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第一話 卵から

 ん?真っ暗だな……


 意識の覚醒を感じ目を開けてみるが、真っ暗なので何の様子も分からない。手探りに体を動かしてみるが、さぼど思い通りに動かない。なんとか腕を動かしてみると、コンコンと硬い壁の様な物にぶつかった。


 それに触れた感じからすると少し爪が長くて硬いよような気がする。


 そういえば、龍人に転生する、とか言ってたような……


 ダメだ、それ以外の事はモヤがかかったようではっきりしない。それになんだ、本能的に何にも考えたくない衝動が湧き出てくる。


 そしてその本能は壁を思い切り突き破れと言っている。


 パリッと、本能のままに手を動かすと世界に明かりが差し込んだ。そしてーー



 俺は、レイボルト=ボロスとして新たな生をここに与えられた。龍人として。


ーー


【竜人族集落 ボロス村】


 竜人族、かつて繁栄を極めた龍神国家の龍人達の亜種と言われる人種。真龍化が可能か否かという点において区別されている……という。数少ない、村に残る書籍にもそう記されており、さらに言い伝えでも同じように言われている。


 俺、レイボルトはそんな竜人族の集落に生まれ落ちた。初めは卵として。


 生まれたばかりの頃の記憶はかなりボンヤリとしており、あまり覚えていない。しかしつい最近の成竜式(十六歳になった事を記念する行事)を終えてから、徐々に何か制限が取れ、意識にモヤがかかっていたものがハッキリしてきた。


「そういえば、能力制限がどうとか言ってたな」


 集落の中央にある広場、そこに設置されているベンチに座りながらポツリと呟く。集落自体はそこまで大きな村ではないが、大人の竜人は基本的に身体能力が高く、都市に出て稼ぎ、村へと持ち帰る生活を送っている。その為、村としてはお金は多くある。ただ、竜人は都会的な暮らしをあまり好まない為、自然の多い村で質素に暮らしている。ま、多くがそれを好むというだけで、都市に出て行く若者もいるが。


「おっ、レイじゃん。おっすー」


 そう言って軽く声をかけてきたのは同じ学校に通う、同級生のアーノン。赤い髪の毛がトレードマークの青年だ。何かと学校では俺に絡んでくるやつで、腐れ縁みたいな関係だ。


「おう。成竜式ぶりか?」


「そうだね。無事にこれで俺も成竜だ!」


 ボンッ、と音を立て背中に翼を生やすアーノン。


 そうこれが竜人の特徴の一つ。竜化だ。

龍人との違いである真龍化と何が違うのかと問われれば俺には分からないが、まあその辺の森に飛んでるワイバーンみたいな風に変身するのが竜化だとでも思っていれば良い。部分竜化が竜人には可能で、それに加えて魔法なども使えるので普通のワイバーンより遥かに強い。


「へーやるじゃねえか」


「全然興味ないじゃん!」


「別に竜化しても良いことって、戦闘力の上昇だろうが。そればかりに頼ってても仕方ないし」


 とはいえ、俺は竜化ができない。成竜式の際に判明したのだが、俺の血族、ボロス家は実は龍人の末裔らしい。らしいというのは、真龍化できた者はまだいないからだ。少なくともここ数年は。


 身体的特徴として、龍人と竜人はほぼ変わらない。体の数カ所に鱗があり、瞳が龍(竜)特有の黄色かつ縦長、爪や牙が鋭い、といった特徴がある。


 俺も身体特徴は竜人と変わらないが、成長と共に使えるはずの竜化ができなかった。それは成長障害の者もいるらしいが、俺の一家の血族が龍人の末裔である事が原因。個人的には竜人や龍人であることに特に興味はない。


「で?もう少ししたら旅に出るんだろ?人族の社会を見てみたいって」


「知ってたのか。アーノンに言った覚えはなかったんだけどな」


「カムイさんに聞いたんだよ。初めて話したけど、良い人だよな〜『僕の弟を頼んだよ、親友くん』って」


 なんだそれ。アーノンとは絡む事は多いが、別に親友って程でもない。それに兄であるカムイとは最近顔を合わせていない。


「『弟は能力制限のせいで成竜式を終えるまではあまり力が使えないから』って」


「っ!?おい、なんでカムイ兄さんがそれを……!」


「え?これって家族なら知ってるんじゃなかったの?俺もそれ聞いた時は驚いたけど、村長の一族はちょっと普通とは違うってのはみんな知ってるし」


 ……これは兄さんを問いただす必要があるな。


「悪い、帰る」


「お!ちょい!レイ!」


 アーノンを置き去りにして自宅の方へと急いで歩き出す。



 龍人(竜人)は卵から生まれるが、それは単純に種族的なものとして、最近気づいたのは俺に能力制限がかけられていたことだ。


 能力制限と共に前世の記憶もある程度封じられていたみたいだ。誰に?それは俺を転生させた存在にだ。


 卵から生まれたばかりの俺は、身体的本能につられてほとんど普通の赤ちゃんと変わらなかった。お陰で実質年齢とのギャップに苦しまなかったともいえるが……ふつうに考えて赤ちゃんプレイとかきついだろ?


 デメリットとしては知能も年齢相応になってしまったことだ。お陰で学校に入学する年齢までは無駄な時間を過ごしてしまった。「バブバブ」とか言ってたのだ。


 だが、十歳をこえる頃には前世のこともある程度思い出し始めた。そして成人(こっちでは成竜)した十六歳、能力制限がかけられていること、自分が龍人族である事を思い出した。両親は龍人族であることを俺が思い出した後に、恒例行事だとして教えてくれた。


 でもまだ能力制限というかモヤがかかっている気がするんだよなあ、恒常スキル【ーーーーー】とかいうのを与えたって転生マニュアル(転生時に語りかけてした機械音を俺はこう呼んでいる)から言われた気がするんだが。



 そうこうしてるうちに自宅へとたどり着いた。

特に目立つ訳でもない普通のログハウスって感じの家だが、一応村長の家と分かるように集落の紋様が刻み込まれた石が置かれている。



「ただいま……カムイ兄さんいる?」



 この時間、普段は家には母さんがいるはず。

しかしこの日、その返答が返ってくることはなかった。

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