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小説・人狼ゲーム  作者: iris Gabe
ルール確認編
2/10

2.汝は人狼なりや?

「あなたなの、連絡があったアイリスさんって?」碧い眼が印象的な若い女性が私に声をかけてきた。

「はい、はじめまして。アイリス・ゲイブです。こちらで定期的に人狼ゲームが催されると伺いまして、やってきました」緊張しながらも私は答えた。

「そうなんだ。私はミスズといいます。よろしくね」

「あのお、私、人狼ゲームは全くのはじめてで、ルールもなにも知りません。どうか、わかるように説明していただけませんか?」

「あら、そうなの。わかったわ。まだ仲間が集まるまで時間があるから、私でよければ喜んで……」

 親切そうなミスズの言葉に、私はほっと安堵した。


「人狼ゲームのオリジナルは、米国のルーニー・ラブス社が考案した『汝は人狼なりや?』という登録名のカードゲームなの。内容はというと、まあ一言でいってしまえば、コミュニケーションをつうじて他人の正体を推理して遊ぶパーティゲームね。ルールはちょっと複雑だけど、慣れれば十代の子供でも十分に楽しむことができるわ。最近ではインターネット上で展開されるオンラインゲームの環境下で、結構人狼ゲームはもてはやされているのよ」

「オンラインゲームって、私たちが今いるこの環境のことですよね?」

「そうよ。まずは、オンラインゲームを簡単に説明しておくわね。インターネットなら、複数の人が同じ画面を共有しながら文字入力ができるから、お互いに自分の思いをタイプし合えば、リアルタイムで会話を交わすことができるの。それ自体はチャット機能と呼ばれているわ。

 その後、単なる文字のやりとりに過ぎなかったチャットに、よりリアリティを求めて、自分の身がわり画像 (アバター)を表示しながらチャットするコミュニケーション形態が新たに考案されたの。これなら、アバターを好みの容姿におしゃれするという楽しみも増えるしね」

「アバターって着せ替え人形みたいですね」私が口をはさんだ。

「そうよね。このようにネット上でアバターを表示しながらチャットでコミュニケーションをはかって、おのおのの目的達成を目指すのがオンラインゲームよ」

 私がちょうど今入っている環境も、ネット上に展開されているとあるオンラインゲームなのだ。そこで人狼ゲームを楽しんでいるグループ『朧月会』の活動が掲示板に紹介されていたので、興味を持った私は彼らの集合場所へとやってきたのであった。どうやらミスズは朧月会のリーダー的な存在でもあるようだ。

 ミスズはさらに説明を続けた。「ほとんどのオンラインゲームでは二つのチャット機能が用意されているわ。一つは大勢で交わされる普通のオープンな会話機能で、もう一つは特定のふたりの間だけで密かに交わされる秘密の会話機能よ。秘密の会話をおこないたい時には、交信したい相手を選んで、秘密の会話の特殊モードをたち上げればいいの。たとえ秘密の会話モードをたち上げていても、秘密会話をしていること自体が第三者にはわからないようになっているし、会話の内容が当該者以外に漏れることもないわ。人狼ゲームは、この二つのチャット機能を上手に使いわけて遊ばれているのよ」

「へー。秘密の会話モードですか。それって私でも簡単に使えるんですか?」と私が質問すると、

「大丈夫よ。今からやり方を教えるわ」とミスズがうなづいた。


「じゃあ、いよいよ人狼ゲームについての詳細を説明するわよ」

「はい、お願いします」私は背筋を伸ばして身構えた。 

「舞台は、名もなき村……。ゲームの開始前に住民たちには、つまりゲームの参加者たちには、それぞれの役割が割り振られます」

「役割ですか?」

「そう、人狼ゲームはね、村人側と人狼側の二チームによる対抗戦で勝敗を争うの。そして役割というのは全部で五種類あって、まず村人側には、村人、祈祷師、牧師の三種類が――、対する人狼側には、人狼、狂人の二種類が――存在します」

「ふむふむ、複雑ですねえ。どうすればチームが勝つことができるんですか?」

「あらかじめ、ゲームには終了時刻が定められていて、その終了時刻までに、人狼がいなくなるか、あるいは、村人側の人間がたった一人でもいいから生きのこれば、村人側が勝利します。逆に、人狼側が勝つためには、終了時刻までに村人側のメンバー全員を皆ごろしにしなければならないわね」

