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第十八話 魔帝国リスカロン【帝都リスカロン】


【帝都リスカロン】



 その街は魔法で満ち溢れた大都会だった。

すれ違う多くの人は魔人族で、その種類は様々。

ほとんど人間と様相が変わらない魔人や、ツノが生えた魔人、異形種と呼ばれる大枠に入るであろう大きな甲殻をまとった魔人、小さな子どものようだけど足元は幽霊みたいなゴースト系魔人などがいる。


 元々魔人というのは魔族の大枠の中にカテゴリされ、その中に色々な種類の魔人がいる、っていう考え方だ。人間っぽい雰囲気なら魔人、それ以外は魔族。理性のない獣型やモンスターなどは魔獣や魔物と呼ばれる。正直、俺も図鑑を見ながらじゃないとどれが魔獣、魔物、魔族、などとは細かく見分けがつかない。


 魔人からすると魔獣や魔物はモンスターなので同族意識などなく普通に討伐を行う。だが、人間の国とは少し異なるのは、この街の様子を見ればすぐに分かる。


 俺達は魔帝国リスカロンの首都、帝都リスカロンへと到着していた。



「話では聞いたことあるけど、魔獣や魔物をパートナーとして飼ってるのは見慣れないよなー」


「聖獣国でも魔物を飼ってる人はいるわよ。この国ほどは多くはないと思うけど」


「テイマーっていう称号を手に入れれば俺達でも使役できるっていうぞ。それなりに時間をかけて学ぶ必要があるみたいだが」


 魔帝国は総人口数が土地面積に比べて少ない。

首都である帝都リスカロンはかなり発展した都会ではあるが、それでもアラヒト国や聖獣国に比べると人口は半分程度。


 では国力は?と問われるとアラヒト国に並ぶほど高い。生産力、軍事力の高さを、人口の少なさを物ともせず補っているのは、その発展した魔法技術である。


「魔法関連の専門店が多いな……お、呪術の専門店なんてものもあるぞ」


「げ、レイそんなの興味あるの?」


「毒魔法より解呪しにくいしからな。特に対人戦じゃ有効だ。回復魔法じゃなくて聖魔法でないと対応できないし。発動者と距離が離れると効果が薄れていくが、高位の呪術だと解呪しないと一生呪われたままらしい」


『……もう誰も聞いておらんぞ?』


 呪術専門の魔法屋に興味が湧いた俺はそちらへと向かっていくが、二人は嫌らしく、ギルドへ行ってビショップスネークの討伐報告と売却へと行ってしまった。


「ちょっと見てみるか。闇属性魔法も使えるし」


『さすがは私の主人あるじじゃのう〜』


 呪術は闇属性魔法の分岐ともいわれ、使えるかどうかは闇魔法が使えるとこと条件になる。


 中に入ると店主はおらず、客が一人だけ書籍を見て回っていた。


 店の雰囲気はかなり暗く、呪いのアイテムや道具が取り揃えられており、触るだけで呪われてしまいそうだ。


『私の加護の前じゃこの程度の呪いは弾いちゃうがのう!』


(『龍神の加護(極弱)』だろうが)


『でもここに置いてるアイテムくらいは無効化できるもーん』


 とりあえずクリカラーンは無視しておいて、何か有用な書籍でもないか探してみる。呪術の会得方法でも書いてあるマニュアル本があれば嬉しいのだが。


「ん?……『魔の聖女についての考察』?」


 魔の聖水を作ることができる、魔の聖女。それについての書籍を見つけたので手に取ってみる。著者は全然知らない名前であるが、ページ数も多くわりと深く研究された本のようだ。


 情報ではこの国の姫、リストレイア=リスカロンという女性が魔の聖女の確率が高いみたいだが、なにか裏付けできる情報でも入手したい。


「『魔の聖女は呪われている。その目は神に見染められ、人を狂わし壊してしまう。邪眼の持ち主である。』」


『嘘じゃな』


「まあこれは嘘だろうな。直死の邪眼なんて存在したらそれこそ神の領域、例えば魔法を応用して魔力を込めて眼で殺すくらいはできそうだけどな」


『過去の英雄……ま、私の時代より更に前の時代にはそんな傑物がいたらしいが現代に存在するとは到底思えん』


 たまにはまともな意見を言うもんだな。


 クリカラーンを少し見直したその時。


「この本は異常なくらい脚色されてるから話半分に読んだ方がいいですよ」



 それが俺と、魔に見初められた聖女との出会いであった。


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