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今宵の虎徹は血に飢えておるわなんてバッカじゃないのアンタ

という訳で、事実上の第一話です。

「スパルタ・クリーニングサービス」のロゴ入りワゴン車の中で、私はメイド服のスカートとエプロンをまくり上げ、装備点検に専念していた。

 運転席に「ダイダロス」が戻って来た。事前工作担当。四十がらみの気のいいおっちゃんである。バックミラーの光景に「おっとっとっ」と目をそらす。中にはちらちらとか、サイテーじろじろというのもいるが、そういうのには程度によってそこらの物を飛ばしてる。サイテーにはナイフだ。もちろん、当てたりはしないけど。

 「裏口の監視カメラへの工作、鍵の解除、電話線の切断、そして」ボードのスイッチのひとつを押した。「電波妨害、下準備は完了だぜ、B・B」 

 「ありがとう、御苦労様」

 私は立ち上がった。ダイダロスが振り返り、サングラスの奥の目を私に向ける。

 「なあB・B。今度も単身派遣ってな、あんまりじゃねぇのか。アガの親父も露骨過ぎるってもんだぜ」

 「ま、大ボスの御前で小娘にタマ蹴りされた無念と屈辱は、良く理解できるけどね」私は苦笑した。「心配しなくても大丈夫だよ。あの子達には別の仕事があるんだし」

 「······んー、お前さんなら確かに、余計な心配だとは思うけどな。気をつけろよ」

 「行ってきます」

 私は後部ドアを開け、暗い住宅地の路上に降り立った。

 眼前の屋敷の、延々続く海鼠壁塀の上には、蛇のようにぐねぐねと有刺鉄線がのたうち、外敵の侵入を拒んでいる。私はその下の裏口に向かって歩き始めた。

 さて。今回少しは骨のある奴がいるかしらん。


 私のコードネームは「バッコスの信女(バッカイ)」。略称B・B。人はおちゃめなびーびーと私を呼ぶ。

 暗殺請負組織「スパルタ・クリーニングサービス」(表向きは本当に清掃会社だ)に所属する、伝説のレジェンドメイド・アサシンとは私の事だ。

 この組織には他に二人、私と同レベル同年輩の者がいて、人呼んでメイド・アサシン三人娘。そして私は本家である。

 本元が「メドゥサ」愛称だんまりめっちん。

 元祖が「カサンドラ」愛称おしゃべりかっちん。

 え。三人で本家本元元祖って何の事だって。

 これはね。我が組織の大ボス、いや我が社のCEO、最高経営者にして全能の神「ゼウス」が、我々三人の間に無用な摩擦が生じるのを危惧して付けた、いわば尊称なのだよ、うん。

 とはいえ、それは杞憂というもので、私達三人は摩擦どころか、とっても仲良しで、その点は全然、心配いらないの。

 もっとも、「メドゥサ」めっちんは必要最小限の口しか利かないし、「カサンドラ」かっちんは逆に余計なおしゃべりばっかりしてるし、三人一組で行動する時は、自然私がリーダーって事になっちゃうの。

 それはさておき。

 今回は私が単独で対処可能と判断され(誰が判断するかというとあのサイテー上司の「アガメムノン」の親父だ。さっきちょっと触れたけど、あいつは私に個人的な怨みがあるから、何かにつけて私を陥れようとしているのだ。けど私がことごとくそれをクリアしているものだから、あいつは悔しくてたまらないのだバカバーカ)、抹殺を命じられた標的というのが、私でもテレビとかで顔と名前は良く知っている、某大企業のまだ若いトップなのだ。

 こいつがまた典型的な金持ちに甘やかされて育ったぼんぼんで、幼児性丸出しのまま大人になった馬鹿息子の二代目(最近なぜかこういうのが実に多い)、親の身上喰い潰すだけならいざ知らず、当社の「ゼウス」も裸足で逃げ出す傍若無人の神様気取り、経営方針は場当たり的で一貫性はゼロ、社内人事の島流し首切りは日常茶飯事、労働組合は弾圧されほとんど死に体、たまりかねた政府側の勧告にもまるで馬耳東風の有り様、これは当該一社の問題ではなく日本経済への悪影響は必至という訳で、某経済官僚トップクラスが当社CEO(我らが神もお上には弱い)と赤坂料亭にて極秘会談、かくて私の出番と相成ったのだ。