「うわー、怖いですね……。皆ごろしですか?」

「参加者たちの運命を大きく左右する役割は、あらかじめゲームマスターから、秘密の会話をとおして個々のプレーヤーに連絡されます。参加者たちは自分の役割がなにかは認識できるけど、他人の役割についてはなんの情報も与えられないの。ただ一つだけ例外があって、人狼たちには仲間の人狼が誰かという情報が、ゲームマスターから全ての人狼たちに連絡されるのよ」

「それって、ずるくないですか? 人狼だけが仲間が誰だか知っているなんて」

「そうね。でも、逆にそれくらいの情報がないと、なかなか人狼も大変なのよ。なにしろ、村人側を全滅させなきゃ勝てないんだから。それに、人狼同士が誰なのかは知っていても、狂人が誰なのかということまでは、人狼も知らないんだから」

「狂人って?」

「あっ、そうか。まだ説明してないよね。ごめんなさい。順番に説明していくね」

「はい、お願いします」

「ええと、どこまで話したんだっけ? そうそう、人狼同士はお互いに仲間を知っているのよね。そして、ゲームの途中でいつでも人狼同士で秘密の会話を利用することが許されているのよ。人狼以外の役割の参加者たちには、秘密の会話機能そのものの使用が禁止されてるの」

「こっそり使っちゃったらだめですか?」

「それはルール違反だし、ゲームが興ざめしちゃうわよね。少なくともうちらの仲間でそんなズルをする人はいないわ」

「人狼同士はテレパシーで意思疎通ができるという設定なんですね」

「そういうことになるわね。会話をとおして、ゲームに参加している他人の正体をさぐり合いながら、チームの勝利を目指すため虚実のかけひきを交わしていくのが、このゲームの醍醐味といえるわね」


 ミスズはさらに続けた。「ゲームは初日の夜からはじまって、二日目の朝、昼、夕、夜、そして三日目の朝、……、というように進行していくの。今晩催されるゲームは、終了時刻が五日目の夕刻までと設定されているわ」

「随分、長いんですねえ」

「そう? 多分、すっと終わっちゃうと思うけど……、まあいいわ」ミスズは続けた。「毎日、時刻に応じて決まったイベントがおこなわれます。まず夜だけど――、参加者が二人ずつのペアを組んで(最後に三人があまった時には、その三人が一組になります)同じ部屋に宿泊するの」

「へー、お泊りですか……」

「そんなに楽しいものじゃないかもしれないわね……」ミスズが苦笑いした。

「そのお泊りする相手はどうやって決めるんですか?」

「いい質問ね。部屋割りは、ゲームマスターが決めた順番にしたがって、生きのこっている住民がひとりずつ、同居したい人物を指名していくのよ。このとき、前日に同居した人物を連夜にわたって(一日以上の間をおけば、過去に同居した人物でも指名することは許されている)指名することは禁止されています。一方、指名された人は拒否することはできません。こうして、決まった部屋割りにしたがってそれぞれが一夜を共にします。部屋の中では同居人の間で自由に会話をすることができるわ」

「なるほど、部屋の中で同居人とお友達になれるんですね」

「あのね……、夜って人狼や狂人が本性を暴露する危険な時間帯なのよ。翌朝には死亡者が出たと報告される部屋もいくつか出てくるわ」

「えー、死んじゃうんですか? なんで……?」

「ふふふっ……。そこでいろいろおこなわれるの。殺人とか自殺とかね」ミスズは不気味な笑みを浮かべていた。

「ひえぇぇ、夜って、怖いですぅ……」

「そのスリルがまたゲームの面白さでもあるのよ。生きるか死ぬかのぎりぎりの攻防がね。先に進めましょう。翌朝、昨晩の死亡者全員がゲームマスターから参加者たちに報告されます。死亡したプレーヤーはゲームを脱落して別の場所に隔離されます。彼らはその後生き残ったプレーヤーとの交信を一切禁じられます」

