うっかり召喚、義経くん!
平凡な男子高校生である俺の唯一の楽しみは義経について書かれた伝記を読むことだった。
ある日家に帰ると妹が勝手に義経記を読んでいて、俺は妹に腹を立ててしまう。
そんな俺は偶然に義経を召喚してしまい……。
「ただいま」
「おかえり~お兄ちゃん」
学校から帰ってきた俺はカバンを置く。
部屋では妹がくつろいでいる。
「お前何読んでるの?」
「義経記だけど」
「それ俺のなんだから勝手に読むなよ!」
「え~」
翌日、家の前でチョークを持った妹が何かを描いている。
「俺にも義経みたいなかっこいい弟がいたらな」
「あ~お兄ちゃんそこ踏まないで!ああダメ~!」
次の瞬間、まぶしい光とともに何者かが現れた。
「私を呼んだか?」
「お兄ちゃん、魔法陣の上に人が!」
「もしかして義経?」
「いかにも」
義経が妹を見下ろす。
「私は兄に虐げられし者のため復讐するべく参上つかまつった、そなたの剣になろう」
「え?」
次に義経は俺のほうに向き直る。
「うぬが悪逆非道の兄だな、成敗しよう!」
「ひいいい」
やばい、こうなったら……
「来い、頼朝!」
次の瞬間、まぶしい光とともに何者かが現れた。
「私を呼んだか?」
「お兄ちゃん、魔法陣の上に人が!」
「もしかして頼朝?」
「いかにも」
頼朝が俺を見下ろす。
「そなたが私を呼んだのか?」
「ああ!そいつを止めてくれ」
「義経じゃないか!」
「兄上!」
「弟よ共に戦おう!」
「いざ鎌倉!」
義経と頼朝は俺に向かってくる。
「なんでこうなるの?」