ー第3話ー
第901独立強襲猟兵大隊指導部ー通称、黒猫の住処ーは30名ほどの、多種多様な私服を着た男たちで溢れていた。
いささか早すぎたのではないかと思う。
『皆ご苦労』
息を切らして、勢いよく扉を開けた。
命令した僕はいまだ軍服のままであるが、まぁ、仕方がない。
今思えばなかなかにガバガバだった
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青瀬の武装について
・名称と全長
・スペック(射撃機構及び連射時の分間速度)と収納場所
・モデルと使用弾薬の分類。扱い
P09自動拳銃…全長25cm
単発、対象捕獲射撃。
軍服上着左前腹部のホルスター
ワルサーP38・9mm撃弾。サイド・アーム
P98自動拳銃…全長25cm
単発、対象捕獲射撃
軍服上着のマント
ルガーP08・9mm撃弾。気分でサイド・アームに
ROS魔法拳銃…全長25cm
単発
軍服上着のマント
ワルサーP38+ルガーP08のグリップ・弱45口径氷結術式撃弾。奥の手
ローレ回転式拳銃二丁…全長25cm
単発、散弾、対象捕獲射撃。
軍袴側面左右のホルスター
Single Action Army・9mm撃弾。ほぼ玩具
P96機関拳銃二丁…全長30cm
単発、連発、対象捕獲射撃。800発/min。
軍服上着のマント
M712・7.92×25mm撃弾。対化け物用拳銃
P10自動拳銃二丁…全長17.5cm
単発、連発、対象捕獲射撃。1500発/min。
軍服上着のマント
G18+USP+MP7・9mm撃弾。対人拳銃
MP11短機関銃…全長60cm(折りたたみストック展開時80cm)
単発、連発、対象捕獲射撃。1200発/min
軍服上着右前のポーチ
MP40・9mm撃弾。メインウェポン
StGK−9自動歩兵銃…全長90cm
単発、連発、対象捕獲射撃。900発/min
軍服上着のマント
FN FAL+AK74MN+StG44・7.92×57mm撃弾。一般戦闘
StGK−7z自動歩兵銃…全長90cm
単発、連発、連発、対象捕獲射撃。800発/min
軍服上着のマント
フェドロフ自動小銃・7.92×57mm撃弾
StGK−10自動降下猟兵銃…全長80cm(1.5cmごとに銃床を伸ばせる)
単発、連発、対象捕獲射撃。900発/min
軍服上着のマント
HK416・7.92×33mm撃弾
Gew-A1歩兵銃…全長90cm
単発
軍服上着のマント
ウィンチェスター+リボルビングライフル・7.92×25mm撃弾
Gew-A3歩兵銃…全長85cm
単発、散弾
軍服上着のマント
M870・7.92×25mm撃弾
Gew−A20歩兵銃…全長110cm
狙撃、対象捕獲射撃。
軍服上着のマント
kar98k・13mm撃弾。装弾数10発
Gew-K2歩兵銃…全長90cm
狙撃、爆撃術式、対象捕獲射撃。
軍服上着のマント
Kar98k・7.92×57mm撃弾 or 7.92×94mm撃弾。狙撃
StGK−11降下猟兵銃…全長75cm
単発、連発、対象捕獲射撃。900発/min
軍服上着のマント
L85A2+FA−MAS+ShAK–12・7.92×57mm撃弾。
MG20/74汎用機関銃…全長130cm(銃身伸縮時110cm、銃身銃床伸縮時90cm)
連発、対象捕獲射撃、撃式放射。3000発/min
軍服上着のマント
MG42・13mm撃弾。制圧射撃
銃剣…刃渡り20cm、持ち手15cm
軍服上着右手側面の剣差
Kar98k用銃剣・帝国式切断術式。便利アイテム
鋭剣…刃渡り55cm、持ち手20cm
軍服上着のマントor左腰に佩刀
サーベル拵えの日本式軍刀・帝国式切断術式(刃)、帝国式制圧術式(護拳)。近接戦闘時のメイン・ウェポン
スコップ…全長60cm、持ち手40cm
軍服上着のマント
平形軍用スコップ・帝国式制圧術式。近接戦闘時のサブ・ウェポン
力術擲弾筒から取り出す攻撃擲弾、焼夷擲弾、氷結擲弾、迅雷擲弾、豪風擲弾、ガス擲弾…全長35cm
軍服上着背面のベルトに吊り下げ
力術擲弾筒自体はドイツ軍の書類ケース、手榴弾はM24型柄付手榴弾。雑魚狩りアイテム
TaG3無反動砲…130cm
単発
軍服上着のマント
パンツァーファウスト・攻撃擲弾。対化け物用無反動砲
氷術式…様々
全てすぐ壊れるしすぐ再生できる。雑
弾道ナイフ2本…刃長20cm、持ち手15cm
軍袴側面左右のホルスター
