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第二十七話 『やっと錬成なのじゃ!』


ーー


 アイリスの暴走とイースの暴走?を食い止めた後、遂にクリカラーンの錬成を始めた。


 イースが何故か俺に抱きついて動かなくなった時に、クリカラーンが延々と『錬成錬成錬成』と言ってた為、やっと錬成をすることにしたのだ。


 ちなみにイースはかなりの美少年?で、ピンクに染めた髪が印象的。背はアイリスと同じくらいで、俺の肩くらいか。服装は中性的で、たしかに皇族っぽい衣装を纏っている。


 クリカラーンなどは『ショタ男の娘で皇族吸血鬼コミュ力大とは要素詰め込みすぎじゃわい』と言っていたが。


 仕事を抜け出してきたからと、アイリスが目覚めたあとイースは研究所を出て行った。適当な理由を付けて抜け出してきたそう。皇族なのに大丈夫なのか?


「大丈夫ですよ。彼は忠実な父の後継として信頼を得ていますから。ああ見えて凄腕の暗殺者アサシンの称号も持ってます。私は戦闘向きではないですが、イースは優秀です。それこそ魔帝としての素質は充分と言えます」


 アサシン持ちか……なるほど、だからあの時気配を消してアイリスを止めることができたのか。俺自身気配察知は得意な方なので、何かが近寄ってくるのは感じていた。だからこそ無理に時間稼ぎをしていたのだから。


 たぶん真祖化もしてない状態で俺と変わらないくらいの強さはあるな。アーノンと組んで戦っても勝てるかどうか怪しい。


「アイリスの暴走も食い止めたし、そろそろ刀の錬成をするよ。素材は既に食わせてあるから、あとは魔の聖水を入れれば終わりだし」


『やっとなのじゃ……』


 小瓶ごと龍神刀に触れさせると一瞬で吸収される。

するとステータス魔法の画面が表示され、選択肢のようなものが現れた。



【錬成を始めますか】


「錬成開始っと」


 龍神刀が光始め、クリカラーンが何やら声を上げている。ゲームでよくある進化のシーンみたいだ。


【スキル選択:三種類から選べます。磔の刃、硬の刃、血の刃】


「選択して強化のタイプか。追加能力の付与とかかな?」


 ステータス画面の文字に触れると各々の能力が表記される。


・磔の刃

→刀を敵に突き刺し壁に固定する事で発動。磔にされた敵は行動不能となる。代償として錆びた刀へと戻る。


・硬の刃

→魔力を消費して刃の高度を上昇させる。刃こぼれしにくくなる。レアリティ依存。


・血の刃

→自身の血を吸わせることによって刀を強化。一時的に全能力が自身のステータスに比例して上昇する。血液の量は刀のレアリティに反比例し、低レアなほど大量に必要となる。


「どれも微妙じゃねえか」


『まだ二段階目の錬成じゃからのう。錬成を繰り返せばもっとすごいスキルを付与できると思うがの』


 結論を言ってしまえばどのスキルも必要ないと思う。そもそもこの龍神刀のレア度が低く、全スキルがレアリティ依存のデメリットやメリットの為、実戦での使用には向いていない。


 硬の刃だっておそらく大して硬度は上がらないだろう。


「まあ選ばないと進まないっていうなら選んでおくか……」


『おっ、それにするのじゃな?』


「ああ、消去法だ。それじゃあ錬成終了するぞ」



 最後に点滅を繰り返すと、龍神刀は少し装いを変えていた。


 前はボロボロの鞘に柄だったが、今はそこそこちゃんとした物となっており、中級程度のレアリティの武器と同じくらいの雰囲気を纏っている。


「やっと武器っぽくなったな。刀身も錆びてないし」


「凄いですね、魔の聖水をサビ落としに使うというのは本当だったのですね」


「嘘であんなシロモノ頼まねえよ……」


 このくらいの武器なら買えば手に入るのだが、その為に魔の聖水とかいう世にも珍しい素材が必要というのは正直意味がわからないのだが、まあ喋る刀ってだけでも珍しいからとりあえずは許しておこう。


「宿に戻ったらステータス確認しとくか。アイリスはこの後どうするんだ?」


「私はもうすぐ実行部隊と最後の調整後があります。ロイズの抜けた穴をレイボルト様が埋めることを伝えます」


「分かった。じゃあ後は本番だな」


「はい」


 龍神刀を腰に戻し、気配遮断の魔法をかけると研究所を出るために歩き出す。



「レイボルト様」


「ん?どうした」


 しかし、アイリスが呼んだので足を止める。

何か伝え忘れでもあったか?


「……ありがとうございました。これで覚悟が決まりました」


「真祖化の事なら気にするな。あと、アイリスの過去がどんなのかは俺には分からんが、あまり自分の責任だと思い過ぎるな。世の中なんでも思い通りに行くわけないし、自分の力なんてのはちっぽけなものだ。今回の計画だって一人じゃ無理だから俺達に頼ったんだろ?」


「そう、ですね」


「だからもう少し肩の力抜いたほうがいいと思う。アイリスのミスなら俺達がカバーする。弟も手伝ってくれるんだ、もっと周りを頼っていけ」


「……はい、ありがとうございます!」


『さすがは人生経験が長いと違うのうー』


「うるせえ。じゃあな」


 今度こそ気配遮断を完璧に発動し、俺は研究所を後にした。



 

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