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【完結】 学園の聖女様はわたしを悪役令嬢にしたいようです  作者: ナロー


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119/120

119 いつもとは少し違う


 ……数日後。学園にて。廊下を一人の女子生徒が歩いており、彼女の姿を見てヒソヒソと周りの生徒達が小声を交わす。


「……見て、ベリーよ……」

「……あんなことがあったのに、懲りずに学園に来るなんてね……」

「……ちょっと、見すぎたら因縁つけられちゃうわよ……」


 ギロリとベリーが睨む視線を向けて、彼らが慌てて顔を背けて別の話題を話し始める。因果応報。自業自得。ベリーはイラついたが、それ以上は構わずに廊下を歩き続けた。

 アリエスが教室のなかに入ったとき、ベリーは自分の席に一人でいた。以前のように取り巻き達に囲まれることはなく、しかし無視されるわけでもなく、あるいは畏怖の像のように注目されている。


 ベリーは彼らの視線やヒソヒソ声を無視して、頬杖をついて窓の外に目を向けていた。退屈そうな、つまらなそうな顔だった。

 アリエスはベリーの元まで歩いていく。ベリーの隣が自分の席だからというのもあるが、彼女と話をするためでもあった。


「ベリーさん」

「…………」


 声をかけると、ベリーはちらりとアリエスのほうを見たあと、また窓の外に目を戻した。なんだアンタか、何の用、ワタクシを笑いに来たの? 彼女はそう言っているようだった。

 後頭部を見せるベリーにアリエスは続ける。


「先日も申しましたが、わたしはベリーさんにお借りしたお金を返すつもりです。時間はかかりますし、ベリーさんには何のことだか分からないでしょうけど……」

「……思い出したわ」

「……え……?」

「でも、謝るつもりはないからね」


 ベリーは窓外を眺めながらそれだけ言うと、また黙り込んでしまう。たったそれだけだったが、全てを察したアリエスは真面目な顔で。


「……構いません。わたしがすることは変わりませんから」


 それだけ答えて、自分の席に座った。

 朝礼が鳴る。教室に来た担任がホームルームを始める。

 いつも通りの、しかしいつもとは少し違う学園の日常がすぎていく。




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