭に拳骨を落とし、お怒りだった。

「痛ぁああいいぃ……能面の割にムッツリしてるだろう芽依が生意気にも——」

「懲りもせず、オマエというやつはっ!分からせてやらんと——」

 立原が胸ぐらを掴まれたままで涙を目許に溜め、歯を剥き出しにして喰って掛かろうとして、歯向かう立原に怒りが収まらない瀬楽が立原の前髪を掴んで引っ張る。

 二人の喧嘩に西野が仲裁にはいり、喧嘩はおさまった。

「理彩、芽依……なんですぐに喧嘩に発展するんだ、まったく。さぁ、謝って仲直りしないか」

「「ご、ごめんなさい……」」

 立原と瀬楽が頭を下げ、謝る。

「ぶはぁっ……くっくふぅっ……相変わらず、おもろ」

 橘が吹き出し、笑いを堪え、涙を拭って楽しそうにしている。

 私は眼前で繰り広げられた愉快な見せものに、思わずはにかんだ。

「何笑ってんだよ、たちるん。ムカつく〜」

「何でもないよ」

「まぁまぁ、千尋にまで絡むことはないって理彩」

「むぅー。ことるん……」

 立原の手綱を掴めるのは、西野だけだろう。


「なんで瀬楽が知ってんだ?茂畑さんが引越した情報をさ。ウチら、知んないのに」

「愛宕さんのクラスの誰か忘れたけど、聴いたってとこ」

 橘の疑問に瀬楽が応えた。

「愛宕さん……のクラスぅ」

「千尋ちゃん、あの娘と……」

「そういうんじゃないよ、芽依ちゃん」

 瀬楽の疑いを否定した。

「ちょちょい、ちょい二人でなんなん?愛宕って誰よ?」

 橘が訊いてくる。

 視界の端で西野に頭を撫でられ、瀬楽を睨みつける立原を捉えている。


 私は瀬楽と橘に愛宕智香の関係を他言無用を条件に教えた。




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