02隠された力?
体が痛い。
体が熱い。
痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ。
今倒れている俺の目の前には男が立っている。
そして手には血のついた剣。
男の後ろには女の子が居り絶望した顔をしている。
どうしてこうなったのだろうか。
血が目に入ったのだろうか...月が紅く染められて...
そして意識は遠のいて...
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初戦闘を終えた俺は森の中をさまよっていた。
いくら歩き続けても景色が変わることは無い。
「これ食べられるのかな...?」
護はキノコを手に呟いた。
この森がどこまで大きいのかわからない以上、 食料と水の問題が心配であった。
なので果物やキノコがないか探し回っていた。
キノコしか見つかってないが...。
「これなら食べれるのか...?他のよりはマシだろうが...。 」
今持っているのは、 椎茸のようなキノコだ。
他には赤色に白の斑点があったり、 紫色だったりと、 どう頑張っても毒キノコにしか見えない。
赤いヤツは食べたら大きくなれるかもしれないが...。
そんな事をしていると太陽がだいぶ下がってきている。
「だいぶ日が沈んできたな...。 安全な場所を探さないと徹夜をする事になりそうだな...。 」
やはり野営は川の近くでするイメージがあるな。
水筒の中身も少なくなってきたしそろそろ川を見つけておきたい。
飲めるのなら最高なのだがそこまでは期待出来ないだろう...沸騰させたら飲めるかな...?
「川を探すならやっぱり音かな。 川の音とか分かるかな...」
とりあえず耳を澄ましてみる。
するとザワザワと木の葉が擦れる音に紛れてなにか聞こえる。
「......なにか聞こえるな、 これは...金属なのかな...打ち合う音のようにも聴こえるか?
と言うことは人が居るかもな...敵の可能性もあるし一応隠れながらいくか。 」
護はキンキンと打ち合うような音がする方へ警戒しながら進んでいった。
その音がなる場所はすぐ近くにあった。
木の影から覗いてみる。
どうやら人が居たようだ。
コレで森を抜けれる! と喜んだが少し様子がおかしい。
と言うか襲われてね?これ。
そこには馬車がありそれを囲むように男達が居た。
そして如何にも騎士ですという甲冑を着た格好の人たちが馬車を守るように戦っている。
よく見ると馬車の近くに小さい女の子が居た。
どうやら女の子を守っていたようだ。
騎士達も頑張って戦っているが既に倒れているものが数人居る。
それに比べて盗賊?の方にはまだ人が多く居る。
助けるか?こういう時にラノベでは助けるだろう。 だとしたらどうやって?俺の攻撃力ではまともにダメージは入らないだろう。
こう考えている間にも倒れていく人が増えている。
死んではいないようだが暫くは戦うことは出来ないだろう。
盗賊?の方も10人程だったのが既に3人となっている。
騎士の方は最後の1人になってしまっていた。
3人はその1人を囲み牽制している。
騎士の方が強いのだろうが多勢に無勢防ぐのに精一杯である。
防げるだけすごいが...。
少しずつだが騎士がダメージを負ってきている。
助けるかどうか。 助けるならどう助けるか。
周りを見てみる。キョロキョロおっ丁度良い大きさの石みっけ。
拾った俺は盗賊?の背後にまわる。
騎士の人は俺を見つけ顔を一瞬歪める。
どうやら俺も盗賊?の仲間だと思われたようだ。
俺は目の前に居る盗賊?の1人に向けてなるべく大きな声を出して石で殴りつけた。
俺は助けるために考えた結果これが1番助けれる可能性があると思った。
3人がかりで拮抗しているなら1人でも引きつければいいのではないかと。
その結果。
石が砕けた。あれ?この人防御高すぎ?
