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俺はビルの階段を駆け降り、先ほど見つけた路地へ走る。
「…!?」
路地へたどり着くと、さっき上から見たときにはいなかった金髪の少年が俺に背を向け、立っていた。
俺は身を潜め様子を伺うことにした。
「…誰だぁ?てめぇ」
3人の男のうちの一人が言う。
「………よ…弱いものイジメは……やめませんか…!?」
金髪は勇気を振り絞った様に、掠れた声で叫んだ。
「はぁ!?」
「弱いものイジメをやめろ?」
「こいつわかってねー!」
下衆達は同時に吹き出す。
「なっ…何をわかってないんだよ!何がおかしいんだよっ…」
金髪は肩を震わせて叫ぶ。
下衆の一人が笑いを堪えながらしゃべり始めた。
「あんなぁ小僧…この街は弱肉強食なんだよ。小僧、この街の人間じゃねぇだろ?俺たちみたいなのに逆らう奴は、この街にゃせいぜい一人ぐらいだ。…それにお前、身なりが随分綺麗だしなぁ。おい、どこから来たんだよ?」
「お前みたいな奴に、誰が教えるかっ…」
「ハハハッ、まいるぜ!そんな目で睨まないでくれよーあーこわい」
「お前、バッカだなぁ!この街はなぁ、入るこたぁできるけどよ、一度入ったら出られないんだぜ?」
「! 出られない…?」
「やっぱしらねえか。この街のトップは狂ってっからな、上が狂ってりゃそりゃもう無法地帯だぜ!ヒャッハーここぁ天国だぜ!!」
下衆野朗たちは興奮したように唾を飛ばしながら喋る。
ありゃーもう、ドラッグやりまくってんな…
焦点あってねぇし。
ま、この街にゃそんな連中ばっかだろうけどな。
「…」
金髪は黙ったままだ。
下衆の一人が、ボロボロになった少年の髪の毛をつかみ頭を持ち上げる。
「俺達ゃこーしてガキをなぶり憂さ晴らししながら、ドラッグやって酒飲んで働かず好きな事をできる…全く、最高だぜ。なぁ!?」
「うぐ!」ドサッ
下衆が腹を殴り、少年はうずくまる。
「「「ハハハハハハハハハハハハ」」」
下衆共の笑い声があふれる。
金髪は肩を震わせ、立ち止まったままだ。
あ~あ…
あいつも本格的にビビり始めたか?
…しょうがねぇ
俺が行くか…