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第三十一話 魔神との邂逅


 魔帝達とアーノン達が広間で闘っている頃。

アイリスことリストレイアは神託の間へとやって来てきた。


 その服装はこの国の姫として相応しいもので、レイボルト達と行動していたアイリスの服装とは異なっている。


 城を抜け出すときには部下に自分になりすましてもらっていたが、今日は自身が城を動くためそのような必要はない。


「リストレイア様、神託の間には誰もいないようです」


「ええ。ステン、誰も出入りしないよう外で見張りをお願い」


「かしこまりました。お気をつけて」


 彼女の側近である使用人のステン。メイド服に身を包む彼女に神託の間に誰も入らないように見張りをさせる。


 ステンはリストレイアの使用人を子どもの頃から勤めており、彼女になりすまして外出を手伝ったりと信用してる側近であった。魔人族でありながら闘いは得意ではなかったが、家事や仕事は完璧にこなす使用人の中でも一番優秀。


 そしてリストレイアの秘密を知る数少ない一人であった。



 リストレイアは元近衛兵を二人だけ引き連れ、神託の間へと入っていく。アーティファクトが飾られ、暗い雰囲気のこの場所は、彼女にとってもあまり近づきたくない部屋であった。


「いつきても嫌な気配しかしない部屋ですね……各自配置についてください」


「「はっ!」」


 中央の祭壇にリストレイアが立ち、少し離れたところで元近衛兵二人が剣を構えて警戒する。


「『我は魔の聖女なり。この身に秘められし聖女の証をもって、神との邂逅を希望せん』」


 聖なる光がリストレイアの身体を包み、暖かな光が輝きを放つ。『魔の聖女』としての聖女の側面、その力を発揮したのである。


「くっ……」


「リストレイア様!」


 魔の聖女という相反する属性、矛盾した存在。どちらか一方の力を前面に押し出すということは、もう一つの属性に少なからず影響を与える。


「大丈夫……少し苦しいだけですから」


 血族は吸血鬼の真祖。聖女の資格を持つが魔に見初められた者。相反する力を身を削ってしまう。


 聖女は祈りを続ける。

この国の災いを終わらせる為に、救いを施すために。




 しかし、魔神が現れることはなかった。




 その代わりに。


「……え?」



 真っ赤な鮮血が神託の間に飛び散った。


ーーー


【?????】



「始まったみたいだね」


「そうだな。つか大丈夫なのか?」


「何がだい?」


「いや、魔帝国にはたしかあのガキがいるっつー話しじゃねえか」


「構わないさ。彼女は『運命』に守られているからね。そうだろ?」


「ええ、あのおチビちゃんが死ぬのはまだまだ先の話よ」


「それにあの国にはあいつがいる」


「あいつ?」


「うん。まあそのうち僕達も会う事になるだろう。そのときに言葉の意味が分かるさ」


 そこは天空。


 魔帝国の上空から四人の男女が魔帝城を見下ろしてた。


 『天空要塞イシリス』

その空中要塞全てがアーティファクトであり、龍神国アルロスが建設した要塞の最高傑作ともいわれる伝説の要塞。


 名前だけが伝承されている雷星龍王イシリスの名を冠する空中移動要塞で、もはや空飛ぶ戦艦である。


 その天空要塞を動かしているのは、雷星龍王の血を強く、濃く、引き継ぎ、雷神の加護を受ける男ーーー


「カムイ、そろそろ次の目的地に向かうわよ」


「分かった。……それじゃあね」


ーー


 地下施設にて。


 アーティファクトハンターのガスディールと闘い終えた俺は魔力供給のカプセルを解除していく。


 さすがにこの数の子どもを移動させるのは難しいな。


 見たところ全員意識を失っているようだが、あまり放置しすぎると命の危険があるだろう。


「これは……!」


「お、良いタイミングだ」


 他の場所を制圧した元近衛兵達が部屋へと入ってくる。現状を説明し、子ども達を介抱してもらう。


 次は魔帝城だ。

アーノン達なら問題ないとは思うが、アイリスの方が心配だ。


 第一、魔神なんてのが実在していて、魔帝を洗脳できるほどの介入が可能なのならアイリスだけで何とかするのは難しいだろう。


 それに気になることもある。

皇族で洗脳されてなかったのはアイリスのみで、イースはアイリスが洗脳を解いた。

アイリスが洗脳されてない理由は、魔の聖女で洗脳が効かなかったから。


 だったらなぜーー




「……カムイ?」




 そこに声をかけてきたのは、祭壇の真ん中でカプセルに閉じ込められていた少女だった。


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