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第15話 願い事

スカーレット 「そうかもしれませんが、それを活かせるのは産まれた瞬間に才能がある人だけです!皆対等となって本領を発揮するのが本来のあるべき世界なのでは!?」


 大声を出すとユリに止まる蝶々達が一斉に逃げるように飛び立っていく。神秘的な場所にスカーレットの声がこだますると彼女の赤い瞳から信念を感じブラフマーは言葉を失う。


 沈黙の間が経つとブラフマーは腕を組みゆっくりと頷く。


ブラフマー 「彼女の言葉に一理あるな…。クベーラよダンジョン攻略した人間の願いはどのような願いだったのだ?」


 ブラフマーの問いに倒れていたクベーラは立ち上がると手の平から金色に輝く本が突如現れページを捲る。


クベーラ 「最初の者は300年前、自分を魔法を扱えるようにしてくれと。その後、国を作り王となったようです」


 ダヴィは顎に手を当てると考え込む。


ダヴィ 「初代王…。それで今の王族や貴族は最初の攻略者の血が流れているのか」


 クベーラは金色に輝く本のページをまた捲る。


クベーラ 「2番目の攻略者はいまから150年前。ダンジョン内にいるモンスターの復活速度を遅らせてほしいと。どうやら冒険者ギルドが設立されてまもないころ冒険者は錬金術師の奴隷のような扱いだったとか。素材に価値がほぼ無いからと」


 クベーラはダンジョン攻略者の願いを細かく話すとブラフマーは頷き目を閉じる。


ブラフマー 「なるほど…な」


スカーレット 「クベーラ様、そしてブラフマー様。お願いがあります」


 願いの言葉を述べようとするスカーレットに対しクベーラは阻止するように腕を前に出し手を広げる。


クベーラ 「待って…。宝箱を開けたダヴィに願いを言う権利があるよ」


ダヴィ 「俺の願いはスカーレットの願いを叶える事です」


クベーラ 「そうか…。では願いの権利はスカーレットに移行する。聞こう」


 クベーラは首を動かしスカーレットの顔を見つめる。


スカーレット 「人間達、全員を魔法の扱える世界にして下さい!これが願いです!」


 その場にいる全員がスカーレットの願いに対し驚愕する。


ダヴィ 「全員を魔法使いに!?」


クベーラ 「ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、全員っ!?」


ブラフマー 「人間達のバランスが大きく崩れるぞ。反乱が始まるのではないか?」


 問われたスカーレットは迷いの無い信念の強い赤い瞳を見せ頷く。


スカーレット 「確かにそうかもしれません。ですが、この世界は一生不条理な世界のまま終わります」


 スカーレットの願いにクベーラは全身を震わせながらダヴィの方へ振り向く。


クベーラ 「ほ、ほ、ほ、ほ、本当に良いのかい。ダヴィ?願いを叶えて道を歩むのは生きている君たちだよ!?」


ダヴィ 「妻の願いを叶えられるのなら本望です」


 ダヴィは頷くとクベーラは身体の震えが収まり腕を組むと目を閉じる。


クベーラ 「わかった。では人間全員、魔法を使えるようにしよう———ブラフマー様~~!全員は私の力では無理ですよぉ~~!」


 クベーラはブラフマーに泣きながらすがりつく。


ブラフマー 「お主…。最初の者の願いは全員魔法を使えるようにしてほしいと言ったのではないか?力が足らなくて1人だけにしたのか?」


クベーラ 「そうですよ~~!ブラフマー様は人間とこの世界を造り上げた神なのですから力を貸して下さい~!」


 クベーラの発言にブラフマーは呆れる。


ブラフマー 「やれやれ。宝の神としてクベーラは鍛錬を怠っていたようだ…。だがしかし、私は全能の神として人間全員が本領発揮した世界を観てみたい。私も手を貸そう」


 ブラフマーはシクシクと泣いているクベーラの腕を掴むと天に向かいあげる。クベーラの人差し指から光輝く玉を出し空に向い放つとキラキラと輝く斑点が雨のように降り注ぐ。


ダヴィ 「綺麗だ…」


スカーレット 「とっても素敵」


 2人は光り輝く雨に見惚れているとダヴィの足元がグラつき、スカーレットとの間に地が割れボロボロと崩れ落下する。


ダヴィ 「スカーレット!離れたくない!」


 ダヴィは飛び込むとスカーレットをギュッと力強く抱き着く。


スカーレット 「ダヴィ。お墓にきたら逢えるよ。あそこだとダヴィの姿を近くで観られるんだ。その他だと遠目でしか見れなくて…」


ダヴィ 「俺はここに残る!」


 スカーレットは首を横に振るとダヴィを突き落とすように身体を押す。落下する地に押し倒されダヴィは見上げる。


ダヴィ 「何でだよ!スカーレット!」


スカーレット 「こっちにはまだ来ちゃダメ!ダヴィにはもっとやる事があるでしょ?お墓の前で毎日、つまんない事でも何でも良いから話してくれればいいし!」


 ダヴィが立つ地は落下し続け、浮いている地の崖からスカーレットは顔を覗き込むがどんどんと離れていき顔が小さくなる。


ダヴィ 「嫌だ!!俺はスカーレットとずっと一緒にいたい!」


スカーレット 「"ダヴィのダンジョン冒険譚"の本を書いてよ!ここにまたきたら色々な話を聞かせて!楽しみにしてるから!」


 腕を伸ばすダヴィにスカーレットは涙を流し大声で叫ぶ。ダヴィも釣られ涙をボロボロと零すと力強く頷く。


ダヴィ 「分かっ…た…。絶対に仕上げる!語り終えないぐらい長い本を書いてくる!!」


 涙を零しながらダヴィは大声で叫び返すと身体が消滅する。


———ダヴィさん!

———ダヴィ様!

———おい!ダヴィ!目を覚ませ!!


 ダヴィは声が聞こえ目を開ける。


エトナ 「ダヴィさん!!」


 エトナ、フィーネ、ジョージの顔がぼんやりと映りダヴィは戻ってきたのだと悟る。


ダヴィ 「皆…か」


 ダヴィは起き上がると景色を眺める。山から太陽が出始め日の出の時間帯だった。


フィーネ 「急に気を失ってどうしたのかと思いました」


ジョージ 「あそこにいるとまたミノタウロスが復活するから移動(ワープ)書を使ったんだ」


 ダヴィは手を広げるとスカーレットが繰り出した火を創造する。手の平から小さなロウの火が出るとエトナ、フィーネ、ジョージは驚愕する。


エトナ 「えっ!?魔法!?」


フィーナ 「ど、ど、ど、どうしてっ!?」


ジョージ 「そうかダヴィ。お前も貴族の隠し子だったか。いや、しかし目は赤くないぞ?」


 ダヴィは首を横に振る。


ダヴィ 「いや。皆、魔法が使えるようになったよ。スカーレットがお願いをしてくれたんだ」


 状況が飲み込めず3人は顔を見合わせ首を傾げているとダヴィは微笑む。



全員が魔法を使える世界となりました。

次が最終話です。

はたしてどうなるのか…。

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