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異世界転生よりタチが悪い! 〜2025年までに一億円稼がないと、俺は5年前の絶望に強制送還される〜  作者: 彗 暦


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2 白い財宝と十倍の利益

西暦2020年1月3日。


ゲーミングPCの売却は早かった。俺の出品からわずか半日で、すぐに購入者が現れた。人気の機種を相場より少し安く設定したのが功を奏した。


「よし、これで初期生活費は確保だ」


銀行口座に振り込まれた売却金、105,000円。


このお金でさらに大量のマスクと消毒液を仕入れる。ドラッグストアの店頭はまだ在庫に溢れているが、オンラインの卸業者や、まだ危機意識の薄い地域の業者は、通常価格で大口注文を受けてくれる。


俺は連日、PCの前で張り付いた。配送先は、アパートの部屋ではなく、前回人生で使っていたレンタル倉庫だ。


「この部屋じゃ保管しきれないし、近所の目も鬱陶しい」


一度目の人生で経験した、近隣住民からの奇異の目や、転売ヤーへの嫌悪感が脳裏に蘇る。今回は、目立たず、着実に金を稼ぐ。


最初の注文分を含め、総額約12万円を投じて仕入れたのは、箱入りマスク約3,000枚と、消毒ジェル300本。倉庫の隅にうずたかく積まれた「白い財宝」を見て、俺の心臓は高鳴った。


だが、ここで焦ってはいけない。


「売り時ではない」


未来の記憶が告げている。人々が危機感を抱き、需要が爆発するのは、まだ先だ。焦って今売れば、利益はわずか。この一億円ミッションをクリアするには、一発一発の取引で最大限の効率を求めなければならない。


俺は残りの生活費を切り詰めながら、ニュースとSNSを監視し続けた。


――武漢の状況が悪化。

――春節で人の移動が増加。

――日本でも感染者が確認。


1月下旬、空気は一変した。SNSで「マスクがない」という投稿が増え始め、ニュースでも連日、感染者数の増加が報じられるようになる。


そして、運命の日が訪れた。


2020年2月3日。


「――今だ」


テレビのニュースで、連日のようにドラッグストアの店頭からマスクが消えた映像が流れる。市場は完全に狂乱状態。


俺は迷わずフリマアプリに再登録し、一気に商品の出品を開始した。


『日本製 箱入りマスク(50枚入)緊急放出!』

『携帯用アルコールジェル!今すぐ必要の方へ!』


価格設定は慎重に行った。あまりに高すぎると通報のリスクがある。だが、安すぎると意味がない。未来の記憶で知っている「市場の許容範囲内」の最高額を設定する。定価の約10倍だ。


結果は、想像以上だった。


出品ボタンを押した瞬間から、通知が鳴り止まない。一分も経たずに「購入されました」の表示。


「速い……!前回より断然速い!」


一度目の人生では、躊躇と不安から、この売り時を逃し、在庫を抱えてしまった。だが、今回は違う。冷徹な判断力と、絶対的な未来の知識がある。


俺は夜通し、梱包と発送作業に没頭した。徹夜続きで目元のクマは酷いが、通帳の数字がそれを忘れさせた。


一週間後。すべての商品の取引が完了した。


取引画面に表示された、信じられないほどの数字。売上合計は、1,256,000円。


仕入れ値は約12万円。差し引いた純利益は、約113万円。


アパートの古びた机の前で、俺は通帳の残高を確認した。


「113万8,350円……」


開始時の残高が12,350円だったことを考えると、わずか一ヶ月間で約92倍の利益を出したことになる。


一億円への道のり、最初の関門突破だ。体に力が漲る。この「死に戻り」は、やはり最強のチートだ。


だが、歓喜は一瞬で消え去る。脳裏によぎるのは、最終目標の途方もない数字。


俺は改めて、冷静に目標と現実を見つめ直した。


「――次の波に乗る準備をしろ。こんなところで立ち止まっている時間はない」



目標金額100,000,000円

現在資産1,138,350円転売による利益:約113万円

残りの時間1,798日2020年2月3日時点

稼ぐべき金額98,861,650円目標まで、残り約9886万円!


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