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1話 異世界転移 その1

「ここはどこなんだ?」


「亮太様のご自宅になります」


「いや、それは分かっているんだけどさ……」


 色々と考えが追い付かない。俺に言葉を返してくれたのはマリア・カエサルという人物。彼女は魔族の少女で関係性で言えば俺の部下になる。彼女は冷静な人物だ、俺がそのように設定したのだから。


 魔族の少女で俺の部下……外見年齢は17歳前後。筋力や体力、再生能力や寿命など、外見は人間とほとんど変わらないが常人を遥かに凌駕した身体能力を持っている。それは主人である俺も同じだ。


 俺は高校1年生の須藤亮太(スドウリョウタ)、まあ一応は普通の高校生だったんだけど……苛めが原因で中学生の頃はあんまり学校に通ってなかった。その時に嵌ったのがMMORPGの「ディザスターストーリー」というわけで。最新のVR技術でプレイヤーの中に精神を投影しているかのような目線でプレイできる大人気のゲームだ。


 俺は中1からそのゲームに嵌ってしまい、高校生になった時にはかなり上位のプレイヤーになっていた。名前は本名と同じ「亮太」と名付けてあるが。そんな俺が作り出した眷属……部下がマリア・カエサルである。


 彼女は俺と比較すると剣技などの能力面で劣るが、それでも相当に強いNPCとして有名になっていった。人工知能が搭載されているので、どんどん学習していき会話も豊富に可能になっている。


 寂しい中学生活は彼女のおかげでハッピーになったと言っても過言ではないかもしれない。それからもう一人……。



「亮太様、ただいま~~!」


「レミラか、おかえり」



 金髪の髪を肩口まで伸ばした少女が屋敷の中へと入って来た。リビングに置いてある椅子に勢いよく座り込む。


 いわゆるメイド服と呼ばれる衣装を身に纏っており、その外見はスタイル抜群の美人と呼んで差し支えないだろう。スカートはミニであり、この服装はマリアとは対比になっていた。ちなみにマリアの服装はロングスカートのメイド服となっている。


 この辺は俺の趣味を色濃く反映させた形だ。ミニとロングの差はなんとなく見栄えを意識した結果だ。両方ロングやミニだったりすると映えないからね。


「どうだった、外回りは?」


「近くに街道みたいな道がありましたけど、それ以外は特に何もないですね~~。田舎のどこかって感じです」


 陽気な性格をしているレミラ・ベネチアも俺が作ったNPCになる。ディザスターストーリー内での実力はマリアと互角。彼女が双剣を振り回すのに対してレミラは装飾が美しい片手剣を振りかざす。


 そして俺は両手大剣「グラン・ヴァイト」を主武器として活躍していた。そんな俺達は「剣王三重士」と呼ばれてゲーム内で有名になったのだ。そのくらい剣の扱いに長けていたという称号みたいなものかな。


 そう……俺はプレイヤーキャラの「亮太」になってゲームしていたはずなんだ。あの時は自宅でマリア、レミラと軽く雑談をしていたが。いつのまにか俺達は見知らぬ場所にワープしていた。


 何を言っているのか分からないと思うが間違いないのだ。確かにゲームで普通に遊んでいるだけだったのに……異世界に転移したと言えば聞こえは良いのだろうか? 自宅ごと飛ばされた模様だ。だから、レミラに外を見て来てもらったけど、やはり見知らぬ土地のようだ。


 しかも不思議なことに俺はプレイヤーキャラそのものになってしまい、レミラやマリアの二人は一見すると変化がないようだが、より自然な反応を見せるようになっていた。今まではAIで動いていたが、今は完全に人間のようだ。人間というより魔族の少女になっている。そういう意味では俺も人間ではなく魔族ということになるんだが……。


「亮太様、ご提案がございます」


「どうしたんだマリア?」


「はい。街道があるということはどこかに街があると思われます。1日ほど掛けて調査に出向いて参りましょうか。この世界のことが少し分かるかもしれません」


「なるほど、それは名案だ。危険があるかもしれない。十分に注意して行ってくれるか?」


「畏まりました、亮太様。レミラ、あなたは亮太様の護衛をお願いしますね」


「は~~い、任されました! マリアも気を付けてね!」


「ええ、気を付けます」


 街道を通って街を探すか……まあ、それが最善の行動なんだろうな。なんせ、俺達は無一文だしな。住む家はあるけど食料とかが備蓄されているわけではないし。多少は危険でも情報収集が重要になるだろう。

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