33 朝のお迎え
二人は『シャンディーのお世話』と書かれた部屋の前に立つ。居住まいを正してから、メークがドアをノックした。
「シャンディー様、メークとアリエスです。朝のお迎えにあがりました。もうすぐ朝食ですので、一緒に参りましょう」
…………。返ってきたのは静寂だった。まさかあのシャンディーが無視するわけはないはずとアリエスが思っていると。
「さあ、戦争の始まりよ」
……え?
そう言ってメークはドアノブを掴むと、アリエスが言う間もなくドアを開け放つ。
「起きてくださいシャンディー様!」
アリエスがびっくりするなか、メークは部屋のなかにあった天井付きの大きなベッドへとつかつかと歩いていく。慌ててアリエスもあとを追い、ベッドに到着した瞬間、メークは上にかかっていた布団をがばっと取り払った。
「さあ起きる時間ですよシャンディー様! 早く着替えて朝食食べないと学園に遅刻してしまいますよ!」
「……うーん……あと五分だけ……むにゃむにゃ……」
「今日からアリエスさんもシャンディー様の担当なんですから! 寝ぼけた恥ずかしい姿を晒す気ですか!」
……すでにさらしている気もするけど……。アリエスは思うが、それでもシャンディーは起きようとしない。
ふとシャンディーの枕元に視線を向けると、昨日買った漫画の新刊が置かれていた。
「さては夜更かしして漫画を読んでいましたね!」
「そんなことないよぉ~、えへ、えへへ……」
一見会話しているように見えるが、シャンディーは目を閉じていてまだ夢のなかのようだった。どんな夢を見ているのか、彼女の顔は緩みきっている。
「いいから早く起きてください! 奥様にも怒られてしまいますよ!」
「むにゃむにゃぁ~」
「くっ、こうなったら……!」
最後の手段とばかりにメークはシャンディーの身体を抱え上げると。
「アリエスさん、お嬢様が倒れないようにしっかりと支えていてください!」
「は、はい……っ」
メークがシャンディーの身体を床に立たせて、アリエスがそれを支える。まだ夢のなかにいるシャンディーのパジャマのボタンをメークが素早く外していき、あっという間に学園の制服を着せていく。
「アリエスさん、お嬢様の身体を抱え上げてください! 足元に隙間が出来るように!」
「は、はいっ」
シャンディーの両脇に手を差し入れて、アリエスは彼女の身体を数十センチ抱え上げる。シャンディーの体格は小柄で体重も軽いほうだったが、それでも数十秒や数分持ち上げられていられるかどうか……。
出来た足元の隙間に、メークは今度はスカートを差し入れていく。




