83 招待状
……帰りの馬車のなか、アリエスは三人に自分に起きたことを説明した。ピナには二度目の説明となったが……三人は真面目な顔つきでアリエスの話を聞いていた。
にわかには信じがたい話ではあった。しかし三人は。
「信じるよ。だってアリエスお姉さんの言うことだもの」
「……図書館でも言ったでしょ。あたしはあんたの話を信じるって」
「……お嬢様がそう仰るならということももちろんありますが……アリエスさんがそんな嘘を言うような人じゃないってことは分かってるつもりだし、私も信じるわ」
三人は口々にそう言い、アリエスは胸が詰まるような思いになったのだった。
そしてピナを自宅まで送迎し、アリエス達も帰宅して、夕食を食べ終えたころ……シューグ家に一通の招待状が届いた。それはベリーからの招待状だった。
『次のお休みの日の夜、ディナーパーティーを開きます。シャンディー様とアリエス様には、ぜひご出席していただけると大変嬉しく思います』
場所は当然のことながらベリーの自宅であり、その招待状を読んだときシャンディーは思わずアリエスのほうを見たのだった。
「アリエスお姉さん……どうしよう……」
「…………」
馬車での話で、シャンディーはすでにベリーの本性について知っている。いかに子供っぽいシャンディーでも、この招待状の裏には何かがあると直感していた。
しかしシューグやドロナはまだベリーの本性を知らない。招待状を見たドロナはシャンディーとアリエスに言うのだった。
「アリエスさんのご学友のかたの招待状ですか。私達は普段このようなパーティーにはあまり出席しないのですが……行くかどうかは貴方達が決めなさい」
「「…………」」
シューグもうなずいている。シューグとドロナ自身はどう思っているかは分からないが、なるべくシャンディーとアリエスの二人の意志を尊重したいのだ。
招待状の文面を見つめながら、アリエスはシャンディーに尋ねた。
「シャンディー、あなたはどうしたいですか?」
「わたしは……」
視線を伏せるようにして、シャンディーは答えるのだ。
「……あんまり行きたくない……だってこの人は……」
「そうですか……」
シャンディーの気持ちはもっともだった。ベリーの自宅に赴くということは、名実ともに彼女のホームグラウンドに足を踏み入れることになる。
周囲にいる人物は全て彼女の味方であるだろうし、シャンディーとアリエスにとっては完全なアウェイな場所となるのだ。極論、もしそこで『何か』が起きたとしても助けは来ず、最悪、その事実すら闇に葬られてしまうかもしれない。