「あの人が人狼で、私はあの人に殺されました……、なんてしゃべられちゃうと困るからですよね」

「そのとおりよ。だんだんわかってきたじゃない」ミスズがうなづいた。「そして、昼の会議へと移ります。昼の会議では、生きのこった住民たちによる自由な討論が交わされます。会議が終了すれば夕刻になって、集団暴力リンチ投票がおこなわれます」

集団暴力リンチ? なんですかそれは?」

「毎日夕刻になると住民たちの投票で一人だけ犠牲者を選ぶのよ。選ばれた犠牲者を、みんなで集団暴力リンチして殺してしまうの」

「えー、わかんない。なんでそんな無益なことをするんですか?」

「無益かしら? だってその人がもし人狼だったら、生かしておくと逆にあなたが殺されてしまうかもしれないのよ」

「でも、犠牲者に選ばれた人が本当に人狼さんだったらいいんだけど、間違いとかがあったりすると……」

「そのとおり! 住民たちは確信が持てないままそれぞれが犠牲者にしたい人に一票を投じるの。人狼じゃない人が集団暴力リンチされることもあるかもしれないわね」

「投票はどうやっておこなわれるんですか?」

「投票はゲームマスターが決めた順番にしたがって、生きのこりの住民たちが票を投じていきます。白紙投票は許されず、必ず誰かに一票を投じなければなりません。あっ、それから自分自身への投票も認められています」

「えっ、自分に投票するんですか? そんなのありえない」

「さあ、どうだろう。まあ、やってみるとわかるわ。ひとつの選択権よ」ミスズはにこにこしている。「全員の投票が終わった時点で集計がおこなわれます。そして最多得票を獲得した者は、住民たちから集団暴力リンチで殺されてしまいます。でももし、同数票で最多得票獲得者が複数生じた時には、その日の集団暴力リンチは見送られます」

「へえ、同数票の時には集団暴力リンチはおこなわれないんですね。そうすると票数の調整のために自分自身に投票することも意味があるんですね」

「そうね。同数票の時にはさらに決選投票をおこなうルールもあるけど、今日のゲームは決選投票はおこなわないというルールで進行します。集団暴力リンチ投票は、村人側からすると人狼を殺す絶好の機会なの。人狼が誰なのかという正しい判断こそがゲームの勝敗を左右するのよ」

「なるほどー。奥が深いですね」


「これで毎日くりかえされるイベントは全部説明したわね。じゃあ、つぎに五つの役割について説明していくわよ」

「はい、お願いします。師匠!」

「いつから、師匠にされちゃったのかしら……」ミスズが苦笑いをした。「まず最初に説明すべき役割といえばやっぱり人狼よね。人狼は夜になると同居人を一回だけ襲うことができます」

「一回だけ?」

「つまり一人の人狼が一夜に殺せる相手は一人までということね。襲った相手が村人や狂人であれば、相手は速やかに殺されてそこには死体ができます。もし、襲った相手が祈祷師や牧師であった場合のやりとりは後で説明するわね」

「ふむふむ、村人と狂人は襲われたら最後なんだけど、祈祷師と牧師はなんらかの抵抗手段があるんですね」

「そうよ。それから先ほども説明したけど、人狼同士はお互いに秘密の会話を自由におこなうことができるわ」

「テレパシーで作戦を練ることができるんですね。怖えぇぇ……」

「あと人狼は全ゲームをつうじて一夜だけパスをすることが許されているわ」

「パス……ですか?」

「パスとは、同居人を襲わないで翌朝をむかえる行為のことよ。パスは全ゲームをつうじてたったの一回しかすることができないの。もし二回目のパスを人狼がうっかりしてしまうと、翌朝、その人狼は餓死して死体となってしまうのよ」