 ちなみにゼウスCEOの口癖は、

 「我が社は犯罪組織ではない!」

 そりゃ自らの手は汚したくない政府関係者の裏仕事を請け負う以上、犯罪組織呼ばわりは心外というものだろう。

 ま、現場の私達にはどうでもいい話だけどね。

 私はダイダロスが開けてくれた裏口より侵入し、広大な芝生の庭を突っ切って、屋敷の縁側に達した。

 夜中も何かと騒々しい屋敷との事だったが、今夜は静かなようだ。

 ガラスサッシがずらりと並び、長大な廊下の照明は深夜だというのに点けっ放し、幅もやたらに広く、内側には襖がこれまたずらりと並んでいる。中はがらんとして無人である。少しは節電しろと言いたい。もうひとつ。ちょっとは警戒して雨戸くらい立てとけ。この間侵入した所なんざ、全部シャッターが降りてて苦労したぞ。

 さすがに施錠はされているが、ガラス切りを使って難なく外し、私は屋敷の中に入った。この廊下の奥の寝室に大馬鹿CEOがおねむの筈だが、それにしてもこの電気の無駄使いは何とした事だろう。煌々と照らされている無人の廊下を眺めやるうち、これって罠? と思えて来た。何やら今にも襖が一斉に開いて、「曲者そこを動くなーッ!」と用心棒共が飛び出して来るんじゃないかなーって思ったら、ホントにそうなったんで笑っちゃった。

 例によっての儀式の歌(省略)を口ずさみつつ仕事にかかろうとした私は、用心棒共の風体を目にして、思わずそれを呑み込んでしまった。

 だんだら模様の羽織に袴、さすがにちょんまげこそ結ってはいないが(現代日本で本当にそれをやっているのはお相撲さんと江戸城の将軍様だけなのだ)、額には「誠」の文字入り鉢巻。何てこった。揃いも揃ってこいつら新撰組のコスプレーヤー共だ。あの馬鹿CEOが新撰組マニアだったとは。そいつらが抜き身の日本刀を振りかざし、さっきの台詞を大音声で喚きながら、か弱いメイドの私めがけて殺到して来た。

 まともに相手とするのもアホらしいので、私は懐ろから愛銃を引き抜いた。一見古風な単発銃だが、実はギリシア最大の工人にして発明家のダイダロスの名に恥じぬあのおっちゃんお手製の、近接戦闘に特化された大変な優れ物。琥珀の銃把が私の白く繊細な手にしっくりとなじむ。ちなみにこの子の名前はライラプス。月の女神アルテミスがアテナイ王女プロウリスに与えた、小さく美しい猟犬の名だ。私はその可愛いライラプスのセレクターを単発から連射に切り替え、フルオートマチックで迫り来る時代錯誤共を五六人まとめて血祭りに上げてやった。

 すると連中、たちまち襖の陰に隠れて刀をしまい、自分達も拳銃を取り出して、パンパン私めがけて撃ちまくって来たのだ。

 私は舌打ちしながらサッシを蹴破り、縁側下に伏せた。頭上を銃弾がビュンビュン飛んで行く。何てポリシーというものが無い奴らだろう。新撰組なら新撰組らしく、ちゃんと刀で勝負しろ。私は自分の事を棚に上げて腹を立てた。なぜ私にはそんな勝手が許されるかというと、それは私が可愛いからに決まってるじゃん。

 そんな私にはとてもひねくれた一面がある。

 向こうが銃で来るなら、こっちは堂々、刀で勝負してやろうじゃないの。

 私は愛銃ライラプスを懐ろにしまい、エプロンの下から一本の日本刀を取り出した。さすがに長刀は無理なので脇差だ。だがこれは天下の妖刀村正である。徳川家にとっては家康の祖父と嫡男の命を奪った不吉な刀。私はそれをスラリと引き抜き、鞘を左手に握り、再び廊下に躍り出た。

