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未定  作者: sherio
金髪
3/5

3


ジャリ…



俺が一歩踏み出した瞬間、金髪の様子が変わった。




金髪の周りに、変なオーラみたいなものが渦巻きまとわりつく。




…なんだありゃ…!?




「許さない…お前ら、やっぱ許さない…」




「お!?なんかする気だぜ!!」

「魔法でも使う気か!?」


「ハハハッ、おもし……ッ!!」



俯いていた金髪が顔を上げた瞬間、下衆共の顔から笑みは消え、恐怖に引きつっていった。



「その目…お前ッ…」




目…?

なんだ?

何が起こってるんだ?




風もないのに、金髪の髪がゆらめきだす。



「いいか、お前ら…10数えるからここから立ち去れ…でなきゃ……わかってるよね。いち…に…」



金髪が低い声でカウントを始めた。



「おおおおおいっいくぞ!!」

「あ…ああ…」

「やべぇ…あれはやべぇ」



下衆共は慌てて逃げ出す。

俺の横を通った下衆は怯えた顔で、「悪魔だ…」と呟いていた。



悪魔?



「ふう……ねえ君、だいじょうぶ?」



金髪は少年に手を差し出す。


 

「ありがと…う……うわ…」



少年は笑顔で顔を上げるが、お礼を言い終わる前に顔が恐怖に歪んだ。



「う……うわああああああああああ!!」



結局金髪の手も借りず、こけそうになりながらも走り去っていった。



…なんなんだよ…?



俺は金髪に興味が湧き、様子を伺うことにした。



しばらく金髪の後姿を見ていると、先ほどのオーラはだんだん薄まっていき、髪のゆらめきも止まった。



「…はぁ…」



がっくり肩を落とし、ため息をつく。



随分寂しげだな。



しばらく肩を落としていた金髪は、ゆっくりと向きを変え、こちらへと歩き出した。



頭は下げたままだ。



が、俺の横を通過する瞬間、金髪はさも気づいていた様子で驚きもせず顔を上げ、俺の目をじっと見つめて言った。



「きみ誰?」



目…

さっきの下衆共は、目にビビッてたよな…


丸くクリッとしていて、瞳は綺麗なライトブルー。


…怯える要素がどこにある?


顔も整ってはいるが幼く、12、3歳と言ったとこか?


迫力なんて欠片もない。




「…どうしたの?なんでそんな僕を見つめるの?え?惚れたとか言わないでよ?」



金髪の声ではっとする。



あれ?

俺いま、こいつ見つめてた?



金髪は恥ずかしそうに照れ笑いをしながら口を開いた。



「君もしかして僕のこ「俺はヴァンだ。この街のストリートチルドレン達のリーダーみたいなもんだよ。お前は?」



「………自己紹介はや…」



「さっきから見てたけど、お前何者?」



「僕?僕の名前は、ティール。何者かは……えっへっへ!ひみつ~!!」



ティールはべろを出しながら笑う。




イラッ。


なんだ?

なんかいらいらすんぞ。

こいつ…何なんだ?



「ん?ねぇ知りたいの?僕のこと!!」


「もういい」



俺がその場を去ろうと一歩踏み出すと、ティールが言った。



「知りたいなら教えてあげてもいーよ?」


「じゃあ教えろよ」


「でも僕、お腹減っちゃった……ご飯、くれたら…」


「バカか!俺だって腹減ってるわ!お前にやるようなモンもってねーよ!」


「ねぇぇぇぇおねがぃぃぃぃ!!!僕ホントーーーにペコペコどころかベコベコで死にそうなのーーー!!この街に入る前から食べてなくてほんとにしにそーなのーーー!!おねがいだずげで~~~~~!!!」


「っ…!!」



ティールは涙をボロボロこぼしながら、俺の腕にしがみつく。




なんだこいつ。

なんだこいつ!?

なんでこんな表情ゴロゴロ変わるんだ!?

俺の周りにこんなヤツいねーぞ!




「ねぇぇぇぇなんでぼずどぅがだぁぁ」

「わ…わかった!わーったわーった!!わかったから泣き止め、手離せ!!」

「ほんと!?」


俺が言うと同時にティールはぱぁっと笑顔になり、手を離した。



まさか

演技…じゃねーよな?









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