スペツナズ・ナイフ、帝国式切断術式(刃)、制圧術式(鞘を含めた全身)。乱戦時の奥の手
ライター…全長5cm
軍服上着腹部の右ポケット
銀色で正方形の、開けたら『カチンッ⭐︎』となるアレ。帝国式焼夷術式。基本的に超力術式棒の火付け役(物理)
懐中電灯…全長10cm
軍服上着腹部の左ポケット
キャンブ用品店で売っているもの・帝国式雷光術式。銃の下部に取り付けたりと、割と重宝されている
超力術式棒…全長7.5cm
持続時間は無限。ライターを閉じれば効果は終わる。
軍服上着胸部の左ポケット
至って普通のタバコ。魔術詠唱のショートカットアイテム
基本的に帝国軍の銃は、ジミスペック警察隊員の時点で全て装弾数は無限である。
ただし、"その他"に記載されている特殊撃弾を使用する際には、拳銃なら遊底を引いたりして、再装填のような動作をし特殊弾用の弾倉を装填する必要がある。
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『これより作戦概要を説明する』
『中佐殿、まずなぜ集められたかお尋ねしたいのでありますが』
小隊の三列目にいた曹長が手を上げ、言った
『ああ、すまない。えーっとな、今日のー……午前9時半頃に自殺未遂事件があったのは知っているな?』
『はい。それは』
『我々が、というか師団が面倒を見ることになった』
微妙な空気が流れた、お調子者らしい上等兵も、これに手を叩くことはなかった。
『貴官ら全員には乙種勲章が与えられるから、気を引き締めてかかるように。』
左目の目尻がピクピクと痙攣する。
ぶつけようのない怒りを感じている時の僕の癖であった。
"親衛隊は冷静であれ"という規範を、真っ向から否定する己の態度。
怒りが全身から滲み出ていることだろう。
『実は、現在他の部隊に本人質問を頼んでいる。君たちをここに集めたのは早すぎたのかもしれない』
すまない、という言葉は使わず、目を伏せて身体で表す。
信頼関係だからこそできる上官の謝り、、、
東坂准尉が笑って応えた
『大隊長殿が、これは珍しい。ご心配なく!。我々は中佐殿と共にありますよ、なぁ片倉ぁ!』
片倉と呼ばれた将校は恥ずかしそうに微笑み、拳を掲げて言う。
『そうだとも!。中佐殿がここまでお怒りになる大事件だ、いつもの109倍頑張って犯人を捕まえようではないか!』
しかし、誰も手を突き上げることは無かった。
彼はぽそりと呟く。
『お前ら給料泥棒かい!』
『ふっは!』
2列目の一等軍曹がー耐えきれなかったのかー吹き出したのを皮切りに、僕も不思議と笑えてきた。
『……ふふっ、ふは。ははははははは!』
ひゃひゃはぁ!。ひっひっ!
奇声と引き笑いが指導部を包み込む。
うちの部隊はいつもこんな感じだ。将校どもは人間的に優秀で、下士官どもは上下部隊の維持に長けている。
兵どもが緊張がちになることは他部隊と変わりないが……
さながら部活動と言えるだろう。
腰ポケットのわずかな振動を感じ、携帯を取り出す。
『……〈はい、もしもし。牧野少尉か?〉』
『〈はい、大佐〉』
『〈中佐だ。間違えるなよ〉』
『〈はい。…重容者の身元が割れました。氏名は広瀬、菜穂子。西領都第1県第3地区在住。職業は介護福祉士であると。事務所名は……〉』
そう言った彼を急かすように少し跳ねてみた。牧野少尉は資料でも見ながら話しているのか、語尾が不自然である。
さぁ、早く!
時間にしてたった5秒。文字にして3文字。
『〈…きづき、であります〉』
『……〈ほう、"きづき"?。社員があれなる状態になっていることすら分からない癖によくもそんな名前にできたものだ!、なぁ少尉!〉』
大声、かつ早口で。
興奮状態であることを自覚しつつも止まらない。
彼の返事を、待とうとすらしなかった。
『〈先に言っておくが、最悪僕は粛清許可を取るつもりだ。白狗部隊にそれなることをさせるつもりは無いから安心し給え!〉』
『〈……相当お怒りでありますね〉』
『〈我々の責務だからな〉』
黒猫部隊の笑い声も既に小さくなっている。
みんな良い子に、僕の通話を待ってくれていた
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『〈これから向かわれるのでありますか〉』
やばい。語彙力がなくなるレベルにこの人はやばい。
指導者として____冷静さを失っている。
恐らくあの人はその気になれば狙撃兵も動員するだろう
できるのだから!