 物陰から銃をぶっ放す新撰組コスプレ共には、燕が地を這うように進んだかの如く見えただろう。

 私は無駄なチャンバラを嫌う。戦いは効率良く、瞬時に済ませるのがベスト。村正の切っ先が次々とコスプレ共の頸動脈を切り裂き、噴水のような血しぶきを片端から上げて行く。私はその調子でずんずん廊下を突き進んだ。

 私が刀を使い始めたのを見て、コスプレ共は慌てて銃をしまい、改めて刀を引き抜いて、いざ尋常に勝負勝負と挑んで来た。だけど生憎みんな私の敵ではない。私が傍らを通過した次の瞬間、血を噴く死体と化して崩れるだけだ。お気の毒様。

 ところでこれがもしアガメムノンの罠だとすると──つまり私の侵入をチクったという事だが──この奥の寝室に標的が寝てらっしゃるという、基本的な情報が怪しくなってくる。だけどあの親父でもそこまでするかな。私の失敗はあいつの失敗なんだし。そうだとすると、私はここで死ぬかもしれないが、あいつだってゼウスに粛清されちゃう筈なんだよな。とにかく確認あるのみ。

 私は行く手を阻むコスプレ共を、豆腐のようにバサバサと斬り倒しつつ、前進を続けたのであった。

 ふいに巨大な影が私の前に立ちはだかった。

 これは豆腐のようにとはいかないようだ。

 私は足を止め、その影を見上げた。

 やっぱり新撰組コスプレ野郎だ。

 がっしりとした体格、張った顎、鋭い眼光、一文字(いちもんじ)に結んだでかい口。あ。これって新撰組局長近藤勇そのものじゃん。良く似た奴もいたもんだ。私は感心してそいつの顔をしげしげ眺めた。近藤もどきはニヤリと笑い、余裕で私に語りかけた。

 「小娘よ。拙者の顔に何か付いておるのかな?」

 「えーと。近藤勇局長そっくりの目鼻と口が付いてますけどぉ。御本人、もう百五十年以上前に亡くなってますよ」

 「その通り。拙者は近藤局長の生まれ変わりじゃ。名もそのまま近藤勇。恐れ入ったか。ガハハハハッ」

 自称近藤勇局長は気持ち良さげに爆笑すると、私の背後の屍の山を見渡し、フンと鼻を鳴らしてこうのたまわった。

 「部下共が大変世話になったようじゃのぅ。礼を申すぞ。まったく、お前のような小娘一人に手も足も出ず殺られ放題とは、何というだらしのない奴輩(やつばら)じゃ。士道不覚悟も甚だしいわッ」

 私はムカついた。そりゃコスプレくん達はアレだったし、殺ったのは私だけどさ。いくら何でもあんまりじゃん、それって。

 「ちょっとアンタ。少しは自分の部下に対して思いやりってものは無いの? 本物の近藤局長って、もう少し人望はあったんじゃないかなー。それとさ。アンタのその顔って、もしかして整形? 整形外科医にあの古ーい写真見せて、これとおんなじ顔にして下さーいってさ。それで似てるのって、うわべだけなのかなー?」

 近藤もどきの顔から余裕の笑みが消えた。痛い所を突かれたらしい。顔が怒りで赤らみ、鬼瓦の凄みが漂い始める。

 「······口の減らない小娘じゃな。ぺらぺらと、言いたい事が言えるのはそこまでじゃ。貴様に身の程というものを教えてやろうぞ。覚悟せよ、小娘がッ」

 近藤もどきは腰の長刀を引き抜き、八双に構え、あー言うぞ言うぞと思っていた恥ずかしい台詞をやっぱり言った。

 「今宵の虎徹は血に餓えておるわァ」

 私はすかさずツッコミを入れた。

 「アンタさぁ。その台詞、当の近藤局長が新聞記者のインタビューで、『わしゃそんな事言っとらん』ってはっきり否定してたじゃん。読んでないの? 池田屋騒動ネタにした当時の講談やら芝居やらで、やたらとそれやられてさ。行く先々でセンセイちょっとアレ言ってみて、ほら刀の代わりにこの傘構えて、なんて言われて、ひどく迷惑したって。知らないの?」

