58 次の週明け
カデミア学園への編入学を言い渡された日の次の週明け、朝食のときにて。
「今日からアリエスお姉さんと一緒の学園だね。あれ、でもアリエスお姉さんはご飯食べないの?」
シューグ家では主人家族の食事のあとに使用人達が食事をするのが基本となっていた。まず雇い主である主人家族の食事を用意するのが先であり、自分達はそのあとに食べるのが礼儀だろうと。
「それならシャンディーが起きてくる前に、先に食べておきました。本当はシャンディー達のあとや馬車のなか、それこそ朝食抜きでも構わないと断ったのですが、ドロナ様にそれは駄目ですと言われてしまって」
シャンディーのそばに控えながらメイド姿のアリエスが答える。早い朝食のあと、しかしシャンディーはちゃんと起きて自分で身支度していたので、最初のころよりは忙しくはなくなっていた。
「当然です。朝はちゃんと食べないと勉学に身が入りません。それでなくても成長期なんですから」
「…………」
ドロナの言葉に、なぜか反応したのはシャンディーだった。彼女は無言で自分の身体を見下ろし、次いでアリエスの身体を見つめる。その視線は彼女の一部分に注がれていた。
「……? どうかしましたか、シャンディー?」
「なんでもないっ。わたしだってたくさん食べて大きくなってやるんだから!」
小首を傾げるアリエスの前で、シャンディーはばくばくと勢いよく朝食を食べていくのだった。
ドロナが小さな溜め息をつく。
「シャンディー、食べるのは良いですが、ちゃんと行儀良くしなさい」
「分かってるってば」
「はぁ……」
会話を聞いていたシューグが、わっはっはっと笑い声を上げた。
「元気でいいじゃないか。最近は朝起きれるようになってきているみたいだし、良いことだ」
「ええまあ、アリエスさんが来てくれてからですね。やはりアリエスさんに寝坊するのを見られるのは恥ずかしいのでしょう」
「それもこれもアリエスさんのおかげだな」
そんなことを話し合う両親に。
「もぉ、うるさいよっ」
シャンディーは口を尖らせるようにして文句を言うのだった。
そんな和気あいあいとした雰囲気のなか、改まった様子でシューグがアリエスに言う。
「それはそうと、すまないねアリエスさん、学園への編入のことを話してから実際に編入するまでに時間がかかってしまって」
「いえ。手続きや教材の用意などいろいろと準備が必要だったのですから仕方ありません。また学園に通わせていただけるだけでありがたいです」
「……そう言ってもらえると、私達としても助かるよ。もう少しで朝食が終わるから、そうしたら学園の制服に着替えてくるといい」
「はい、そうさせていただきます」




