15 溶け込んで
アリエスは台車から食器を取ると、
「シャンディーさん、これはどこに置けばいいのかしら?」
「それはあそこだよー。もう置かれているものと同じものは、同じように置けばいいからー」
「はい、分かりました」
そうしてアリエスはシャンディーやメイドや執事達と一緒に、ときには分からないことを聞きながらも料理をテーブルに並べていく。彼女のその様子はシャンディーと本当の姉妹のようでもあり、すでにずっと前からこの屋敷にいたかのように周囲の者達と溶け込んでいた。
「…………」
その様子を、ドロナはじっと見守っていた。真面目な顔つきであり、何かしら思っているところがありそうでもあった。
「おや、彼女も手伝ってくれているのかい?」
いつの間に戻ってきたのか、身なりを整えたシューグがドロナのそばにいた。
「お早いお戻りですね」
「身支度は出来る限り早く済ませる。時間は有限だからな」
「さっきまで寝ていたくせに」
「わっはっはっ、それはそれこれはこれだ」
「戻ってこられたのなら、あなたも手伝ったらどうですか? 人手は多いほうが良いでしょう?」
しかしシューグは面倒事をはぐらかすように。
「適材適所、私が家事をやろうとすれば人的被害が起こることは知っているだろう? それにもう手伝いはいらないみたいだ」
男の言葉通り、テーブルには料理が並べ終えられていた。シャンディーが、ふんすっ、と腰に手を当てていることからもそれは明らかである。
「では皆の者、席について食事を始めようではないか」
「あいあいさー」
まるでどこかの海賊のようにシューグとシャンディーが言い、シューグ一家とアリエスの四人が席につく。テーブルの先端にシューグ、右手側にドロナ、左手側にシャンディーとアリエスが座っていた。
「おやシャンディー、今日は母さんの隣じゃないのかい?」
「今日はアリエスお姉さんの隣なのー」
「そうかそうか。それでは全員席についたようだし、いただきます」
「いただきます」「いただきまーす」
両手を合わせて彼らが食事の挨拶をしたので、アリエスもまた、
「いただきます」
と両手を合わせる。それから彼らは各々料理を食べ始めた。
アリエスのテーブルマナーは良く出来ていて、テーブルのそばに控えていたメイドや執事達はじっと彼女のことを見つめていた。顔には表していないが、内心驚いているのかもしれない。
「……ふむ」
「…………」
シューグもまた少なからず感心したようにアリエスの所作を見つめていて、ドロナは半ばそうでしょうねと推測が当たっていたというように落ち着いた様子で料理を口に運んでいた。




