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砦の中での食事と作戦会議

今回はプラムの初めての人間御飯とゼロの記憶についての補足を入れます。

 砦に入った俺は中が暗すぎて、自分の手の届く範囲しか見えないことに驚いた。


「暗いな……」


「何じゃ? 見えないのか?」


 プラムが不思議そうな声で、聞いてくる。


「ああ、見えるのか?」


「本当に人間とは、不便じゃな? ちょっと待っておくのじゃ」


 プラムの気配が近くから消え。


 少しして、松明を片手に戻ってきた。


「ありがとう」


 お礼を言って、松明を受け取る。


「しかしここはどうなっておるのじゃ」


 その言葉に松明であたりを照らし確認する。


「広いな。階段はおろか、テーブルもなさそうだな」


 俺は、訓練場なのかなと思ったが、なぜわざわざ砦にしているのかが分からない。


「あそこにチェダーの死体があったぞ」


「本当か?」


 俺はプラムの案内で、チェダーのもとに行く。


 確かに死んでいた。


 全身を斬られている。


「中にいた五英にやられたのかの?」


「そうだろうな、その五英は帰ったようだな」


 辺りに気配はなく、隠れるような場所もないのでそう判断する。


「しかしこの場所は、外と違って中は質素じゃな」


「だな、砦というより訓練場だな」


「しかし食べ物は、そこにあったのじゃ」


 またもプラムの案内で移動した。


 移動した先には四角い大きな木箱が複数個積まれていて、缶詰が箱の周りに落ちている。


「缶詰めか」


「これは人間の食べ物じゃろ?」


 プラムが缶詰めを拾って聞いてきた。


「ああ、この世界にもあるんだな……まだあるのか」


 箱の中をあさり、適当に見繕ってプラムに渡す。


「妾も食べてみたいのじゃ」


 缶の蓋を爪でカリカリしだす、可愛らしい。


「缶切りがないと無理だぞ?」


「な、何じゃと? 開かないのかのこれ?」


 しょんぼりと缶を見つめる。


「任せろ。缶をそこに置いてくれ」


「うむ、こうかの?」


 缶を箱の上に置いてもらう。


 松明を渡して、刀を握る。


「はっ」


 缶の上部のみを切り落とす。


「おぉ~。見事じゃな」


「ふん、次行くぞ」


 缶を四つ開けて、箱の上で食事を始める。


 プラムは箱の端に座り。


 俺は片手に松明を持っていたので、座るのも面倒なため、箱の上に缶を置いて、食べることにする。


 缶の中身はパンと豆を煮たやつで、薄味ながら美味しかった。


「うぅ~これはうまいの~」


 どうやら、プラムも気に入ってくれたようだ。


 俺の食べ方を真似て缶を傾けて、豆を美味しそうに食べている。


ゆるんだ表情が保護欲を刺激した。


「初めて食べたのか?」


「うむ、普段は肉か野草ばかりじゃ。人間のご飯は聞いたことはあっても、口にはしたことないのじゃ」


「そうなんだな」


 こんな缶詰で喜ぶなら、一度レストランにでも連れいってやりたいな。


 こんな腐敗した世界にはなさそうだが。


「話していて思ったのじゃが、お主記憶が戻ってないか?」


 プラムの言葉にキョトンとしてしまう。


「どういうことだ?」


「こういう食事も覚えていたのでな? 記憶が戻ったのかなって思ったのじゃ?」


「なるほどな、残念ながら覚えているのは基礎的なことと刀の使い方だな。生きていくのに必要最低の事ってことになるのかな?」


 俺は考えながら、分かっていることを伝える。


「そうか……すまないことを聞いたのじゃ」


 俯いて、申し訳なさそうな顔になる。


「何を謝ってるんだ? 俺は何も気にしてないぞ?」


「そう言ってくれてありがとうなのじゃ。この後はどうするかの?」


 俺の言葉にプラムはふふっと笑って、声をだし勢いよく箱から飛び降りてから、そう聞いてきた。


「そうだな……そこの森を抜けて、帝都に向かうか? 湖もあるだろうし」


 俺も食事を終えて、そう提案する。


「うむ、確かに水浴びはしたいのじゃ。では森に行くとするかの」


 俺はただキャラバンでもらった水の残りが少ないので、補給したかっただけなのだが、確かにそれもありだな。


 次の目的地を決め、俺とプラムはチェダーを埋葬し砦を後にした。



バトルを期待してる読者の方すみません。


次にはバトル描写を入れますゆえ、きらずにお待ちくださいです。


私はプラムの姿が書きマンなので、ちょくちょくこういった内容を挟むと思いますが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] チェダー! あの強キャラ感あったのに本当に死んじまったんかーい(^_^;)! [気になる点] “プラムは箱の端に座って、俺は片手に松明を持っているので立ったまま食べることにする” 言わん…
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