プロローグ2
認識が混乱している。トラックに轢かれた影響だからだろう。完全に意識が暗転した筈だから、ここは病室か?それにしては謎の機械音が響き渡っている。
『転生対象の意識覚醒を確認。マニュアルに則り、輪廻転生の説明を開始』
輪廻転生?転生対象?ナンダそれは
『これより貴方は輪廻転生の輪から外れ、他の輪に移動します。転生先は龍人。適応率は申し分なし、転生の影響で能力阻害あり、成長と共に解除』
どういうことだ、一体ここはどこだ、俺は死んだのか?
『私はシステムの為、問いに答える権限を持ちません』
機械音声、アナウンスのような声が淡々と告げていく。次々と情報が与えられてくる上に、認識が異常に混乱しているため、現状を整理する事ができない。
ただ一つ、俺は白い犬を助けてトラックに轢かれた、ということだ。全く、運が悪いとしか言いようがない。
『前世での情報により、プロジェクトへの悔いを確認。該当スキルを検索……一致無し。擬似スキルを検索、三件一致。恒常スキル【ステータス】を付与。……以上、転生先の設定終了。最終整理を開始します』
輪廻転生の説明と言いつつ、よくわからない設定的なものを話し始めた?システムの割にはあまり整理されてないのか?
くそっ、更に混乱が激しく……いや、全体的にボヤけてきた?モヤがかかったような。
『能力制限の開始を確認。急ぎ、整理内容を説明。貴方は輪廻転生により龍人へと転生します。前世の悔いを元に、物事を数値化し認識できる恒常スキル【ステータス】を贈与。その他能力は転生先の龍人固有スキル、成長によって変化。能力阻害は成長に伴い解除。以上、説明終了。一分後に転生完了予定』
なんとなくだが龍人とかいうのに転生させられるみたいだ。別に天国地獄を信じてるタイプでもなかったが、まさか龍人とかいうファンタジー存在に転生させられるとは。
あー、プロジェクト、最後までやり抜きたかったなあ。
もう頭があまり働かなくなってきた。
『彼が次の転生者……ふーん、面白そうだね。ちっ、成長阻害のせいで世界の目には映らない、と。まあ気長に待ちますか』
そして意識は暗転する。