03羊の名前はセバスチャン
「知らない天井だ」
言ってみたかった。 反省も後悔もない。
護が目を覚ますと見たことのない部屋のベッドのだった。
何故こんなところに?
思い出そうとして少し考える。
「俺は確か森の中に居たよな?何故こんなところに?そもそもどこだ?...確か......そうだ! 襲われてた人を助けようとしたんだ! あれ?なら俺は死んだのか?」
肩を斬られた事を思い出し肩を見てみる。
傷など一つもついてはいなかった。
夢だったのか...などと考えていると
コンコンとノックする音が聞こえる。 そしてドアが開かれる。
入ってきたのは60になるのでは、 という執事の格好をし白い髪をオールバックにした、 いかにもセバスチャンっポイ人が入ってきた。
「失礼します。 おや?もう起きられておりましたか。 これはご無礼を、 早速で悪いのですが、 お嬢様がお呼びですので付いて来てもらってもよろしいですかな?」
「大丈夫ですよ。 えっと貴方は?俺は護と言います。 」
「失礼、 マモル様ですね。 私はこの屋敷で執事をしております。 セバスとお呼びください。 」
ホントにセバスだった。
「それではセバスさん、 色々聞きたいことがありますが、 お嬢様?の所に連れて行ってくれませんか?」
「かしこまりました。 こちらへどうぞ。 」
俺はベッドから降りて立ち上がりセバスと名乗る人について行く。
部屋を出て見ると、 廊下は凄く長く部屋も沢山あった。 どうやらかなりの大きさの屋敷らしい。
長い廊下を案内してもらい一つの部屋の前に止まる。
コンコン
「お嬢様、 セバスでございます。 マモル様をお連れになりました。 」
「入っていいわよ」
「失礼します」
と言い部屋に入っていく。
そこには先ほどの女の子が居た。
金色の髪のショートカットに赤い瞳、 身長は小さく140位だろうか。
口からは八重歯が覗いている。
その奥に騎士っポイ人もいる。 あっ森で最後まで残ってた人だな。
少し頭を下げる。
「こうしてお話するのは初めてですね。 あらためまして、 はじめましてマモルさん、 私はメアリー・ブランシュ。 このブランシュ王国の第二皇女です。 森では助けていただきありがとうございました。 」
とメアリーはお礼を言ってくる。 マサカオウジョサマダトハー
しかし、 名前いつ教えたっけ?あっ、 さっき執事さん「セバスです。 」...心読まれた?まぁセバスさんが言ってたか。
なら助けたって言うのは何のことだ?
「はじめましてメアリー・ブランシュ様。
私は護と言います。
一つ聞きたいのですが助けたと言うのはどういうことでしょうか?」
とりあえず名前だけを伝える。 異世界では名字が貴族だけとか良くあるからな。
森でそうしようと決めていた。
「マモルさん貴方は私の命の恩人ですから敬語はいらないのですよ。 後私の事はメアリーとお呼びください。 」
「ええっ! そんな! 皇女様に敬語を使うのは当然のことですしそんな恐れ多「なら命令です! 」えぇ...分かりました。 メアリー様が「メアリー! 」...メアリーさんがそう言うなら...。 」
本当に良いのだろうか。
まぁ本人がいいと言っているし、 何より俺が様付けとか慣れてないし結構言ってて恥ずかしかったしな。
「本当はメアリーと呼んで欲しかったですが今は妥協しますか…。 」
と皇女は頬を膨らせている。 可愛いな。
「それで話は戻りますが森での話ですね。
改めてありがとうございます。
貴方が助けてくれなければ私は今ここには居なかったでしょうから。 」
「その事なんですが、 すみませんが何の話ですか?確かに助けようとはしましたが私は盗賊に斬られて直ぐに気絶してしまったのですが…?」
そう俺は盗賊に斬られて気絶したはずだ。 なのに俺が助けたことになっているのは何故だ?
「?そんな謙遜をしなくても大丈夫ですよ?。 確かに貴方は盗賊に斬られて居ましたがそれでも立ち上がり盗賊を倒してくれたではありませんか! 」
?何の話だ?
