恐怖の帝王
吾輩は魔王である。
全てのものはひれ伏し恐れ慄く存在なのである。
今日も今日とて玉座の前に座り、ワインに口づけをする。
吾輩は赤が好きである。
だから、料理には必ず血をぶちまけて食べる。ぐちゃっと深紅の色に染まる料理に吾輩は恍惚に浸る。
死あるところに生あり。
そして死は絶対。血が流れていくのが命の飛沫なのだ。
吾輩はマントに身を包み高々に笑う。
窓から見える満月に思いを馳せる。
この地の次はあの黄色い月も朱に染めてやろう。
「こら、なにしてんの!! たくちゃん!! こんなにブドウジュースとケチャップ使って!! ダメでしょ」
お母さんが入ってきた。全部ぶち壊し。
「たくちゃんの魔王病には困ったものだわ」