「えーっと、要するに人狼さんは毎日人間を食べないと餓死してしまうんですね。ただし、一日だけは人間さんを食べなくてもなんとか我慢ができると……」

「そうよ。ある意味憐れな存在なのよね」

「でも、人狼の目的は村人チームの全滅なんですよね。じゃあ、毎晩相手をひたすら食べまくったほうが有利になるんじゃないですか? パスなんてもったいないですよね」

「アイリスさん……、集団暴力リンチのこと忘れていない……?」

「おー、そっか。調子にのってあんまり夜に相手を殺しすぎると、逆に昼に集団暴力リンチのターゲットにされやすくなるんですね。うーむ、奥が深い」

「さらに、人狼のパスに関してはまだルールがあるわ。同居人の中に人狼しかいなければ、お互いの人狼はパスを消費せずに翌朝をむかえることができるの」

「うーん、ややこしいですね。お泊りの同居人が人狼さんであれば、全ゲームをつうじて一回しかできない貴重なパスを消費することなしに、誰も殺さずに朝をむかえられるんですね。人狼さんたちにとってはありがたいルールですね。でもそれって、現実にはおかしくないですか。人狼さんは人間を食べないと餓死しちゃうはずなのにね」

「うーん、そこの説明って確かに無理があるわね。一説によると、人狼同士でお互いに噛みつき合って飢えをしのぐそうよ」

「やっぱ、苦しい説明ですよね」私は苦笑いをした。

「そうね。でもそのルールのおかげでゲームはより面白くなるわ。また、襲った相手が牧師であり、ブロック(その説明は後述します)された場合にも、襲った人狼はその夜にパスを消費しないわ。でも同居人が牧師であっても、人狼がその牧師に攻撃をしかけなければ人狼はパスを一つ消費することになります」

「ひぇー、師匠、頭がついていけないです」

「そうよね。このあたりの細かい説明は実際にゲームをやってみないとわからないよね」ミスズがうなづいた。

「次に、狂人について説明するわね」

「はい、師匠、お願いします」

「ちょっと、その師匠って呼び方なんとかならないのかな?」ミスズの眉がややひきつっている。

「えっ、やだなー。師匠は師匠ですよ。では師匠、お願いしますです」

「はいはい、狂人は人狼側に所属していて、人狼の手助けをすることが目標なのよ。だけど肝心の人狼が誰なのかは、狂人自身で推測するしか手段がないけど……」

「えーと、狂人さんは勝敗を競うチームの立場としては人狼さんたちの見方なんだけど、プレーヤーの誰が人狼さんなのかを知らないんですね」

「そうよ、そして人狼たちも誰が狂人なのかを知らないの」

「いっそのこと、私は狂人でーすって宣言しちゃったらいいじゃないですか」

「あなた……集団暴力リンチで殺されたいの?」

「ひぇー、そっかぁ。村人チームからすると狂人さんは敵であるわけですね。狂人さんは目立たず密かに人狼チームの手助けをしなければいけないんですね。でも狂人さんはなにか特殊能力を持ってないんですか?」

「狂人はね……、夜ならいつでも好きな時に自殺することができるの」

「へー、すごい、すごい! 自殺ができるんだー。……?

 あのお、師匠――、自殺できてなにがうれしいんですか?」

「あんただんだん地が出てきたわね……」

「あはは、すみません。ついつい」

「もし狂人が自殺すれば、その部屋には彼の死体が生じることになるわよね」

「ですよね。それで狂人さんはゲーム脱落なんでしょ。損することばかりじゃないですか?」

「そうでもないのよ。翌日の会議で、狂人が自殺した部屋で生きのこった同居人は、死体が生じた理由を皆に説明しなければならなくなるよね。状況を知ることができない第三者からしてみると、生きのこった同居人が人狼じゃないかという疑惑が生じるわ」

「あー、そうか! 生きのこった同居人は、翌日の自分の弁明をしくじっちゃうと、夕刻の集団暴力リンチ投票で最多得票者にしたてられて殺されちゃう危険もあるんだ」

「このように、狂人は自殺するという能力を上手に使いこなせば、人狼側の勝利に大きく貢献することもできるの。もちろん、自らが生きのびて、会議などで村人側の意見を混乱させる発言をすることもできるわ」

「ふむふむ、ある意味ゲームの鍵を握る存在なんですね」私は感心した。

「続けて、村人側の役割の説明をするわよ。まず、祈祷師だけど、夜に同居人の人狼から攻撃を受けても、持参している聖水を人狼にふりかけることで人狼を逆に殺すことができるわ。この行為は、かえりうち(カウンター)と呼ばれています」