 「黙れ! 拙者は映画で観たのだ!」

 「だーかーらー、それもでたらめだっつーの。判んない人だなー」

 「うがーッ!!」

 キメたつもりがおちょくられ、逆上した近藤もどきの虎徹が勢い良く振り下ろされる。私はいったん鞘を捨て、村正を両手で支え、受け止めた。火花が散る。凄い力。確かに近藤勇の生まれ変わりと、臆面も無く自称するだけの事はある。

 しかし思い出してみるとさー。新撰組の幹部連中って、ろくな最期迎えてないのよね。徳川幕府の崩壊を間一髪で喰い止めた功労者って訳で、出世はしたんだけどね。

 沖田総司は警察庁長官就任早々、訓示中に血を吐いてそれっきり。

 土方歳三は陸軍大臣就任後ほどなくして、演習場の爆発事故に巻き込まれて木っ端微塵。

 当の近藤勇はなぜか文部大臣就任後、料亭で薩長の残党に襲われて、丸腰のところを串刺しだったし。

 武州三多摩の百姓上がりにふさわしい最期と、当時の口の悪い江戸っ子達のいい物笑いのタネになったと聞く。まあこいつもその口だなと思いながら、私は必死の面持ちで虎徹の連続打撃に耐えていた。

 近藤もどきが守勢に回った私を見下ろし、ニヤリと笑ってこう言った。

 「その脇差、村正であろう。しかも初代千子(せんご)村正の作と見た。うむ。小娘如きには如何にも分不相応。どうじゃ、拙者に譲る気は無いかな。さすれば見逃してやっても構わぬぞ」

 「へえ、一応目利きではあるんだ。だけど冗談。大体さ、徳川家にとっての不吉な妖刀を、新撰組の筈のアンタが欲しがるなんて、どういう了見?」

 「とことん生意気ばかりぬかす小娘じゃ。それでは力ずくで奪い取ってみせるわッ」

 ガツン、ガツン、ガツン。

 「ちょっとやめてよォ。刃こぼれどころか、折れちゃうじゃないのッ」

 「ふっふっふうっ、それが嫌なら、はよよこせ、よこせェ」

 虎徹と村正が火花を散らして激突を繰り返す。私は次第に力が抜けていく。汗に濡れた乱れ髪が額にほつれる。瞳が潤む。弱々しい目線。口元より洩れる喘ぎ。柄を握る小さな右手が、峯を支える細い左手が、か弱くぶるぶる震え出す。白い咽がひくひくと動く。唇がわななく。あ。やめて。許して。お願い。勘弁して。もう駄目。お嫁に行けなくなっちゃう······

 眼前の男は私のそんな表情に、つぶやきに、哀れなしぐさに陶然となり、大口の端からよだれを垂らしつつ、これでとどめとばかりに虎徹を大上段に振りかざした。

 はい、隙あり。

 私は相手の視野からは完全に消えていた、床の脇差の鞘を左手でつかみ、電光石火の勢いで前に繰り出し、その先端で近藤もどきの睾丸を突いた。

 ぐはッと白目を剥いて硬直したもどきに対し、私は軽く飛び上がって村正を薙ぎ払い、その両手首をあっさりと切断した。

 虎徹は柄にもどきの両手をくっ付けたまま、空中で一回転して廊下の床に突き立った。

 もどきはクタクタとその場に膝をつき、切断された自分の両手首を血走った目で見つめた。その下の床は血の混じった小水の水溜まりが湯気を立てている。きったないなー。

 私はもどきの前に立ちはだかり、にっこり笑って語りかけた。

 「私の事を何度も何度も小娘呼ばわりしてくれた件はねー、別に気にしなくてもいいんだよ、馴れてるしさー。それより、ちょっと訊きたいんだけどね。私が今夜、ここを襲うって話、誰かさんから聞いたのかなぁ?」

