06ドワーフっているよね
武器屋は歩いて30秒で着いた。
中に入ると剣や杖、 盾や鎧など様々な武器や防具が置いてあった。
そこにチャラそうな定員っぽい人が。
「いらっしゃい! 兄ちゃん見ない顔だな?駆け出しか?なら買いに来たのは武器か! なんも持ってないしな。 魔法使いだったか?剣士にしてはヒョロいしな! で?何買いに来たんだよ。 おい。 何か言えよ! 兄ちゃん大丈夫か?何ほおけてんだよ。 おーい。 」
と定員Aが一気にまくし立てる。
アンタが止まんねーから口挟む余裕がねえんだよ!
「すみません、 今回は武器を探しに来ました。 」
「おう! 武器だな! 何を使うんだ?魔法使いだったら杖だな、 魔法使いか?」
「一応剣を使おうと思ってます。 ですが武器のことが分からなくて。 」
「なるほど、 剣士だな! ならどういう剣を使いたい?大剣か?んなわけねえか! ヒョロいしな! なら片手剣か! 初心者ならオススメだぞ! 槍とかもあるがどうする! 距離が取れるから比較的安全だ! 初心者だと近づきすぎて動けなくなるなんてよくある話だしな!まぁ死ぬときゃ死ぬからな! 駆け出しなら金はそう無いか! いや、 そうでも無さそうだな! いい服着てんじゃねぇか! だけど駆け出しなら良すぎる武器はやめといた方がいいぞ! 武器に頼るようになるからな?まぁレベルが低いと装備もできんものもあるしな! 兄ちゃん黙ってないでなんとか言えよ!おーい」
アンタが止まんねーから口挟む余裕がねえんだよ!
「一応片手剣かショートソードを使おうかと思います。 まぁ色々と試してみて使いやすいやつがあればと。 自分は攻撃力が低いので。 」
「なる程な! ならこいつはどうだ! 攻撃力は少し低いが初心者でも使いやすいショートソードだ! 兄ちゃんの攻撃力が低いってもレベルが低いんだろ! なら問題ない! 」
と言いショートソードを渡してきた。
飾り気のなく切れ味も包丁の方が上なのでは?とか思ってしまうが...まぁここの文化レベルと比べてもな。
持ってみるとてつのズッシリとした重さが両手に...
「ってか重! なにこれ!?こんなん振り回すのかよ! 」
重すぎて戦うどころか素振りすら危ないわ!
「は?それ位のショートソードなら攻撃力10もあれば振れるだろ。 」
...え?攻撃力10?
「兄ちゃん攻撃力いくつなんだ?いや他人にステータスなんてそうそう話しちゃいかんもんだが。 」
「......5です」
「...は?」
「...5です」
「レベルは?」
「確か3です」
「......兄ちゃんちょっと待ってろ。 」
そう言って定員が店の奥に入っていく。
...武器装備するのにも攻撃力かよ! 希望は!希望はないんですですかい! 助けてヘルプミー。
レベル上がっても攻撃力上がる気配なし。
武器による攻撃力アップも無理。
スライムに3分。
...詰んだ?
凹むわー
...ってか遅いな。 いつまで待ってればいいんだ?
暇になったので壁にかかってる武器を見てみる。
大剣とか持てないよな...持ってみたけど重いな。 無理だな。
なんて見ていると1つの物に目が止まった。
それは壁に丁寧に掛けられていた盾。
飾り気はなく五角形の将棋の駒をひっくり返したようなシンプルな白い盾だ。
大きさは上半身がちょうど隠れるくらい。
手に取ってみる。 ...軽い。
剣が攻撃力なら盾は防御力なのかな?
凄く手に馴染むし欲しいかも...いくらだろ?早く定員さん戻って来ないかな...でも防御力より攻撃力欲しいなー。 ゲームだと特化型のが良い気はするけど自衛手段欲しいしな...。
そんなことを考えていると奥からさっきの定員と違う人が出てきた。
その人は身長が小さく130位だろうか、 アゴには髭を生やし腕は太い。 ...これはもしかしてドワーフと言うやつか?
その人は一瞬俺の手元を見たと思うと、
「お前が攻撃力5とか言う冒険者か?」
と聞いてきたので「はい」と答える。
「...坊主悪いことは言わねぇ。 攻撃力5で冒険者は止めとけ。 しかもレベルが3なんだろ?ステータスってのは最初っから高い奴は高いが、 低い奴は何時まででも低いんだ。 まともな武器も持てねぇよ。 ...ワシはこれまでいろんな冒険者を見てきた。 ここはギルドの直営って事で初心者が大勢来る。 だから見ればわかる。 坊主は冒険者に憧れを抱いちょる。 生活が出来ないほど辛い訳でも無さそうだしの。 ...冒険者は坊主が思ってる程良いもんじゃねぇ。 死ぬのが落ちだ。 帰んな。 」
と言ってきた。
...なるほどステータスは最初からあらかた決まってるのか。
某ポケ○ンの種族値みたいなもんか?ルカリOとメタグ□スみたい。
まぁそれは置いといても、 やっぱり攻撃力5で冒険者は無理なのか......
「...それでも、 俺は冒険者になる。 世界を見て周りたいんだ。 」
「別にそれなら行商人とかでも「それでも! やれるだけやりたい。 可能性はゼロじゃないんだ。 」
...ここで辞めるくらいならアックスの時点で辞めてるよ。
憧れの異世界で冒険者やらないとかアホじゃねえの?