「なんだ!」
「誰だ!」
「ははは…どうもー…逃げよ」
「!?なんだこのガキが! 邪魔すんならとりあえず死ねぇ!」
そして盗賊?が剣を使って攻撃してくる。
しかし俺はよける事は考えていた。
大声も出していたし気付かれて当然だろう。
なので反撃してくる事も考えていた。
俺は回避を行う。逃げろ逃げろ
さて1人を引きつけるなら大声を出さず後ろから襲いかかれば良かっただろう。
なぜ俺はそうしなかったのか。
答えは。
「ッ!はあぁぁぁぁぁぁ」
俺に気を取られていた盗賊?の隙を騎士は見逃さずに突いていた。
これが俺の狙い。 三人同時に相手をしても拮抗できるほどの人だ。 この隙を逃すはずがないと思っていた。
そして盗賊?もいきなり後ろから襲われたなら気を取られないはずはない。
斬られた盗賊?の1人は死んだ。
俺は心の中でガッツポーズをしていた。
騎士も絶望的状況をひっくり返して少し顔に安心が浮かんだ。
しかしこれが不味かった。
「オラァ!」
「ッ!」
もうひとりの敵が騎士に向かって剣を振った。
騎士もそれに反応し剣を振るう。
結果は相打ちとなってしまった。
盗賊?の男は生きてはいないだろう。
しかし騎士の人は気絶しているだけのようだ。 装備が良かったのだろう。
しかし
不味い不味い不味い不味い不味い不味い非常に不味い。
俺と盗賊?の一騎打ち。
ただこれだけならそこまで状況は悪くなかっただろう。
しかしこちらは素手に対し相手は剣を持っている。
しかも攻撃力たったの5だ。
しかも不意打ちでもダメージをあたえる事が出来なかった。
「クソ! 後は俺だけかよ! まぁ良いか、 後はガキが2人居るだけだしな。 貴様のせいで2人も死んだんだ。 死ねぇ!」
盗賊?は剣を振るう。
避けようとしたが体が動かない。
俺はとっさに叫んだ。
「フィジカルガード! 」
ガキッと鈍い音がする。
頭が痛い。 しかし剣は俺を斬れてはいないようだ。 頭に当たって止まっていた。
「クソ! どれだけMP使えばそうなるんだよ!
だがそれだけ使ったならもう使えないだろ!
こんどこそ死ねぇ!」
盗賊?はまた俺に向け剣を振るう。
この時俺は混乱していた。
頭から血が流れる。 ダメージが少し入っていたのだろう。
死と程遠い生活をしていた護の目の前にいきなり死があるのだ。
「うわぁぁぁぁぁ」
俺は逃げようとする。 後ろに全力で逃げようとする。
後ろを向こうとしていた所に盗賊?の剣が振られた。
「ッ! ぐぁぁぁぁぁぁッぁぁぁぁ」
熱い! 肩口の辺りが熱いのだ。
俺は仰向けに倒れていた。
「チッ死ななかったか。 だがその傷ではもう長くは無いな。 せいぜい苦しんで死にな!」
男は俺に背を向け女の子の方に歩いていく。
頭の血が目に入ったのだろう。
上に見える月が紅く染められている。
体が痛い。
体が熱い。 焼かれているのではと言うくらい熱い。
痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 痛い、 いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ。
もう助からない...死にたくない、 死にたくない、 死にたくない、 死にたくない、 死にたくない、 死にたくない、 死にたくない、 死にたくな…
「たす...けて」
声が聞こえる。 女の子の声が聞こえる。
女の子の方を見ると盗賊の男が近ずいていた。
痛い。 死にたくない。
...助けたい。 助けなきゃ。
そう思っても体に力が入らない。
意識が遠のく.........
女の子を...助けたい......
なんで助けようと思ったのだろうか?
異世界で浮かれていたのか?
女の子にいい所でも見せようと…?
それは盗賊と女の子の間に居た。
「なんだ?まだ動けたのか。 だがその傷で何が出来る。 」
「..................」
それは盗賊の問に答えない。
いや、 そもそも聞こえているのだろうか。
目は盗賊を見ている。 だがその目からは生気が感じられない。 どこか機械のような冷たい目。
「チッ不気味な奴だな。 まぁ殺すがなぁ! 」
盗賊はそれの頭に向かって剣を縦に振るう。
それは盗賊を見ている。 剣など無いかのように。
「死ねぇ!」
盗賊の剣がそれを切ろうとする。
ガキン !
「あ?」と言う音が盗賊から漏れる。
「まだそのレベルのフィジカルガードが使えんのかよ。 だがそれがいつまで続くかなぁ!」
盗賊は再び剣を振るう。
ガンガンと剣が頭に当たる度に音が鳴る。
おかしい、 と盗賊は剣を振りながら考えていた。
それの傷が癒えているように見える。
それよりも不気味なのは、 それはどれだけ斬りつけようとも男を見て剣を避けようとも見ようともしていない。
「いい加減死ねぇ!」
盗賊が全力で剣を振るう。
ガン!と大きな音がするがそれはビクともしない。
「何なんだよお前、 受けるだけで攻めようともせずに...なんなんだよ...まぁ良いや」
盗賊はそれを無視して後ろに居る女の子に向かおうとする。
するとそれは動いた。
「カウント12」
それが呟いた瞬間、 盗賊の男の上半身と下半身は別れを告げた。
それは後ろを振り向き女の子を見た。
それの目は先ほどの冷たい目では無く、 どちらかと言うと温かい目をしていた。
「えっと、 た助けて下さりありが「良かった」え?」
そうして護は糸が切れたように倒れるのだった。