 もどきはプルプルと首を横に振る。あまりの恐怖と激痛に、口が利けなくなったみたい。やっぱそーよねー。

 「じゃ、ここの警備体制って、いつもこんなもんなのね。電気点けっ放しでさー、もったいないよねー」

 ガクガクと首を縦に振る。

 「この屋敷ってさー、毎晩のようにケンカ騒ぎとかでやかましいって聞いてたけどー、じゃあ今晩静かだったのは、たまたまって事?」

 ガクガク。

 「まーあの格好でいつ来るか判んない曲者、待ちぼうけさせられたんじゃ、そりゃケンカのひとつもしたくなるわねー。それでお待たせしましたー、で、全滅かぁ」

 ごめんなさい、コスプレさん達。成仏してね。

 「もうひとつ訊きたいんだけどね。キミのあのお馬鹿なボス、幼児性丸出しのCEO、あいつってこの奥の寝室に、今ちゃんといる?」

 ガクガク。

 「騒ぎを聞いて、もう逃げちゃったのと違うの?」

 プルプル。

「そんなに良く寝てるのぉ? もしかして、酔い潰れてるとかァ?」

 ガクガク。

「あっそ。ありがとね。それじゃ、水でもぶっかけて、起こしてあげなくちゃね。寝首かくのって、やだもんね。さてと。あー、この村正、研ぎに出したばっかなのにー。やっぱし刃こぼれだ。どーしてくれんのよー。うちの大事な子にーッ。しょーがないなー、もうっ」

 私は村正をビュンと振って鞘に収め、エプロンの下にしまった。そして床に突き立っている虎徹の柄から、もどきの両手首を引き剥がし、当人の前に丁寧に置いてあげた。

「これは返すけど、ごめん、こっちはしばらく借りるね」と、虎徹を引き抜き、上段に構えて、「はい、それじゃ、ちょっとチクッとしますよーっ」

 私はもどきの脳天から股間まで、ちょっとチクッとさせた。

 もどきは血やら何やらどべどべと吹き出しながら左右に分かれ、崩れた。

 私は虎徹を肩にかついだ。

 やれやれ、どうやらチクられてはいなかったようだ。仕上げといくか。さっさと片付けようっと。あの馬鹿CEO、水ぶっかけてもべろんべろんのままじゃないかな。例によって泣いて土下座の命乞い? それとも必死の最後の抵抗? ま、どれにしたって大した事ないわ。それよりお腹もすいちゃったし。ここシャワー使えるかな。

 その時、庭の方から女の子の声が聞こえた。

「あ、びーびー、無事だった? 良かった、心配したよ。またアガメムノンのクソ親父がさー、びーびー一人で行かせといて、それでまたぎりぎりになって私達に知らせてやんの。アイツあんたが殺られた後で、私達に標的始末させようっての、バレバレだよね。ホント嫌な奴だよねー。いつかアイツ必ずぶっ殺そうね、びーびー」

 庭にメイドの子が二人。今しゃべってたのが「カサンドラ」おしゃべりかっちん。ほっそりして、色白、ポニーテールで、切れ長の目がきれいなお嬢さん。もう一人が「メドゥサ」だんまりめっちん。丸い童顔、小柄でショートヘア、一見小学生で、凄く可愛い。言い忘れていたけど、私はロングだ。二人揃ってまばゆい美少女、けど総合的には私の方がちょっとだけ上かなーなんて(友達に対しては私も謙虚なのだ)。

 「二人共来てくれたんだ、ありがと」

 私は縁側まで駆け寄って二人に向かいそう言った。

 「標的の始末はまだなの? 手伝おうか?」

 「大丈夫。一人でやれるから。それよりさー。結構撃ち合っちゃったんだけど、御近所の様子、どう? 通報なんか、されてないかな?」 

 「この屋敷ってやたらただっ広い上に、夜中の騒ぎはしょっちゅうっていうから、御近所全然起き出す気配、無いよ」

 「そ。じゃ、二人共、表でダイダロスおっちゃんといっしょに、待っててくれる? 済んだら清掃班(アルペイオス)に連絡入れて、そっち行くから」

 「じゃ、待ってるね。めっちん、行こ」 

 「うん」

 二人は裏口の方に向かって行った。私はそれを見送ると、虎徹をかつぎ直し、本日の仕事を仕上げるべく、奥へと向かったのだった。

 という訳で今回はこれまで。さよならっ。



以後キャラ紹介の話が数回続きますが、御容赦下さい。

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