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ごめんなさい

作者: 郷新平

暇な時があるとあの夏の日をたまに思い出す。


中学1年生の夏

僕は肺が悪く、入院していた。


クラスの人達は試験が近いせいか、見舞いには来れず、

勉強は勿論、やる気は出なかったので、これと幸いにやってなかった。(そのせいで今、後悔しているが後の祭りである。せめて、自分の好きな科目でも見ておけばよかった)


というわけで、一人で退屈な日を階の共同部屋で過ごしていた。

消灯時間がすぎたある夜、喉が渇き、1階の自動販売機に僕の飲みたい物があったので、暗い病室から抜けて、消灯された病棟を歩き、看護師に許可をもらうために、階から離れる許可をもらいにナースステーションに行った。


仕方ないという風で許可をもらった僕は

4階からエレベーターに乗り、移動中、ボーっとしているとエレベーターが止まりドアが開いた。


この時間にほかの階から乗ってくるの珍しいと思ったが、そういうこともあるだろうと思って、正面を向いていたが、真っ白い服を着ていたように見え、パジャマかなと思い、確認してみたくなり、その人をなんとなく目で追ったらなんと


全身、包帯で巻かれた恐らくは男性であろうと思われるが壁に体を預けて立っていた。


夜の病院でホラー映画だと襲われるシチュエーションだっだけど不思議と怖くはなかった。


本来、降りる1階についたけど、その包帯男に目を奪われていた僕は降りるのを忘れてしまった。


ガシャン


ドアが閉まり、地下1階に着いたら、僕が見ているのに気づいていないのか、果ては興味がなかったのか、その男は


ドカドカ


と歩き、そのまま出て行き


ガシャンとドアが閉まった。


毎日、暇を持て余していた僕は何処に行ったのか、興味津々になり、その階で降りることにした。


怖くなったら、早くエレベーターに乗れるようにエレベーターを開延長を押して、その包帯男が下りた方向に向かっていく。


真っ暗な廊下を僕の足元だけが


ことこと


と鳴り、ドキドキしながら歩いた。


少し歩くと病室だったら、ナースステーションがあるのにその代わりに

入口が見え、上の方に何か書いてあったが、視力が落ちかけている僕はそれが見えなかったので近くまで行って確認するしかなかった。


怖さのために歩調がゆっくりになり、見える距離まで来た僕は目を凝らしてみると


そこには


霊安室


と書かれていた。


それを見た瞬間僕は一目散にエレベーターに。


タッタッタッ


とエレベーターに駆け込んだ。


体が入り込んだ瞬間。


ガシャン


と音を立てて、ドアが閉まった。


僕は飲み物を買って、病室に戻った。


本来は怖くなって、直ぐ、部屋に戻るはずであるが、目的のジュースを買いに行った。

ジュースを買いに行けた理由として、自分の中で幽霊に負けたと思いたくなかった思いがあったのと、

霊安室という名前で雰囲気で駆け込んでしまったが、それでも何故か、怖いと思わず、むしろ、迷惑をかけてごめんなさいという気持ちがあった。


この一連の事は何故か、誰にも言わない方がいいと思ったので、誰にも言わなかった。


それから、10数年後


毎日、慣れない肉体労働で働く僕は疲れて果て、歩くスピードが落ちたので


ドカドカ


と移動するようになり、休みの日は子供たちの笑い声で

眠りを妨害される日が続いた。


恐らく、あの時の男は疲れていて、僕に構う余裕がなかったのではないか?


今、あの時の僕が現れたら、僕も恐らく放っておくだろう。


疲れて、そんな余裕がない。


今だからこそあの包帯男に謝ろう。


「眠りの妨げをしてごめんなさい」


貴方がエレベーターに乗った時に誰が乗ってくるでしょうか?

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