「おー。祈祷師さんって無敵なんですね。私、祈祷師さんになりたいです」

「あのね、ロールプレイングゲームじゃないんだから、参加者に職業選択の自由はないのよ」

「えー、残念。ファンタジーの世界も不況なんですね」

「あんまり関係ないと思うけど……。それで、かえりうちは、あくまでも、相手の人狼が襲いかかってきた時のみに発動することができて、全ゲームをつうじて一回しか使用できないのよ。一度、かえりうちをおこなった後で、別の人狼から再び襲われた時には、祈祷師はあえなく殺されてしまうわ」

「なんだ、無敵じゃないんですか。じゃあ、祈祷師さんになるのやーめた」

「だから、あんたに職業選択の自由はないんだってば……」

「やだな、師匠。冗談ですよー」

 ミスズは右の拳を握りしめてわなわなと震えている……。

「こほん――。次に牧師について説明するわよ。牧師は、同居人の人狼が襲いかかってきた時に持参している十字架をかざすことで人狼の攻撃から逃げることができるわ。この行為を、ブロックと呼ぶことにします」

「祈祷師さんがかえりうちで、牧師さんはブロックですか。どう違うんですか?」

「ブロックがおこなわれると、人狼も牧師も生きのこったままで翌朝をむかえるのよ。それからブロックも相手の人狼が襲いかかってきた時のみ発動が許されていて、また全ゲームをつうじて一回しか使用することができないわ。一回使用してしまえば十字架は壊れてしまい、後になって再び人狼から攻撃されればそこで牧師は殺されてしまうの」

「かえりうちは相手の人狼さんを殺すことができるけど、ブロックはただ生きのびれるだけなんですね。つまり……、ブロックが発動されればなにも起こらなかったことと同じなってしまうんですね」

「うーん、そうでもないわよ。まず人狼が襲いかかって牧師がブロックすれば、お互いに相手の正体がわかっちゃうよね。それから、人狼は牧師にブロックされた夜はパスの消費がないのよ」

「そっかぁ。じゃあ、相手が人狼さんだってわかったんだから、翌日の集団暴力リンチ投票で吊るし上げちゃえばいいじゃないですか」

「さあて、そう簡単にいくのかな? 相手の人狼が、私が牧師でブロックしました、なんて発言したらどうなるのよ?」

「えっ、師匠……、あったまいいー。そうですね、当事者以外のプレーヤーたちには、どっちが人狼か牧師なのかがわからないんですねー」私はうなづいた。

「最後に村人なんだけど、村人は何の特殊能力も持たない限りなく無力な存在です。もしも、同居した人狼に襲われればあっ気なく殺されてしまうわ」

「ひえぇぇ、むごすぎるー。私、絶対に村人だけにはなりませんですぅ」

「だから、おめーに職業選択の自由はないってさっきからいってるだろーが!

 はっ……」


「ミスズです。先ほどは取り乱してしまって申し訳ありませんでした。そして、読者の皆様におかれましては、長々と人狼ゲームの説明にお付き合いさせて本当に申し訳ありませんでした。

 さて、本編では九人の参加者による人狼ゲームが展開されます。通常九人の時には、初期の役割の人数配分が、人狼二人、狂人二人(人狼側は四名)、そして、祈祷師一人、牧師一人、村人三人(村人側は五名)となるのが標準なんですが、本編のゲームでこの標準どおりの人数配分がされるかどうかはわかりません。また、祈祷師や牧師が必ずひとり以上いるであろうという推測も、安易には決めつけないでくださいね」

「師匠、私も今日のゲームに参加してよろしいでしょうか?」

「もちろんよ。是非、人狼ゲームを楽しんでいってくださいね」

「師匠、どうせなら私、祈祷師になれたらいいかなって……」

「はいはい、考えとくわ……」ミスズはお茶をにごした。


 それでは、人狼ゲームの世界を心ゆくまでお楽しみください……。


 ここまでが、この小説の『予備知識編』となります。ごたごたとした説明が多くて、本当に申し訳ありませんでした。

 しかし、本編を楽しむためには、人狼ゲームのルールの把握を避けては通れません。もし、これから先を読んでいて、ルールがあいまいになりましたら、また、ここに戻って読み直してみてください。

 さあ、これから先は、楽しい本編となります。皆さんの素晴らしい頭脳を思いっきり活用してくださいね。

 (iris Gabe)

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