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第十五話 レオナ=レザーノ

 レオナ=レザーノは聖獣国の生まれで、流れの冒険者として世界を見て回っている、のは初めに聞いたが、それにしても急にパーティに加えてくれというのは何か怪しい。


「どう思う、アーノン」


「そうだな……でもあの子、俺達がギルドに登録しに行った時からこっちを見てたよな」


「そうだったか?何人かこっちを見てたのは気付いていたがレオナがいたまでは分からなかったな」


 とりあえず返事は保留し、ギルドで討伐完了の報告、魔物の素材を下取りしてくれるカウンターでルークファングを売り払った。


 一旦、報酬のお金は俺が預かっておいて、パーティ加入を断る場合にはお金を返すこととなった。


 宿で返り血や土などを落とし、休憩しながらレオナの事について話し合う。


「でも悪い子じゃないと思うけどな。なんていうか、覚悟?みたいなのを感じた」


「覚悟?」


「うん、よく分からないけどさ。こう、俺達に協力してください、お願いします!って感じの雰囲気があった」


「アーノンの勘は置いとくとしても、アーティファクトまで見せるってことはやはり何かしら思い切りが必要だろうな」


 ゲームではアイテムボックスなんてのはみんな持ってるが、それが現実に存在したら大騒ぎだ。誰しもが欲しがるようなシロモノを見せるのにもリスクがあるだろう。


 この世界は魔法があるとはいえ、アイテムボックスみたいなものの作り方は失ってるからな。


「そそ!そういうこと!」


『まあ私もあの子は嘘はついてないと思うぞ?ちなみに、あいてむぼっくすは龍神国アルロスの魔道具じゃぞ』


 クリカラーンのカミングアウトに固まると俺とアーノンなのであった。(アーティファクトの出土場所は全くの不明であるため)



ーー


 後日、ギルドへ行くと軽装のレオナが待っていた。


 獅子の獣人であるが、毛色は濃い目の緑色で、髪はポニーテールに括ってある。ポニーテールではあるが人間でいう耳の位置は髪で隠れている。


 この世界にきて思うが、やはり獣耳の獣人は普通の耳は無いんだろうか。四つ耳があると流石に変か。


 などと俺が考えているとアーノンがレオナに話しかける。


「お待たせ、早速だけどいくつか質問良いかな?」


「構わないわ。さすがに知りもしない相手をパーティに加えるのは難しいでしょうしね」


 冒険者のパーティは背中を預け合うような関係だ。臨時のパーティを組むことはあっても、今後行動を共にするような人物の詳細を知らないのは些か不安がある。


「じゃあ一つ目、どうして俺達のパーティに目をつけたの?」


「竜人のパーティが珍しかったからよ。竜人は亜人の中でもとても強いことで有名だし、貴方達の雰囲気もなかなか強そうだったから」


 なるほど……だから登録時にこっちを見ている人が多かったんだな。物珍しさ、ってのが理由だと思うが。


 竜人は基本、街に出稼ぎには行くがそこまで集落を離れない。ボロス村以外にも竜人の集落はあるが、世界人口からすると絶対数は非常に少ないので、珍しい種族ともいえる。


「なるほどね。次、世界を見て回ってるって言ってたけど、一人で世界を見て回ってアーティファクトなんて珍しいのを発見するのはさすがに無理がある。一人で行動しているのは本当かい?それなら、どうして今まで一人で行動してたのに俺達のパーティに?」


 アーノンは事前に俺と考えた質問事項を尋ねていく。


 レオナは既に考えをまとめていたようで、一瞬だけ言葉を選んだ後に話し始めた。


「アーティファクトについては秘密が多いからまた今度お話しするわ。一人で行動している理由については、個人の事情でとある人物を追っているからね」


 そう、個人の事情で世界を旅して回る場合、共について来てくれる者などそうそういないのだ。特にこの世界は通信技術などは優れているとは言えず、すぐに故郷へと戻れない。


「そして貴方達のパーティに入りたいと思ったのは、竜人が強い種族で、貴方達のパーティも実力がありそうに感じたから……これは討伐依頼に同行して確信したわ。あとは、私が追っている、とある人物と一緒に行動していたと言われる男が竜人で、レイボルトと同じく竜人の特徴が少ない竜人だったらしいのよ」


「鱗や爪に竜人らしさがないってことか?」


「ええ、これは人相書きだけど……金髪に優しい印象のイケメンね。魔法は雷属性を使っているところを一度目撃されている」


「レイ……これって……」


「ああ、間違いない」


 レオナの見せてくれた人相書きは、俺達が追っている男、実の兄、カムイ=ボロスの特徴と完全に一致していた。


「どう?私をパーティに入れてくれる気になったかしら?」



 ……たぶん人相書きと俺の顔に似た点がいくつかあるから、何かを感じて声をかけて来たんだろうな。血の繋がった兄弟だから似た点もある。


 なんともまあ計算高い女だこと。


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