第十六話 パーティ名
「分かった、レオナをパーティに加えよう。技量や実力も問題無さそうだし、俺達と旅をする目的もある程度近しいものがある」
「そうだな、よろしく!」
「よろしくね」
アーノンと俺と握手を交わし、パーティ申請用の書面へとサインを記入していく。ギルドに正式にパーティ申請をしておけば、依頼を受ける時などスムーズに進めることができる。
「とりあえずパーティ名考えるようぜ」
「そんなの何でもいいだろ」
「ダメよ、変な名前になったら恥ずかしいじゃない」
「レオナまで乗り気なのか……」
俺としては本腰入れて冒険者をやるつもりでは無いので、パーティ名など何でもいい。だがアーノンはカッコいい名前をつけたがっているようで、レオナも意外にもそういうとこは気になるらしい。
……というか、レオナからアーティファクトの件を聞いてないの、忘れないようにしないとな。
「獅子竜とかどうだ?」
「ダサいわね、見た目そのままだし」
「えー」
たしかにそれは俺もダサいと思う。
アーノンはこういうところあまりセンスないからな……
「どらごんず、とかはどう?かわいくない?」
「却下だ、なぜこのメンツでゆるふわ系になる」
ついつっこんでしまった。
いや、さすがにどらごんずはないだろ……レオナってキャラの割にはゆるふわ好きとかなのか?
「なによ、いかつい男二人だからちょっと柔らかいイメージをと思ったのに」
『ぷくく、さすがにどらごんずはダサいのう〜私なら超新星リュウジンソルジャーと名付けるぞい』
もはやクリカラーンのパーティ名など候補にすら上がりはしない。
「じゃあレイが決めてくれよ。リーダーなんだし、こういうの得意じゃん。だってレイの必殺技『氷結大瀑布』っていうんだぜ?」
「素晴らしいネーミングセンスね……ここはレイに任せましょう」
アーノン、お前は俺を馬鹿にしてるのか褒めてるのかよく分からんやつだ。ちなみに俺の魔法名は基本的に書籍から引っ張ってるだけだ。オリジナルで作った魔法にはもう少し捻った名前をつける。……なんかシリーズ物とかな。
「ちっ……竜と獅子だろ……?あとは氷と火と風……銀、赤、緑……かなりばらけてるな」
三人の共通点で考えようにもバラバラすぎて合わせにくい。ここは何か適当なモノの名前でも……そうだ
「クリカラはどうだ?俺の刀、龍神刀クリカラーンから」
ちなみに倶利伽羅という言葉は日本でも聞いた事がある。この世界では神としては知られていないはずだから、語源はバレないだろう。そもそも俺も倶利伽羅に関しては名前と響きくらいしか知らない。
「おっ、いいね〜、なんか言いやすいし、狙った感じの名前でもない」
「貴方の刀、龍神刀っていうのね。初めて聞いたわ」
「そうだ、村の遺跡から貰ってきた。龍にまつわるモノなんてそうそう手に入らないからな」
『主人、意外と私の名前気に入ってるじゃないのかぁ〜?』
特に文句もないようだし、クリカラと書いてパーティ申請をギルドにしてしまう。
これが『クリカラ』パーティの始まりだった。