とメアリーさんがその時の事を話してくれる。
だが記憶にないな。
「あの時の事覚えて無いのですか?...あんなにカッコよかったのに。 」
ん?最後の方声が小さくて聞こえなかったな。
「まぁ良いです。 良くないけど良いでしょう。 そう言えばマモルさんって変わった名前をしてますね?服装も見たことのないものです。 どこの国から来られたのですか?」
うん。 聞かれるよね。 しかし返答は決まっている。
「そうですね。 実はそれが憶えてなくて...名前は覚えていたのですが常識など全て忘れてしまったみたいでして。 」
記憶喪失はテンプレだよね。
「そうでしたか。 ...記憶喪失と言うやつですね。 記憶が戻るといいのですが...。 そうでした! 忘れる所でしたが助けていただいたお礼をしたいのですが...セバス! 例のものを。 」
「こちらになります。 」
メアリーさんが言うとセバスさんがサッカーボール位の大きさの袋を直ぐに持ってきた。
仕事早いな「執事ですから」...心読んでますよね?
中を見てみると金貨がぎっしりと入っていた。 この袋の中身全部金貨なんだろうか?
「これは?」と聞いてみる。
「助けていただいたお礼です。 命を救ってもらったのですからこれでも少ないですが...やはり少なかったですか?分かりました!お姉様に事情を説明してお礼がしたいと頼んでみます!」
「待って! ちょっと待ってください! 逆です! 多すぎませんか?いえ物価の平均を覚えてないので分かりませんが、 これは多いと思います!」
「いえ! 命を救ってもらったのですからこれでも少ないくらいですよ。 セバス平民の平均的な収入っていくらかしら?」
「農家の年収が金貨1枚が平均です。。 平民でも2、 3枚かと。 」
「すみません。 銀貨は何枚で金貨になるんですか?」
「本当に覚えてないのですね」と呟いて教えてくれた。
この世界では
銅貨10枚=大銅貨1枚
大銅貨10枚=銀貨1枚
銀貨10枚=大銀貨1枚
大銀貨10枚=金貨1枚
金貨10枚=白金貨1枚
白金貨10枚=黒金貨1枚
と10枚単位で増えていくらしい。
少なくとも100枚は金貨が入っている。
月に大銀貨3枚で良いならやはり多い。
それでもメアリーさんは引いてくれないだろうな...。
金は...欲しい。
この世界で何があるかはわからない以上あって困ることはないだろう。
しかし良いのか?貰えるなら貰うか。
「それとこちらも渡しておきます。 」
セバスさんが何かバックのような物を持ってくる。
腰にまくタイプの物だ。
「これはマジックボックスと言って見た目よりも多くのものが入ります。 ですが、 それはあまり多くは入らないので金貨を持ち運ぶのにお使い下さい。
マモルさんはこれからどうしますか?
私としてはもっといてくれてもいいのですが...。 」
とメアリーさんが頬を少し赤くしながら言った。 可愛いな。
しかし、 これからか...ずっと世話をしてもらう訳には行かないしな
「とりあえず暫くはこの国で冒険者になろうと思います。 」
せっかく異世界なんだしいろいろ見ておきたいからな。
「え?暫くはと言うことはいつかこの国を旅立たれるのですか?」
「はい」と答えるとメアリーさんが目に見えて落ち込んでいる。 何かあったのかな?
「とりあえずいろいろと買い揃えたいので店を見てこようと思っています。 」
学生服は目立つのがテンプレだしな。
服と旅に必要なものが欲しい。
後は異世界のテンプレ的にあると思う、 と言うかあって欲しいあそこに行きたいしな。まぁさっきの会話でもあったしな。
「そうですか。 私もついて行きたいのですが......余り外には出られないものでして...。
そうだ!これを渡しておきますね!何かあった時にはこれを見せれば役に立つはずです!
夜までには戻ってきてくださいね?お姉様にも紹介したいですので !」
「分かりました」と懐中時計のようなものを貰い部屋を出る。
さぁせっかくの異世界だ、 楽しまないとな。
助けたのはお姫様だったのだー