魔王プラムの力の秘密、ゼロの力の秘密
ロックフォールを倒して、眠りにつくゼロ。
束の間の休息の時間にプラムの戦闘力をゼロは尋ねる……
何時から眠ってしまったていたのだろう。
頭に柔らかい感触があって、気持ちがいい。
「……プラム?」
目を開けるとプラムの顔が見える。
眠っているのか、小刻みに揺れていた。
どうやら膝枕をしてもらったまま俺は寝てしまっていたようだ。
「――うん?……なんじゃ、妾の顔に何かついておるのか?」
プラムは腕で、目をこすって聞いてきた。
「いや、膝大丈夫か?」
俺のことをのせていたのだから、相当疲れているはずだ。
「ふぁ~。問題ないのじゃ。ところで日が暮れてしまったの?」
プラムは疲れた様子もなく、あくびをし辺りを見ている。
プラムの言うように辺りは薄暗くなっていて、空に星が見え始めていた。
「襲われなくて良かったな?」
「じゃの。ま、襲ってくれば起きるがの」
腕を組んで偉そうにしているが、その姿がなんともかわいらしい。
俺は体を起こし立ち上がり、怪我の具合を確かめるために体を左右に捻る。
「よし、いけそうだ」
「元気じゃの~。まあ、座るのじゃ」
プラムが地面をペシペシして、座るように促してきた。
俺はプラムの右隣に座る。
「何かこの世界に来て、初めてゆっくりした気がするな」
「そうじゃな、初めて会った時も戦闘中じゃったな」
まだ二日ほどしかたっていないのに懐かしく思えた。
「プラムは戦えるのか? こう魔法のような攻撃で」
魔王と名乗るからには、力があるはずだ。
俺はその事を何も聞かされていなので、気になっていた。
「かっかっか、そんなおとぎ話でもあるまい。魔法などないな」
始めて聞く笑い方だ、可愛い。
じゃなくて、魔法がない?
「それはどういう事だ? 俺を招来した方法は? ロックフォールが岩を操ったのは?」
疑問だらけだった。
「招来したのは、魔王の力すべてを使って行う儀式じゃ。あやつのは……」
腕を組んで、ムムムと唸る。
「分からん」
その結果出した答えがこれだった。
「ちょっとまってくれ、儀式って魔法と違うのか?」
俺はプラムが話しやすいように、ゆっくり区切って聞くことにした。
「そもそもお主が言う魔法とはなんじゃ? おとぎ話以外では聞かないのじゃ」
俺自身記憶がないのでそこまで分からないが、魔王ってそういうものじゃないのかと俺の血が告げている。
「そもそも魔王の力って何だ?」
「そこの説明もまだじゃったな。そもそも知能があるのは妾と四天王だけなのは話したの?」
「ああ、でも全滅したと」
「うむ、我ら魔族は固有の力を持っていてな。魔王である妾には人を呪う力とそのすべてを失う代わりに、異界より魔獣を招来する力があるのじゃ」
つまり、俺を招来した今となっては、力のない女の子というわけか。
守ろう、命に代えても。
「俺が憶えているのはこの刀の振り方だけだが、もしかしたら五英の奴らも似たようなことをしているのかもな?」
俺にはロックフォールが使った技に、心当たりがあった。
「なんと? なんじゃ? なんじゃ?」
俺の方を見て、目をキラキラ輝かせ肩をゆすって聞いてきた。
「俺の力と似ているんだ。俺が力を得た日の事は刀を振るうのと同じで、忘れていないんだ」
「それでそれで、どういう事なんじゃ?」
凄い可愛い。
「俺は麒麟と呼ばれる化け物の肉を食べて、雷の力を手に入れたんだ」
勿論食べれば気軽に力が手に入るわけではなく、適応しなければ死ぬことだってある。
「つまり、五英も何かの化け物を食らったという事かの?」
「ああ、この世界にいる魔物でも同じことが起こるのかもしれない」
あくまで憶測だが、この可能性が高い。
「なるほどなのじゃ、うむうむ」
腕を組んで、納得してくれた。
「なあ、プラム。ご褒美をくれないか?」
「ご褒美? 何のじゃ?」
プラムは不思議そうに俺の顔を見て聞いてきた。
「五英を倒したからさ、何か欲しい」
「フハハハハハ、主に膝枕されてまだ何かを望むか?」
プラムは高笑いをして、愉快そうに聞き返してきた。
「プラムが可愛いから、もっと欲しい」
俺はプラムの目を見て、しっかりとした声でそう返す。
「……仕方ないやつじゃな――」
そう言って、俺の頬にキスをしてくれた。
「こ、これ以上ない褒美じゃろ?」
顔を真っ赤にして、上目遣いになって聞いてきた。
「ああ、ありがとう。でも、口じゃないんだな」
「もう、そんなことを言うやつには、二度と褒美はやらんのじゃ!」
プラムは立ち上がって、顔をそむけてしまう。
「悪かった、調子に乗った。許してくれ」
俺はプラムの目の前に移動して、頭を下げる。
「本当に反省しているのかの?」
「ああ、本音が出ただけだ。許してくれ」
俺はさらに謝り倒す。
「ほ、本音って、お主。まあ、帝都を壊した暁には考えなくもないかの」
顔を赤らめて、地面を見ながら言ってくれる。
「よし。とっとと、砦に行こう」
俺は速足で、砦に向かう。
「あ、待つのじゃ。ゼロ」
俺の後を追って、プラムが追いかけてきた。
さあ俺の願いのためにも、早く五英を倒そうか。
お読みいただきありがとうございます。
今回はバトルがありません。
プラムの秘密につい少し説明を入れる感じの回になりました。
皆さんのじゃロりは好きですか? 私は好きです。
その可愛さを表現できるように精進していきますので、後バトル描写も。
感想とかくれると嬉しいなって。
次回も引き続き、読んでくださると嬉しいです。