後編
「誰だ!お前らは、平民が出入り出来る所じゃないぞ、マックス、あやつらを取り押さえ!」
「は、殿下!」
騎士団長の息子が老人達にむかった。
魚屋のハンスが、すっと、マックスの前に、顔がぶつかるぐらいにすり足で接近した。
「!いつの間に」
「今の間じゃ、ほれ、ほれ」
ハンスじいさんは素早くマックスの腰にあった剣を奪い包丁さばきとは次元の違う。剣さばきで、スパスパとマックスを、寸止めで斬るフリをした。
「なんじゃ、最近の若者は~ワシは老害になって立ち塞がるぜ。お主、剣にばかり目がいって、チンががら空きだぜ!」
とマックスの股間に蹴りを食らわせた。
「グフッ」
マックスはチンを押さえ膝を付いた。
そして、ハンスじいさんはマックスをパーティー会場の外まで蹴飛ばした。
「ギャアアアーー」
とトップラー効果がわかる叫び声であった。
「ゼムじいさんよ~奴らの最大武力は消えたぜ!」
「そうかのう。ごくろうじゃのう」
一方、ゼムじいさんは殿下達の前に立ち。
叫ぶ
「スキル[威圧]じゃ!」ピカッと目が光り
殿下達は腰から砕けて座ってしまった。
「何、私が恐れるだと」
「ソフィアよ。この破れたドレスを見立てるのじゃ」
ソフィアは、物証のドレスを手に取った。
「スキル!お針子!」
ソフィアの目が光った。
ソフィアのスキルは、どうやって縫われたのか。布が破れたのか見抜くことができる。
「これ、内側からハサミで、こうやって切ったものですね~裏地に引っかかって、ナイフだとギザギザになります。聖女様は、切られた時、裸だったのかな」
「「「さすが、ソフィアじゃ」」」
そして、アンリ婆さんは、聖女と、証人の令嬢の前に立ち。右手を天井に掲げ。
「自白魔法!」
聖女と証人の令嬢の足下に魔方陣が浮かびは口々に、実はイジメは嘘だと次々に証言した。
「だって~殿下が~エリザベス様ならそれぐらい~やりそうだから~言ったれって~」
「「「私たちは、殿下の派閥に入るために父上に言われて」
「仕方無かったのよ!悪いのは殿下っ!」
「「「仕方なかったのですわ」」」
「ケケケケ、じゃあ、わしも仕方ないから、処女判定魔法でもかけるかのう~頭の上に処女かそうでないか文字で現れるのじゃ。3日間は消えないぞな」
「そりゃ!」
「ヒャー、エリザベス様、ごめんなさい~」
「「「ヒィ、許して~」」」
と聖女と令嬢達は逃げて行った。
その後、3日間は部屋に籠もったと云う。
そして、
エリザベスの義弟に
「おい、お前はエリザベスの義弟じゃろ、何で庇わないんじゃ。ボケ」
「そうじゃ、お前は一体何でここにいる。お前が一番何故そこにいるのか、わからないぜ!チンを蹴ってやるぜ!」
「ケケケケケケ、裸になって外を走りたくなる魔法をかけようかのう」
「「「おりゃ!おりゃ!」」」
と震えて何も出来ない義弟を、倒して、蹴り始めた。
「「「おりゃ!おりゃ!」」」
「ヒィ、お義姉様助けてーーー」
「おい、おい、お前がエリザベスを見捨てたんだろうが!チンを斬るぞ!」
・・・
私、エリザベスは、ただ、何も言わず傍観することしか、出来なかったのでございます。
しかし、義弟は、一応、私の家族、だから餞別代わりに、言ってやったのでございます。
「皆様、これは私の義弟ですわ。しかし、都合の良いときだけ頼る者とは今日限りで縁を切ります。お手数ですが、死なない程度に・・義弟を、いえ、殿下達を・【ぶったたいて下さいませ!!】」
「「「任せろ!!」」
義弟が、ムシの息になると、次は、宰相の息子だ。
「ほうれ、おまえ、何でここにいるのじゃ、お前が国を心配するなんて100年早いのじゃ!」
「ほら、ほら、宰相は世襲じゃねえだろうが、お前は威張れねえだろう。魚屋は世襲だけどな!」
