5 仮想通貨バブルへの大跳躍
西暦2020年11月。
純資産1,000万円の大台に乗せた俺、三上 悟は、アパートの部屋で中古PCを前に静かに笑みを浮かべていた。
「よし、予定通りだ」
株式市場から引き上げた1,000万円を超える資金は、次の戦場へ送る準備が整っていた。この数ヶ月、俺はただ市場を眺めていたわけではない。未来の記憶が示す、次の**『バブル』**に向けて、情報収集と準備を徹底していた。
次に世界的な金融バブルを起こすのは、言うまでもなく「仮想通貨」だ。
一度目の人生で、俺はこの波にも乗り遅れた。価格が数倍になってから慌てて手を出し、高値掴みした挙句、次の暴落で資金の多くを失った。
だが、今回は違う。1,000万円という十分な初期投資資金。そして、未来の記憶。
俺は躊躇なく、特定の仮想通貨交換所に口座を開設した。そして、躊躇なく、全資産を二つの銘柄に集中させた。
一つは、未来で「デジタルゴールド」として確立される主要な基軸通貨。そしてもう一つは、当時まだ無名に近かったが、特定の技術革新によって爆発的な高騰を遂げる新しいプラットフォーム系の通貨だ。
「この銘柄は、2021年の春から夏にかけて、信じられない跳ね方をする」
記憶が、具体的な価格の推移、高騰の理由、そして市場の熱狂のピークを告げていた。今回のミッションをクリアするための、まさに最大の稼ぎ時だ。
だが、すべてが順調というわけではなかった。
前話からメッセージは途絶えているが、監視者の存在が俺を蝕んでいた。
俺はセキュアなVPNを導入し、仮想通貨取引の経路を複雑にした。もし監視者が本当に俺の行動を追っているなら、その介入の目的は何だ?ゲームの難易度を上げるためか、それとも俺の未来知識を確かめているだけなのか。
そんなとき、一本の電話がかかってきた。非通知。
『ミカミサトルさん、あなたの仮想通貨の投資、素晴らしい判断です』
冷ややかな電子的な声が、スピーカーから響き渡った。
「誰だ!?」
俺は受話器を握りしめた。
『私はあなたのサポーターです。そして、あなたの挑戦を見守る「監視者」の一員でもあります。安心してください、私たちの目的はあなたがミ億円を達成することです』
「ミッションの達成?じゃあ、何故お前たちは俺を監視する!?」
『それは……あなた一人では達成できないからです。一度目の失敗が、それを証明している。私たちは、あなたが**「予期せぬリスク」**で失敗しないよう、道標を示す係です』
予期せぬリスク。俺の記憶にないリスク。
『忠告します。2021年春、あなたが狙っているプラットフォーム系通貨に、大規模なハッキング騒動が起こります。あなたの記憶より、一ヶ月早く、そしてより大規模に。もしその時まで全額をホールドしていれば、あなたは再び大金を失い、ミッションのクリアが不可能になるでしょう』
「な……!」
俺の未来の記憶には、確かに「ハッキング」のニュースはあった。だが、それは高騰した後、市場が過熱しきった後の小さな調整の時期だ。もしそれが一ヶ月早まれば、俺の資産はまだ高騰する前に暴落に巻き込まれる。
『あなたのチートは「未来の記憶」です。しかし、未来は常に変わり続ける。私たちこそが、その「変動」を伝える唯一の存在です』
そう言い残し、電話は一方的に切れた。
冷や汗が背中を伝う。この監視者は、一体何者だ?本当に俺のサポーターなのか、それとも、俺のチートを無効化しようとしているのか。
だが、一つの事実だけは確信できた。
「未来は、俺の知っている通りには進まない」
強制リスタートという名のレールの上で、俺は今、予測不可能な「乱入者」の存在を知ってしまった。この監視者の警告を信じるか、それとも、自分の未来の記憶を信じるか。
運命の分かれ道が、目の前に迫っていた。
目標金額100,000,000円
現在資産10,250,910円全額を仮想通貨へ投入済
残りの時間1,522日2020年11月時点
稼ぐべき金額89,749,090円目標まで、残り約8975万円!