白狗部隊将校団、磯辺下級中隊指導官は電話の外で、こちらの顔色を伺いながら広瀬さんと相対している。
白木中隊指導官がいないのは……さすがの俺でも察せるなぁ。
ちくしょう、おかげで電話の奥は罵声の海だ。
『〈当たり前だ!、貴官らから情報を受け取ったからな。僕は我慢できるだろうか!。なぁ少尉!〉』
『〈……突撃砲兵は持ち出しませんよね?〉』
『〈連射は許可するさ。小隊指導者。〉』
ちくしょう。なぜ突撃隊が引き受けた。
畜生。なぜ秩警で解決できなかった!。
青瀬中佐によって受勲することができた、この乙種鉄十字勲章……。
襟元に吊り下げられた勲章…。
今、それは手垢で薄汚れ、汗が長い間隔で滴り落ちる物体に成り下がっている
『〈……二等戦闘指導者殿。どうか、冷静に〉』
『〈冷徹が適切だとは思わんかね?。ああ、すまないがそろそろ見回りだ。同志よ、引き続き任務の遂行を頼む〉』
そう言い、彼は電話を切った。
しかしながら、一向に白木大尉の姿がみえない。
彼は連絡を取っているのだろうか
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『…さて、長らくお待たせした。海羅副官!』
『はっ。これより作戦概要を説明する。小隊を6人1組の5分隊に分け、指定された地区を回ってもらう。大隊長殿には水瀬、月輪同少尉、また防御部隊志願兵……嶋津伍長、中之上等兵が着く。』
説明を黙って聞いていた。
どうも、国防軍にいた頃からこのような人選は苦手だったりする、
将校過程を受けることなく少佐になったのだから。
元々、海羅副官が少尉か中尉だった時から将校にはビビらなくなっていたが。
『聴き込みを近隣住民に行い、…そうだな、その際犯罪に遭ったら捕縛などをし、警官隊に連絡すること。』
『忙しいんだと拒むようなら僕の名前を出すか、突撃隊だと名乗れ』
命令をリレーのように、海羅の次は僕が伝達する
少しの笑いが起きた。
……こうは言え、僕の名前を出した程度で果たしてどの程度の効果があるのか。
世間体など気にしていられないのが、何とも悲しい。
『突き止めた場合は…国家防衛法第3項第1条に基づき、ああ、間違えた。第4項第1条だったな。…業務形態、人員の個人情報…知り得るものは全て特定しろ。』
危ない危ない。第3項は高度機密保持が含まれるから、強制連行しかねん。
じわじわと追い詰めるのだ。
『質問無いな?。では、総員任務へ移れ!』
『了解!』
伝えるべきことは以上。
決して許すものか、締め上げて、殺してやる。
『水瀬!、月輪!。』
軍帽を近くに掛け、軍装を脱ぐ。
下に私服を着ておいて良かった……
他分隊は既に部屋から出ている。
『さてお姉ちゃんお兄ちゃん方、準備は良いな?』
『ちゅ、中佐殿?』
振り返りながら、彼等を呼ぶ。
水瀬が笑いを堪えながら僕を凝視する、月輪は逆に、後ろを向いていた。
『失礼なお姉ちゃんめ。いいか?、帝国兵たるもの、臨機応変に努めねばならんのだ、おい月輪小隊指導者笑うんじゃない』
『も、申し訳ありません…!。あの中佐殿が。お兄ちゃんっ……って…!』
『蹴りあげるぞ』
『はい、すいません』
AP89自動拳銃を右腰のホルスターに差し、服で隠す。
兵の労いも必要だからな。
『嶋津警戒手。』
『はっ、はいッ!』
『貴官はお父さんだ』
『はいっ!…え、な、なぜ!?』
くそ、なぜわからん。
一番ー親衛隊員だとー解りにくいだろうがッ。
『中之狙撃手は従兄弟のお兄ちゃんだから』
『は、はぁ……』
『貴官ら志願兵には期待している。帝国の秩序のため、よく奮闘するように』
『は、はい!』
中之を見据えながら言った。服の袖を捲る
年中春から夏に季節が固定されている西領は____とても暑い。らしい。
氷結の能力者に言われてもわからんのだがね…!
『地獄を作るのは我々の仕事だ、間違っても国公試験上がりの国民ではない。』
小隊をざっと見回し……言い放った。
・国公試験
国家公務員試験のことです。この場合、介護試験に当たります。