第八話 龍神ちゃんの説明
はーいっ説明回じゃぞ〜
ぬ?主人公のレイボルトがいない?
くっくっく、そう!私こそが本物の主人公!クリカラーンことクリちゃん……いででで!アーノンの硬い鱗に擦り付けるでない!
また刃こぼれしてしまったではないかぁ……
主人から早く終わらせろとの命令なので、サクッと説明していくのじゃ。
まったく、私が龍神と知っての狼藉なのかのう……ん?神様なぞ信じない?だったら交通事故を回避させろ?へーん、そういうのは私の管轄じゃないもーん。
ぎゃあっ!また鱗……ひいっ、今度は部分竜化したアーノンの鱗じゃと!やめてたもう〜
えー、まず龍神刀が錆びている理由は、この刀自体は私の体の一部、言うなれば真龍化したときの背骨を使っておるのじゃ。それを金属化しておった爪を溶かして刀をコーティング、あっという間に龍神刀の完成じゃ!
とはいえこれは出来合いの刀で、飾りとしてちょっと綺麗じゃな、くらいのポンコツ品なのじゃ。
ある事情から私の本体は死んじゃったが、この刀に御魂を定着させ、なんとか現世に干渉し続けることができるようになったのじゃ。放置されすぎて錆びたがのう。
そして私に基本機能として備え付けられたもの、それが所有者以外に使えなくする呪い……はっ、主人からの殺気が痛い!
まあ制約を自身に課したのじゃ。なのでこの刀は基本的には主人しか使えぬ。
次に、龍神の加護じゃのう。信仰者もほぼ存在しないので大したことはできぬが、ちょっとした願いなら叶えられる。主人は、何故か眼の色を人間と同じようにできる眼鏡が欲しい、とか言ってたのでその能力を持った眼鏡を作ってあげた。お陰で刀身がちょっと短くなったのじゃ……
最後に、これが素晴らしい機能、そう!この刀は成長するのであーる!
レベルとレアリティ制度を取り付けており、色々と強化方法も取り揃えておるのじゃ。くくく、げーむが私の隠れた趣味じゃからの。ん?何故げーむを私が知っておると?だって龍神国アルロスは超先進国家だったのじゃぞ?そりゃあ最終的にげーむくらいは作るのじゃ。
その経験を活かし、この刀には成長機能を取り付け、使用者が楽しめるように作ってあるのじゃ。え?暇だったのか?そっ、そんな事はないのじゃ、本当にあの時はギリギリだったからの、消滅の直前に作り上げただけでもすごいと崇めるのじゃ!(成長機能を取り付けるために残ってた神性をほとんど消費したとは口がさけても言えぬな……てへ)
「で?成長する刀っていう割にはずっと錆びたままじゃないか。どうなってんだ?」
『それはのう、この刀は闘う事によって刀自体に経験値をためて、それとあらゆる素材を使って錬成する事で進化するのじゃよ』
「すげえ!なんか楽しそうな機能持ってるな!」
「わざわざ神の名がついてる刀を育てるって面倒すぎだろ」
ちなみにクリカラーンの声は俺が仲間だと認識した者には聞こえるようになっているらしい。
アーノンは初めてこの刀と話した時には何故かすごくかしこまっていたが、ある程度話してから親しくなったみたいだ。俺より適正あるだろ。
『そうじゃろ〜そこで役に立つのが【ステータス魔法】なのである』
「ああ、お前が教えてくれたやつな。……ん?なんかオレのステータス画面に追加されてるぞ」
『それこそが私のステータスなのじゃ』
クリカラーンが言う【ステータス魔法】とは、原始魔法と呼ばれる太古の魔法らしく、今は失われた魔法と同様のもの。俺に流れる龍人の血と、転生した経験から適正があったみたいで使うことができるようだ。
厳密に言えば俺の使えるステータス魔法とクリカラーンの言うステータス魔法は異なるらしいが、そこまで気になるようなものではない。
言ってみればゲーム風に自分のステータスを確認できるもの。
ステータスを念じると手元に薄い透明な表が浮かび上がる。アーノンには見えないみたいだ。