いや異世界もので冒険者やらない人の作品を貶してるわけじゃないけど。 とても面白いけど。
ドワーフっポイ人が呆れ顔になっている。
「...それにこう見えても防御力だけはあるんですよ?何かあっても逃げるくらいして見せますよ。 」
「...筋金入りのアホらしいの。 なら勝手にせい。 これだから最近の若者は...坊主これはお節介なジジィからの助言じゃ仲間を作れ。 信用できる仲間を。 」
と真剣な顔で言ってくる。
「...分かりました。 まぁ仲間は探すつもりでは居ましたので、 自分で攻撃出来ませんからね。 ...それで二つお聞きしたいことがあるんですが。 」
「なんじゃ?気になった防具でもあったかの?」
...ここで武器と言われないのが辛い。 まぁ持てなかったけど、 短剣っぽい奴でも持てなかったけど!
「...貴方はドワーフですか?」
「そうじゃがそれがどうした?ドワーフなんてそう珍しいもんでもなかろうて。 ...もしや坊主...人間至上主義の奴か! 」
と怒鳴ってきた。
なんか怒らせてしまったらしい。
とりあえず「...人間至上主義って何ですか?」っと聞いてみる。
「なんじゃ違うのか?そんなこと聞いてくるもんじゃからてっきりそうじゃと。 人間至上主義っちゅうのは人間以外は...獣人やワシらドワーフなんかは人じゃない、 動物と同じじゃと考える奴らのことじゃ。 この辺だとノワール王国がそうじゃな。 あそこでは獣人達は見つかった瞬間、 殺されるか奴隷にさせられるかじゃな。 」
なるなる。 つまり...
「...アホの集団か何かか?獣耳少女を殺す?んな事誰がさせるかぁぁ! ! 戦争だぁ! 滅ぼしてやる! 一人残さず! 」
「...坊主! 分かったから落ち着け「これが落ち着いていられるかぁ! 」坊主が人間至上主義者じゃないのはわかった。 だから落ち着くのじゃ! だいたい坊主1人で何が出来る。 とりあえず落ち着くのじゃ。 」
............10分後...............
「すみません、 取り乱しました。 」
「...まぁよい。 で、 もう一つの要件はなんじゃ。 」
もう一つ?
「ああそうだった。 そこにある白い盾が欲しいんだ。 いくらだ?」
「坊主あれが欲しいのか?あれは見た目は良いがやめといた方がええぞ?持つとこう何て言うか、 服を着たまま雨に濡れたみたいな気持ち悪さがあるんじゃ。 他にもあれを欲しがった奴はおるにはおったが、 持つとなんか気持ち悪いと言って買うのをやめるんじゃ。 坊主もさっき持ってたから分かるじゃろ?」
「...特にそんなことは無かったけど。 」
「そうなんか?まぁあれなら買い手も無いし...大銅貨1枚で良いかの。 」
おっまじで?ほかの見ても銀貨からなのに大銅貨1枚とか安いな。
「買った。 これ売ってくれ。 」と言い大銅貨を1枚払う。
「...坊主死ぬなよ?坊主は...まぁ変な事言う奴ではあるが悪い奴ではなさそうじゃしの。 」
「...ああ分かってるよ。 死ぬ気は無い。 それじゃあな。 」
と言って盾を持つ。
そして盾を置いてあった場所に小さな袋を置く。
そうして武器屋を後にした。
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「...変な坊主じゃったの」
攻撃力が5しか無いわ、 あの盾を買っていくわ。
じゃが坊主は獣人達を殺すと言ったらあんなに激怒しておったしの。
今度来たら酒の1杯でも飲もうかの。
ん?机に何か置いてあるの。 坊主の忘れもんか?
そう思い袋を開けてみる。
中には1枚の金貨が入っていた。
「...坊主もアホじゃのぉ。 」そう言って店の奥に戻っていく。
今度一番いい酒でも出してやるかのぉ。
そんなことを思いながら、 そう言えば名前聞くの忘れたのぉと思いながら何時もの鍛冶の作業に戻っていった。
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...さてと武器が持てないのは少し...結構...かなり残念だったが持てないのは仕方ない。 もしかしたらあるレベルで一気に増えるかもしれない。 可能性はゼロじゃないんだ。
今の時間は...3時位か?この後どうするか...少し小腹がすいた気がする。 そういや今日の昼は串焼き2本食べただけだったか?
なら軽く摘めるものを探すか。
...どこ行こう。 ...そのへんの人に聞いてみるか。
そう思い八百屋っぽい所に行ってみる。
オバチャンが元気に客寄せをしていた。
「いらっしゃい! いらっしゃい! 今朝取れた新鮮な野菜だよ! 」
などと声掛けをしている。
「いらっしゃい! そこの兄ちゃん。 何か買ってかないかい?」
そう言われて並んでるものを見てみる。
トマト、 ピーマン、 ナスなどいろんな野菜が置いてある。 あっ、 トウモロコシっぽいのがあった。
それを手に取り
「オバチャンこれはなんだい?」
「なんだ兄ちゃんトウモロコシも知らないのかい?家のは甘くて美味しいよ! 普通茹でてから食べるけど家のはそのまま行けるからねぇ! 」
どうやらトウモロコシで良かったらしい。
「ならこれを一つくれ。 」
「毎度あり! 一つ銅貨2枚だよ」
「そういやオバチャン。 実は俺この辺に来たの初めてでさ、 料理の美味い店とか知らないか?」
と銅貨を2枚払う。
「それならこの道を真っ直ぐ行くと左手に小鳥の泊まり木って言う宿屋があるんだけどそこの一階の食堂が美味しいよ。 」
と教えてくれて銅貨を2枚受け取る。
「ありがとう、 そこに行ってみるよ。 」
そう言って教えてもらった小鳥の泊まり木に行ってみるのだった。
トウモロコシは美味しかった。
...醤油が欲しいと切実に思った。 七輪で焼いて醤油で...
醤油を手に入れると心に決めた瞬間だった。