「ケケケケケケ~宰相閣下はガキのころ、ワシに惚れ薬は作れないかと相談にきたぞな!」
「「「そりゃ、そりゃ!」」」
「ご、ごめんなさい~ごめんなさい~ヒエ、チンをグリグリしないで~」
「「「ヒャー、エリザベス様が極悪老人を連れて来た~逃げろ~」」」
周りの生徒達は逃げ出し、入れ替わるように、
騒ぎを聞きつけ警備の責任者、騎士団長と騎士達がやって来た。
「!!何だ、これは、あの老人達が付けているバッチは・・勇者バッチではないかぁーーー!」
「皆の者、手を出すな。甲武装の一個騎士団でも足りない!勇者バッチの者を見たら、手をだすなが、国是だ!」
「「「はっ」」」
「ケケ、お前、宮廷魔導師長の息子じぁろ、魔法は論理的思考と事実の積み重ねが大事ぞな。あんな抜け穴だらけの物証と証言者で、バカ殿下に組みするなんて、魔導師失格ぞな!」
「「「そりゃ!そりゃ!そりゃ!」」」
「うわ~ん」
と魔導師長の息子を蹴っているとき
「勇者殿達・・そこまでにしてくれないか?」
国王陛下がやって来た・・・
・・
約50年前、魔王討伐をした勇者の冒険者グループがあった。
勇者、ゼム
剣聖 ハンス
賢者 アンリ
討伐後、高位貴族達から、引く手あまたの求婚が殺到したが
彼らは、それぞれ、真実の愛の相手と結婚した。
ゼムは大工の娘
ハンスは魚屋の娘
アンリは本屋の店員と
王命をも無視して、彼らは、真実の愛を貫き。当時の王は、やむなく、黙認した。
彼らは、栄華を拒否して、市井に下ったという。
「そ・・そんな、はた迷惑な。責任ある者が、真実の愛って言って好き勝手に結婚しただけだ、栄誉ある地位にある者が、責任を放棄してはいけない」
と腰が砕けた殿下が憤慨したが、それを聞いた勇者達は
「何じゃ。お前も真実の愛というたじゃろ!お前、さっきから、平民出の聖女を差別するなとか」
「ここは、平民が来るとこじゃないとか矛盾しまくってるぜ!」
「ケケケ、人がやれば不倫、自分はロマンス、それが一番タチわるいぞな!チン切りの上、北の塔に強制転移魔法かけるぞな!」
「「「おりゃ!おりゃ!」」」
「ヒィ、父上助けて~」
と勇者達に足蹴にされた。
陛下は額に手を当て、ため息を付き。勇者達の気が済むまで、蹴らせた・・・
これが、原因かは定かではないが、王位継承から外された。
「ゼムおじい様、ハンスおじい様、アンリおばあ様、有難うございましたわ。あのパーティー会場に帝国の皇子様がいらっしゃったの。私はそこで見初めて頂いて、(キャ)」
「良かったのう」
「良かったぜ!」
「皇子様はゼファーじいさんの若い頃そっくりじゃのう」
「おめでとうございます!」
「[ぶったたいて下さいませ!!]の台詞が・・気に入ってもらいましたの。帝国は武断の国だから女は気の強い方が好まれるのですわ!」
その後、エリザベスは第二皇子の妃として、帝国の社交界の華として讃えられる。彼女の気の強そうな容姿と言動が帝国の貴族や市民に受けた。
ソフィアは一級お針子として、帝国に招聘され、エリザベスの花嫁衣装を縫う作業にも参加した。
一方、情報ギルドには、まだ、あの勇者の3人はいる。
10代半ばの少女が尋ねて来た。
ガチャ
「あの、私、忌み子として、家族から、嫌われていて、このままじゃ、人生破滅しちゃうんです。え、何故、情報ギルドに、ご老人がいるの?ごめんなさい。帰ります」
ガチャ
「あの子明日も来るかのう」
「来たら、お茶友達になるぜ!」
「ケケケ、良い子だったら、助けるぞな!」
「エリザベスちゃんから、お手紙が来たのじゃ、三通じゃ、ワシら一人一人に手紙を書いていい子じゃ」
「読むぜ!」
「ケケ、眼鏡を出さなければのう」
忌み子が、次の日、情報ギルドに来たかは定かではない。
最後までお読み頂いて有難うございます。